令和5年6月21日(水曜日)知事定例記者会見

【質疑応答】
○予算執行停止について
○私立高校の授業料無償化について
○マイナンバーカードをめぐるトラブルについて
○大和高田市立病院の移転について
○県内の産業振興について
○国民スポーツ大会の会場について
○大阪・関西万博への参画について
○働き方改革について
○県内の地域格差の是正について
○ホテル誘致について

 

 

司会:

 おはようございます。ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルで生配信しております。

 本日は、県からの発表案件はございませんので、記者の皆様からご質問をお受けする形で進めさせていただきます。

 

 

予算執行停止について

 

 

司会:

 それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いをいたします。

 NHKさん。

 

 

記者:

 県議会が始まりました。今週末から代表質問、そして一般質問とありますが、知事が表明された予算の執行中止についての質問が予想されますけれども、それについては、どのようにご対応されていく予定でしょうか。

 

 

知事:

 これまで県議会の各会派にも説明させていただきましたし、記者の皆さんにも説明させていただいたような内容を、改めて丁寧にご説明させていただく所存です。

 

 

記者:

 予算執行の中止に関して、それぞれの自治体と今後、丁寧に協議をしていくということでしたが、そのスケジュールについて、現時点で分かっているものがあれば教えてください。

 

 

知事:

 ちょっとまだ現時点では決まってないですね。

 

 

記者:

 例えば橿原市だったり、五條市だったり、磯城郡3町との間でいつ頃に話合いの場を持つとか、そういったことというのは、今のところはまだ確定したものはないですか。

 

 

知事:

 調整は進めていますけど、確定したものはないですね。

 

 

記者:

 どのように協議進めていきたいというふうに思ってらっしゃいますか。

 

 

知事:

 そうですね、まずは、今回の執行停止に至った理由に関して、ご質問もあるでしょうから、そうした質問に丁寧に答えて、今回執行中止になった理由についてご理解いただくとともに、恐らく、じゃあ、今後どうするんだということで質問が出るでしょうから、それについては、まだ具体的なことは決まっておりませんが、こういう方針で考えていきたいというような方向性について意見交換ができればと思っております。

 

 

司会:

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 事業見直しに関して、まだ検討するかどうかも含めてというリストに、まだたくさん残っていると思うんですけれども、それについて、今後いつ頃までに判断されるのか、あるいは、もう既に判断をされたものがあれば教えてください。

 

 

知事:

 あれは、執行を中止するかどうかということではなくって、私自身がプロジェクトの詳細について、まだあまり認識していないので、どういう事業なのか、ひとまず話を聞かせてほしいという趣旨で書いたものでございまして、必ずしもその話を聞いたら、何か方針が変わるとかいうものではないです。もちろん方針が変わるものもあるかもしれませんが。そのヒアリングはしていきたいと思っています。第4というところに予算執行査定の対象になった事業もあったと思いますが、予算執行査定の過程で、ある程度事業の概要が分かったものについては、改めてヒアリングする必要がないので、それらはもう省いていって、予算執行査定の対象になってない事業で、これはちょっと聞いておく必要があるなというものをこれから聞いていこうと思っていまして、そのスケジュールをこれから組んでいきましょうねというふうに、先日、総務部の政策推進課と話したところです。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

私立高校の授業料無償化について

 

 

記者:

 大阪府のほうで、私立高校の授業料の無償化について、先日も私学の団体のほうの会合があって、府の出している案がなかなか理解できないというような意見も幾らかあったかと思うんですけれども、知事も同様のことを奈良県で、授業料の無償化、教育無償化というものをされようと思ってらっしゃると思いますけれども、現時点で大阪府の状況を見て、どのように受け止めてらっしゃるかということと、今後、知事が進めていく無償化の制度設計に向けてはどのようにお考えかという、その2点お願いします。

 

 

知事:

 大阪府の私学の団体は、いわゆるキャップ制について懸念を表明されていると認識しておりますけれども、奈良県の私学のほうでもそういった懸念があるのかないのか、そうしたことは今後、奈良県での教育無償化の制度設計を進めるに当たって、きちんと私学の団体と協議をしていく必要があるなと、そういうふうに思っております。

 

 

記者:

 ありがとうございました。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

 

記者:

 私学の無償化について、改めて知事が目指す理由を聞かせてもらえますでしょうか。

 

 

知事:

 やはり経済的な理由で行きたい私学に行けてないという中学生は一定数いると思うんですね。そういう経済的な理由で進学が断たれる、行きたい高校に行けないというのは、その子の将来の可能性を摘み取ることになりますので、そうしたことは避けたいというのと、大阪が私学の無償化やっている関係で、県内でもかなりの数、大阪府、京都府に行ってるんですよ。その人たちが大阪府のほうが私学が無償化なので高校進学を機に引っ越してしまうということで、人口流出の原因にもなっていますので、それも食い止めなきゃいけない。そういった理由から、わざわざ大阪に引っ越さなくても奈良県でも同様に無償化を受けられるということをしていくのが、教育行政に携わる者の責務かなと思っておりまして、公約に掲げたと、こういうことでございます。

 

 

記者:

 大阪府では、私学との調整が難航している部分もあると思うのですが、奈良県では、大阪府で進まなくても早く着手したいというのはありますでしょうか。

 

 

知事:

 教育無償化については、実施していく方向で変わりはございませんし、この前、所信表明演説でも申し上げましたように、年度内に制度設計を進めていきたいと思っていますが、当然私学の皆さんのご理解をいただくことが必要なので、そこは私学の皆さんの意見も十分に聞いて、合意形成できるような案をつくっていきたいと、そういうふうに思っています。

 

 

記者:

 現時点で何か私学と調整していることはありますでしょうか。

 

 

知事:

 今はないです。

 

 

記者:

 知事の想定する制度としては、奈良県内から県外に通う生徒、県外から奈良県に通ってくる生徒も無償化したいという考えでしょうか。

 

 

知事:

 県外から奈良県に来る生徒の授業料は、住んでいる県で対応する話なんですね。ですから、今回、大阪府のお子さんで奈良県の私学に通っている子にも無償化の対象を広げようというのが今大阪府でしようとしていることなんです。ですから、そこは県は関係なくて、逆に奈良県から大阪府や京都府の私学に行っている子供さんに対しても教育無償化をしていこうということは、念頭にはありますけれども、この場合は、奈良県と大阪府の私学の団体、奈良県と京都府の私学の団体とで調整が必要であるということと、当然財源が必要になってきますので、視野には入っていますが、いつ頃からできるかはまだ分からないということです。

 

 

記者:

 まずは、奈良県に住んでいて、奈良県内の学校に通っている子からということになるのでしょうか。

 

 

知事:

 そこは、段階的にするのかどうか、そこはまだ決まってないです。

 

 

記者:

 分かりました。

 先ほどのキャップ制の話もあったと思うのですけれども、必ずしもキャップ制ではなくてもというのも考えにあるのでしょうか。

 

 

知事:

 そこもまだどうするか決めていません。

 

 

記者:

 私学の無償化に関しては、公立の生徒も減って、学校も減っている中で、私学も無償化するのかという反発もあるとは思うんですけれども、その点については、いかがでしょうか。

 

 

知事:

 ただ、先ほども説明したように、それでも私学に行きたいと、その私学の特色ある教育に魅力を感じて、教育内容であったり、あるいはその私学の部が強かったりすれば、そこに行きたいという子もいると思うので、やっぱりそうした子をサポートしていくという責務はあると思いますし、公立高校の定員が埋まらないというような状況があったとしても、そうした子に対しての配慮は必要じゃないかと考えています。あとは、人口流出に歯止めをかけるということもあります。その2点の理由は、県立高校の定員が減っていたとしても、やっぱり必要じゃないかなと思います。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

マイナンバーカードをめぐるトラブルについて

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 共同通信さん。

 

 

記者:

 昨今、マイナンバーカードをめぐってトラブルが相次いでいるかと思うのですが、マイナンバーカードを住民に勧めてきた地方団体側の視点として、このトラブルに関しての受け止めと、恐らく点検が始まるかと思いますが、それに対して国に求めたいことがありましたら、知事のお立場から答えていただけるとありがたいです。

 

 

知事:

 マイナンバーカードは、様々な行政事務の電子化を進めていく上で必要なカードだと思っております。ただ、かなり国民のナーバスな個人情報を取り扱うことになるので、今指摘されているようなトラブルがあってはならないと思います。新聞報道では、首相が参加する形で、点検の会議をするというような報道がされていますので、ぜひそうしたことをしていただいて、今後同様のミスがないようにしていっていただきたいと思います。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 今のマイナンバーカードの問題で、誤った紐付け等がなされているという都道府県もあるようですけども、奈良県においては、今どのような状況なんでしょうか。

 

 

知事:

 市町村窓口において、紐付けの誤りが数件あったそうですが、現在、国と市町村とで協議していて、その具体的な詳細が分からないので、県から現段階では公表できないということでございます。以上です。

 

 

記者:

 県が取りまとめて、国に報告しているというわけではないんですか。

 

 

担当部局:

 また改めてご報告をさせていただきます。

 

 

大和高田市立病院の移転について

 

 

記者:

 今、大和高田市の市立病院の移転をめぐって、JR高田駅前に移転してはどうかという案に対して、現在の場所の建て替えでもいいんではないかということで、反対する声もあるというふうに伺っております。県として、今年の1月だったかと思うのですが、JR高田駅前の移転を念頭に、県有財産の活用という形で、大和高田市と県で協定を結んでいると思います。県としては全く関わりのない話だと思うんですが、今現時点で知事、移転に関して、何かお考えをお持ちであればお聞かせいただけないでしょうか。

 

 

知事:

 そういう協定を前知事が結んでいることは把握していますが、大和高田市の意向がどうなのかよく分かりませんので、おそらくその件に関してだと思いますが、堀内市長のほうから面会の申出がありまして、今度面会することになっています。そのときに改めて大和高田市の具体的な意向を聞いた上で、県としてどう対処するかを検討していきたいと思っております。

 

 

記者:

 面会はいつ頃か決まっていますか。

 

 

知事:

 秘書課に聞けば分かるんですが。ちょっと確認します。

 

 

記者:

 よろしくお願いします。ありがとうございます。

 

 

県内の産業振興について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 日本経済新聞さん。

 

 

記者:

 議会の所信表明で知事は、産業振興に関して、革新的な企業を育てたいということを話されてますが、革新的という部分で、もう少し具体的なイメージというのがあるのかということと、新しいものを育てるに当たって、既存の種というのを生かしていくのが大事かと思うんですが、奈良の産業とか、ポテンシャルがあると思われるところですね、その辺はどう思われてますでしょうか。

 

 

知事:

 そうですね。革新的という言葉で、特に具体的に何かを想定して申し上げたわけではないんですけれども、例えば、奈良県内に既に拠点のある企業で、有力な企業といえば、DMG森精機があります。ですから、そういう工作機械の分野は、森精機を中心として、奈良県内で裾野が広がっていけばいいなとは思っておりますし、既存の企業でいえば、製薬関係の企業が中南和にはございますので、そういう企業かなというふうには思っております。

 

 

記者:

 これから企業振興に当たって、県外から企業誘致をすることのほうが税収なり、雇用拡大に対して即効性を生むと考えてらっしゃるのか、それとも、既存の企業を育てるのか、両方だと思うんですけれども、どちらのほうを迅速にというか、優先的に進めていこうとか、そういうお考えというのはありますでしょうか。

 

 

知事:

 もちろんそれは両方とも重要ですけれども、現実にニーズでいえば、やっぱり県外の企業が、工場とか、物流施設、あるいはデータセンター、そうした土地を探してるということは聞いてますので、県内企業にとどまらず、近畿圏内、あるいは関東に本社がある会社も入ってくるかもしれませんが、県外の企業が求めるそういう事業用の用地を提供していくということが大きいので、それにまずは対応していくということになっていくでしょうね。もちろん県内企業の支援ということも当然やっていきますけれども、ニーズが大きいのはそっちだと思います。

 

 

国民スポーツ大会の会場について

 

 

記者:

 国体に向けては、令和7年に競技団体の会場視察があるということで、来年度中には会場を決めないといけないというスケジュール感だと思うんですけれども、橿原市長などとは、現行の計画でというお話をされてたりすると思うんですけれども、今後の細かいスケジュール感というのは何かありますでしょうか。

 

 

知事:

 既存施設を利用して国体に対応していくという方針の下、既存施設でどういった施設があって、この施設は何の競技に使えるかというようなものは既にある程度、担当課でリストを作っておりまして、一部の種目はどうしても県内ではちょっと実施ができないので、他府県にお願いしようというような整理ももうできてますので、その令和7年度の視察に向けての準備は抜かりはないと思ってます。

 

 

記者:

 知事としては、既存の施設を使った計画を今立てているところで、地元にはこれから理解を求めていくと。

 

 

知事:

 はい。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

大阪・関西万博への参画について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 万博についてなんですけれども、どんどん近づいていて、どういう形で奈良県は参加するのかなというのは期待して見てるんですけれども、今のところ、こういうふうにしようといった方向性であるとか、何か見えてきたものがありましたら教えてください。

 

 

知事:

 既に発表させていただいているとおり、関西パビリオンにおける奈良県独自の展示スペースはちょっともう確保できないということで、それは断念したんですけれども、大関西広場をはじめとする共通展示スペースで奈良県のPRをしていきたいという方針は、従前から説明させていただいたと思います。あと、先般、河瀨直美監督が来られまして、河瀨監督が一つパビリオンを担当されていて、そこに十津川村の廃校の木材を使うといったことで、奈良県出身ですから、やっぱり奈良県のことを意識して、十津川村の廃校の木材を使ってくださるんだと思うんですけれども、何か河瀨監督と連携、協力してやっていけないかなとは思っております。ただ、まだ具体的なことは決まってませんし、監督との打合せ等もできておりませんので、まだ対外的に発表できる段階ではないんですが、そういった思いを持っています。それはおそらく、河瀨監督も一緒だと思います。

 

 

記者:

 民間を巻き込んでといいますか、民間との連携についてはいかがですか。

 

 

知事:

 民間ということであれば、その万博に来られた国内外のお客さんを奈良県に誘客して、奈良県で観光してもらおうということはしていきたいと思っておりますので、そのために、今後、自治体、市町村や、あるいはそういう観光関係の業者さんと連携、協力を深めていきたいと思っております。その第一弾として、7月10日の奈良県・市町村長サミットでは、大阪観光局という、大阪府と大阪市の観光部門を外出しして一緒にした財団があるんですけれども、そこの理事長の溝畑宏さんという方に講演に来てもらって、大阪では万博をきっかけにどうやって観光振興をしようとしてるのかということを県内の首長さんにお話ししてもらって、そこからヒントを得て、奈良県でも万博を契機とした観光振興について検討していきたいと思っております。民間事業者さんとの連携はまだこれからです。

 

 

記者:

 ありがとうございました。

 

 

働き方改革について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 産経新聞さん。

 

 

記者:

 県庁の働き方改革のことで教えていただきたいんですけれども、前の会見で、推進会議の設置のことを言ってたかと思うんですけど、具体的に初回の開催の時期は決まりましたか。

 

 

知事:

 現在調整中です。

 

 

記者:

 これまでいろいろ精査してきてこられたと思うんですけど、働き方改革に何が必要か、課題として見えてきたところがあれば、教えていただきたいんですが。

 

 

知事:

 一度も会議を開催してないので、具体的なことまではまだ見えてきてないんですけれども、やはり中途退職者とか休職者が多いということは、一般論でいえば、上司と部下とのコミュニケーションがあまりうまくいってないのかなとか、あるいは、労働時間が長いのかなとか、その労働時間を減らすために何かやらなくていい仕事を削減できる余地はないのかなとか、今のところまだそんな漠然とした思いなんですけども、今後、まずはどこに問題点があるのかということの把握から始めるとともに、こういう職場のメンタルヘルスの問題というのは、どこの組織でもあります。やはり管理職や、管理職ではない職員の意識を変えていくということが重要だと思いますので、そのためにどういったことをしていく必要があるのか、他の会社とか、官公庁の取組を参考にし、また、専門家の助言もいただきながら、県としてどういったことをしていくべきかを検討していきたいと思います。現時点ではまだそんなところでございます。

 

 

県内の地域格差の是正について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 今回の知事の事業見直しに対するいろいろな反応の中で、やっぱり県内の地域格差みたいなことを指摘されて、中南和の活性化のための何か事業が必要ではないかといったことをおっしゃる方々がいると思います。知事は、この県内の地域格差ということについては、どういうふうに認識されていて、それに対してはどういうふうな対策を取られようと今しているのでしょうか。

 

 

知事:

 それはやっぱり北和のほうが人口が多いだろうし、商業施設とかも多く、利便性も高いので、人口密度の高い、低いに伴う、そうした意味での違いというのはあるとは思うんですけれども、ただ、商業施設等については、商業事業者がそこであれば採算が取れるということで出店されるわけですから、それを県がコントロールすることは難しいと思っていまして、格差の解消といったときに、じゃあ、何の格差を解消するのかということの議論が必要だと思います。格差の解消というのが何か抽象的に言われているような気もしますが、所得水準の違いの解消ということであれば、これもまた、多くの被用者、働いている人は民間企業で働いていますので、民間企業の給与水準を県がコントロールすることはできないですよね。商業施設の立地もコントロールすることができない。その場合、格差の解消って何なのかというと、やっぱりそういう産業を育成すること。これは県の仕事だと思います。あるいは、産業を育成して、雇用を確保する。そのために、今工業団地を造成したり、企業誘致をしたりする、これは行政の仕事だと思います。あとは、交流人口を増やすということですね。産業振興して、雇用の場を確保して、定住人口を増やすか、あるいは、観光とかで交流人口を増やすと。県がすることって、そういうことなのかなと思っているんです。格差の解消、その場合の格差というのが何を指すか、所得水準の違いの解消であり、所得格差を埋めるということであれば、そういうたくさん給料を払ってくれるような新興企業を誘致するとか、既存の企業がもっと売上げが上がって賃上げできるようにするとか、県ができるとしたら、具体的にはそうしたことですよね。あるいは、日常の買い物の不便を解消するということであれば、雇用を確保して、定住人口を増やせば、商業施設の立地も進むし、交流人口が増えれば、商業施設の立地も一定程度進むので、やっぱり先ほど言ったことに収れんされると思います。

 ただ、そういったことは県としてしますが、じゃあ、大規模広域防災拠点をつくることが格差の解消につながるかというと、僕はそうは思わないんですよ。それはいっとき公共工事がなされて、いっとき地元の土木、建設業関係が工事を受注して潤うかもしれない。ただ、それもやっぱりトップを取る企業は大手ゼネコンになると思うので、地元の企業は下請とか孫請になりますから、利幅は少し下がっていくと思います。だから、そういう公共事業をやることが格差の解消につながるかというと、私は決してそうは思わない。ですから、もう一つ、サッカー場とか陸上競技場とかアリーナを造ることが格差の解消になるかというと、それもまた、結局いっときの公共事業で、土木、建設業を中心として、地域にお金が落ちる。もちろん、その土木、建設業の人たちが、例えば飲みに行くとか、ご飯を食べたりすれば、地域の飲食店とかはある程度売上げは上がるかもしれませんが、いずれにしても一過性のものなんですよ。

 ですから、持続的に地域が発展するためには、そういう定住人口を増やす、あるいは、所得を増やすための企業誘致、あるいは既存企業の振興、あるいは観光で交流人口を増やす。そのことによって、商業を活性化させるということで、それは取り組みますけど、僕の立場から言わせると、格差解消って、それは必要ですが、その手段は公共事業しかないんですかと。それは違うでしょと。それは一過性のものですよと。工事が終われば終わり。そうではなく、もっと抜本的に格差解消というのであれば、企業誘致とか、観光とか、既存企業の振興とか、そういうふうなことすべきじゃないかと。だから、私は全然、中南和を軽視しているとか、格差解消に関心がないとか言われるのは、すごく心外です。何か公共事業をすることがあたかも格差解消のように主張される議論には、僕はくみしない。議論自体がそれはおかしいと思っています。

 

 

記者: 

知事がおっしゃる交流人口の増加ということに関しては、例えば施設を造るとか、スポーツ施設も含めて、そういうことも効果があるんじゃないかなとも思うんですが、そういういわゆる箱物に関して、地域にバランスよく造るという考え方も一つあると思うんですが、そういうことに関してはいかがですか。

 

 

知事:

 ただ、それを言うのであれば、今、橿原の県立橿原公苑にも橿原運動公園にも既にスポーツ施設はあるわけじゃないですか。それが新しくなることで、多少は増えるかもしれませんけど、そんな大差はないと思うんですよね。だから、橿原に関してはそういうことになりますよね、既存の施設があって、それを建て替えるだけですから。田原本には確かに今、サッカー場はありませんが、じゃあ、サッカー場を造ることで一定の交流人口は確かにあるかもしれませんよ。だけど、それも例えば中高生の大会ぐらいでは、そんなにたくさん人は来ないじゃないですか、保護者とか関係者とか。奈良クラブの大会とかができるとしても、一つの試合で、そんな2,000人とか、ちょっと分かりませんけど、3,000人とか、それぐらいだと思うんですよ。ワールドカップの代表試合がされるんだったら、別でしょうけどね。J3、J2とかでも数千人だと思いますので、開催回数はそんな多くないですよね、年にどれぐらいだったかな。ホームでやるとしても20回でしょ。だから、集客できる人数にも開催頻度にも限りがあるので、それよりは、企業誘致とかのほうが、もうちょっと地域の持続的な発展につながるんじゃないでしょうか。私はそう思います。

 

 

記者:

 今の奈良県内の交通事情とかで、中南和に企業を誘致するというのは、今可能性はあるというふうにお考えですか。

 

 

知事:

 はい。それはそういう企業関係者からの声は聞いています。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

ホテル誘致について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 万博や、交流人口、観光に関連してなんですけども、やはり奈良県が非常にホテルが少ない、恐らく2019年度のデータでいっても客室数は、恐らく全国45位程度だったと思うんですね。そのときの宿泊者数も、大阪、京都と比べると10倍以上の差はあったと思いますが、その辺り、ホテルの誘致について、知事は何かお考えというか、方針をお持ちでしょうか。

 

 

知事:

 県の補助制度で、一定の基準を満たしたホテルを立地する場合には、補助金を出しますという制度があって、今、天理の駅前に東横インが、今度オープンするのかな、もうしたのかな。あれは、たしか県の補助対象だったと思うんですよ。

 

 

担当部局:

 確認します。

 

 

知事:

 ですから、そういう制度はこれからも維持して、県内でのホテル立地は進めていきたいと思っています。

 

 

記者:

 例えば知事のトップセールスで進めるとか、あるいは、例えばまちづくりの何か規制緩和を設けるとか、そういったお考えは現時点ではいかがでしょうか。

 

 

知事:

 今はそこまで検討していないですね。

 

 

記者:

 知事のトップセールスというのもまだ考えていらっしゃらないですか。

 

 

知事:

 考えてないことはないですが、まだ発表できる段階にはないですね。

 

 

記者:

 分かりました。

 

 

知事:

 僕の頭の中にあるだけですから。

 

 

記者:

 分かりました。すみません、ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして、知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

 

 

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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