令和5年8月23日(水曜日)知事定例記者会見

【質疑応答】
〇知事の夏期休暇の過ごし方と8月15日の台風時の対応について
〇国民スポーツ大会の陸上競技会場について
〇日本版DBSについて
〇県域水道一体化について
〇旧知事公舎を活用したホテルのオープンについて
〇広域防災拠点について
〇中国からの団体旅行解禁について
〇南部・東部地域の課題解決について
〇福島原発処理水の海洋放出について
〇助人トンネル死傷事故について

 

 

司会:

 おはようございます。ただいまから、知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。

 本日は、県からの発表案件はございませんので、記者の皆様からご質問をお受けする形で進めさせていただきます。

 

 

知事の夏期休暇の過ごし方と8月15日の台風時の対応について

 

 

司会:

 それでは、ご質問がございます方は、挙手にてお願いをいたします。

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 知事は先週夏期休暇を取得されたかと思いますが、計何日間取得されてどのように過ごされていたのかという点と、8月15日に台風7号が上陸した際、危機管理対応などはどのようにされていたのかという点を併せてお教えください。よろしくお願いします。

 

 

知事:

 夏休みは、8月10日から17日の8日間となります。台風が接近しつつあった14日、15日頃は基本的には自宅にいて、防災統括室からの情報が秘書課を通じて来ますので、それを見て適宜必要な場合は指示を出していました。

 

 

記者:

 実際に何か指示を出す場面は、おありになったということですか。

 

 

知事:

 災害対策本部を設置したほうがいいかどうかの判断について、防災統括室からお尋ねがあったのですが、まだそういう状況にはないだろうということで、その必要はないというお答えをいたしました。

 

 

記者:

 お休みを取られたことに関しての実務への差し障りは特になかったというお考えですか。

 

 

知事:

 全くなかったと思っています。

 

 

記者:

 承知しました。

 

 

国民スポーツ大会の陸上競技会場について

 

 

記者:

 国民スポーツ大会についてお尋ねします。前回の定例記者会見で陸上競技場について、まずは奈良市の鴻ノ池陸上競技場の改修を検討し、それが難しい場合は長居陸上競技場の使用を大阪市に打診するということを案としてお示しになっていたかと思います。翌10日にあった奈良県のスポーツ審議会では、委員のメンバーの方から、大阪市で開催するということについては、かなり強い異論も相次ぎました。この点、知事としてはどのように受け止めておられますか。

 

 

知事:

 鴻ノ池陸上競技場が使えない場合はという前提での話で、鴻ノ池陸上競技場が使えないのであれば、第1種の陸上競技場は奈良県にございませんので、あくまで次の候補としては長居陸上競技場があるというふうに言った訳です。現在、奈良県と奈良市の事務レベルで鴻ノ池陸上競技場の使用について協議をしていますが、基本的に奈良市も前向きに考えてくださっているというふうに受け止めていますので、使用するに当たって、調整するべき事項が様々あると思いますが、鴻ノ池陸上競技場で開催できるのであれば、長居陸上競技場で開催するということはないというふうに認識しています。

 

 

記者:

 その会議では、改修のほうがかえって高くつく部分もあるという意見もあったと思います。新設に比べて高いということの意味かどうか分からないですけれども、改修自体がどの程度に抑えられるのかといった部分の懸念もあろうかと思うのですが、まずは奈良市を優先してというお考えということですか。

 

 

知事:

 第1種陸上競技場を一から造るのと、鴻ノ池陸上競技場の改修に県が補助を出すのとでは、圧倒的に金額が違います。それは、認識に少し問題があると思います。

 

 

記者:

 分かりました。

 国民スポーツ大会では、開催県が優勝するというのが一つの慣例として続いてきたようなところがあろうかと思いますが、スポーツ振興などについての知事のお考えですとか、知事としても優勝みたいなものを目標としていくべきとお考えになられるかとか、その辺りについて、お考えをお聞かせください。

 

 

知事:

 その点については、様々なお考えがあると思います。もちろん、国体を機会に奈良県内のスポーツが振興して、競技をされている方のレベルが高まるというのはいいと思います。ただ、実際のところ、開催県が優勝するといっても、国体のためにわざわざスポーツに秀でた方を、以前は県の職員として採用したりするようなことがあったと思いますので、本当に県内の競技者が実力で優勝するならいいと思うのですが、わざわざ優勝するために他府県から人を臨時に、例えば県職員として雇用するといった必要まであるのかというのは少し疑問です。

 

 

記者:

 では、他府県から人を臨時に県職員として雇用してまで優勝するということは、知事としては現時点では想定されていないということでしょうか。

 

 

知事:

 今後、スポーツ関係者との協議はしていきたいとは思いますけれども、基本的な私の考えとしては、そこまでして、どうしても優勝を目指さなければいけないものなのかというのは疑問に思っています。それは東京都とか、大阪府とか、神奈川県とか、そういう大都会のほうが人口も多く、スポーツに秀でた選手が多いのは客観的に明らかだと思いますので、そもそも国体を契機にそういうスポーツ施設を整備したり、スポーツ熱を高めたり、県内のそういう競技者のレベルを上げようという趣旨は理解しますが、そのために無理して背伸びする必要というのがどこまであるのかというのは疑問です。

 

 

記者:

 承知しました。

 

 

日本版DBSについて

 

 

記者:

 いわゆる日本版DBSについてお尋ねします。こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議に、山下知事は、唯一、知事として参加されていると思いますが、弁護士というお立場でもあられ、この会議にどういった姿勢で臨まれたのか、また、会議を通じて印象に残ったことなどあれば、お教えいただけないでしょうか。

 

 

知事:

 性犯罪歴のある人が子供と接触する必要のある職場に就職することで、被害がまた発生するというようなことはあってはならないことなので、そうしたことを防止するための制度だというふうに認識しています。それとともに、憲法上、職業選択の自由というのは保障されていますし、また、犯罪歴に関する情報というのはプライバシー情報の中でも最もセンシティブな情報ですので、そうした情報は漏れない仕組みにしなければいけません。性犯罪の防止と職業選択の自由とかプライバシーの保護という憲法上の価値をどう両立させるのかという点で、現在、議論をしていまして、弁護士としてのそういう知識、経験も生かしながら意見を述べさせてもらっているので、大変やりがいを感じてやっているところでございます。これは、日本では全く新しい制度で、犯罪歴の照会を制度化するというのは、一部、教員免許で既に始まっていますが、犯罪者の更生に支障が生じるのではないかという懸念もあるので、我が国の刑事政策に対して非常に大きなインパクトを与える制度だと思っています。ですから、様々なことに配慮して制度設計しなければいけないというふうに思っていて、私も県の職員の力を借りながら、どんな発言をするべきなのかということを考えて発言しているところでございます。

 

 

記者:

 ありがとうございました。

 

 

県域水道一体化について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 奈良テレビさん。

 

 

記者:

 前回の知事定例記者会見のときに、県域水道一体化について、次回の協議会開催に向けて、論点整理を水道局に指示しているとおっしゃっていたと記憶しておりますが、その後、水道局とはどのような話合いをされたのか、教えてください。

 

 

知事:

 先日、お願いしてた宿題の一部が出てきました。まだ残された宿題がありますので、引き続き残された宿題をやってくださいという指示をしまして、それを待っているという段階です。

 

 

記者:

 出てきた宿題の一部というのは、具体的にどのような点についての回答があったのでしょうか。

 

 

知事:

 具体的には、県内の水道施設、県の施設と市町村の施設と両方ありますけど、浄水場、配水池、水道管の管路の老朽化の状況などを全部取りまとめて地図上に落として、これからどんな工事をしなければいけないのかというのが一目瞭然で分かるような地図をつくってもらいました。さらに、今後30年間でどういう順番で工事をしていったらいいのかというようなことについても水道局から案を示してもらって、それをさらにブラッシュアップしていくという段階です。

 

 

記者:

 まだ解決されていない宿題の残りというのはどういったことがありますか。

 

 

知事:

 それは、水道料金をどういうふうに定めていくかというルールですね。それについて、今検討してもらってるところです。

 

 

記者:

 そういった問題が解決されて、第2回の会合が開かれるまでのスケジュール感というのはどのようにお考えでしょうか。

 

 

知事:

 スケジュールはまだ決まってないです。秋口ぐらいにはしたいなとは思ってますけれども、遅くとも年内には1回はしたいと思います。

 

 

記者:

 秋口といいますと、もう来月の9月が秋口になるのか、体感的にはどんな感じなんでしょう。

 

 

知事:

 9月は厳しいかもしれないけど、10月、11月とか、それぐらいにはしたいし、12月にはならないと思うんですけど、10月、11月、12月ぐらいじゃないですかね。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

 

記者:

 先日あった協議会の中で、もう一度見直すのであれば、一度この枠組みを解散したほうがいいんじゃないかという意見も市町村からは出てたと思うんですけれども、そういったお考えはあるんでしょうか。

 

 

知事:

 それはないです。

 

 

記者:

 そうすると、今後の見直しというのは、料金の見直しぐらいでとどまるといったところになるんでしょうか。

 

 

知事:

 料金の見直しといっても、まだ料金は決まっておらず、シミュレーションが示されただけです。だから、シミュレーションを見直すということはあるとは思います。現在は、県と水質検査センターを含めて28機関が参加してますけれども、その28機関の枠組みで進めていくということには変わりはないです。

 

 

記者:

 経営統合に切り替えるとか、そういったことも特に考えていないということでしょうか。

 

 

知事:

 そうですね。今はそういう議論にはなってないですね。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 現在合意して参加している自治体の枠組みの中で、新たに、模索して議論を重ねていくというようなお話だと思うんですけれども、見直しをしていくと、おそらく料金設定が高くなっていくことになるかと思うんですが、そういった理由で自治体からの反発ですとか、これまでの合意形成が台なしになるんじゃないかというような意見も出てくる可能性があると思いますが、知事はその辺りはどうお考えでしょうか。

 

 

知事:

 まだ企業団という正式な水道一体化の枠組みにはできてないんですよね。今、法定協議会というものをやってるだけで、企業団を設立する際には、当然、改めて各構成市町村の議会の議決というものが必要になるわけで、その時までにきちんとした水道一体化の道筋を示して、その段階で改めて市町村に判断していただくということになります。現在、法定協議会というところまで来てるんですけど、いずれにしても、その次のステップとして企業団の設立には各市町村の議会の議決が要りますので、その時に新たなシミュレーション、あるいは料金設定の基本的なルールもお示しして、その上で、引き続き参加するかどうかを判断してもらえれば、それで問題ないんじゃないかと思っています。

 

 

記者:

 新たなシミュレーション結果が出された上で、各自治体には改めて参加の是非を判断してもらうというのが知事のスタンスという認識でよろしいですか。

 

 

知事:

 今回、一定の見直しがあろうとなかろうと、もともと2段階あるわけです。法定協議会に入るときに示されたシミュレーションとは若干異なるシミュレーションになる可能性はありますし、企業団の設立のときにはより精緻な制度設計が示されます。ですから、より精緻な制度、あるいはより精緻なシミュレーションを基に、改めて各市町村でこの枠組みに引き続き参加するかどうかを判断してもらえればいいと考えています。

 

 

記者:

 知事としては、県域水道一体化を全て見直すというよりかは、より精度の高いシミュレーションを出した上で、いいものにしていくというような認識ということですね。

 

 

知事:

 そうです。

 

 

記者:

 承知しました。ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 時事通信さん。

 

 

記者:

 先ほど、28機関の枠組みで今の法定協議会に向けての話合いを進めていきたいというお考えで、その後、企業団設置の際には改めて市町村が判断されればいいということでしたけども、先日の協議会では、そもそも28機関で始めなくてもいいんじゃないか、5とかの少ない数から進めてもいいんじゃないかという知事の発言があったと思います。このまま全部で進めていけばいいと思われているのか、それとも、やっぱり小さい枠組みから始めてもいいかなと思われているのか、どちらでしょうか。

 

 

知事:

 最初から無理に数を多くする必要はないと私は思ってますし、経営統合とか、事業統合という方法もあって、事業統合のほうがより一体性が高いわけですけど、ただ、今まで28機関の枠組みで進めてきて、なおかつ、将来に負担を押しつけるような形の制度ではなく、将来も運営面で揉めることがないのであれば、別にそれはそれでもいいと思っています。ですから、今、県で考えているスキームをお示しして、それだとちょっとやめとこうかというところが出てきても仕方がないという意味です。

 

 

記者:

 各市町村の意向の結果、減っても仕方がないし、そのままならそのままでもいいということですね。

 

 

知事:

 そうです。

 

 

記者:

 分かりました。

 

 

旧知事公舎を活用したホテルのオープンについて

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 奈良テレビさん。

 

 

記者:

 昨日、吉城園の近くにグランドオープンするホテルの報道機関向けの内覧会が行われたと思います。県が進めてきた高級志向のホテルの一環だと思うんですけれども、これについての知事としてのお受け止めと、今後、そういった思いを継承していくのか、転換されていくのか、お考えを改めて教えていただけたらと思います。

 

 

知事:

 知事公舎、副知事公舎を活用したホテルですけれども、知事公舎、副知事公舎自体がそもそもあまり利用されてなかったと認識しています。面積的にもかなり十分な広さがあるし、立地場所も素晴らしいし、庭園もあって、あれを誰も住まない知事公舎、副知事公舎として放置しておくというのは非常にもったいないことだと思いますので、ホテルにしたというのはすごくいいことだと私は受け止めています。富裕層向けのホテルの提供というのは、私はある程度必要だと思っています。もちろん、いろんな価格帯があった方がいいとは思いますけれども、やっぱりそういう富裕層向けのホテルがそれほど多くなかったということは確かだと思いますので、富裕層向けのホテルにしたということはいいことじゃないかと思います。ただ、もちろん、富裕層向けではない一般の人が泊まれるホテルの客室数も、もっと増やしていかなければいけないとは思っています。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

広域防災拠点について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

 

記者:

 大規模防災拠点について、前回、代案のスケジュール感はどうですかと質問したときに、大規模防災拠点に関してはまだちょっとよく分かってないですというようなお答えをいただいたかと思うんですけれども、見直しが決まって以降、その件に関して進捗は今のところまでであるのでしょうか。

 

 

知事:

 先日、私と幹部職員とで現地をつぶさに見てまいりまして、今進められている施設の解体工事の状況などを視察しました。それとともに、代案づくりについては、もちろん何もしてないわけではなく、私含め、関係する職員がいろいろと知恵を出しているという状況でございます。

 

 

記者:

 ちなみに先日というのは、具体的にどれくらいの時期ですか。

 

 

知事:

 8月初め頃だと思います。

 

 

記者:

8月初旬頃。幹部職員というのは、広域防災拠点課の皆さんとか、県土マネジメント部長とかですか。

 

 

知事:

 はい、私と湯山副知事と清水県土マネジメント部長と、松田危機管理監、あとは防災統括室や広域防災拠点の関係の人たちで行きました。

 

 

記者:

 見直しという判断に今回至ったわけですが、視察を経て改めて感じたことといいますか、変わったところはありますか。

 

 

知事:

 それは特にないです。

 

 

記者:

 分かりました。

 土地を買ってあるところは2期までの工事分ということだと思うんですけれども、そこまでの整備を進めるつもりとか、具体的にまだ決まってるところはないですか。

 

 

知事:

 決まっていることはないです。

 

 

記者:

 分かりました。

 土地が荒れ始めてるみたいな声をちらっと聞いたりしたんですけれども、県による維持管理はいつから始まる予定でしょうか。

 

 

知事:

 この前、行ったのですけど、草がちょっと生えていましたけど、めちゃくちゃ荒れているという感じではなかったですよ。草刈りは定期的にやるつもりですので、そのスケジュール、年何度というのは僕も分からないですけど、それはきちんとやるつもりです。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

中国からの団体旅行解禁について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

 

記者:

 先日、中国からの団体旅行が解禁されるということになりましたけれども、以前も奈良県は、京都府と並んで多くの中国からの観光客の方が来られていたかと思います。今回の団体旅行の解禁について、どのように受け止めていらっしゃるかということと、一方で、オーバーツーリズムということが最近指摘されていますが、そのことについて、県として、関係団体と何らか協議するようなお考えはありますでしょうか。

 

 

知事:

 コロナ前の令和元年のデータでは、奈良県への外国人訪問客数が350万人だったのですけれども、そのうち6割が中国からのお客様でございました。今、個人旅行者はいますが、団体旅行者はいないですけれども、これで団体旅行が解禁されれば、より多くの中国人の方に訪れていただけると思っておりますので、県としては基本的に大変喜ばしいことだと思っております。

 一方で、ご指摘のオーバーツーリズムの問題でございますが、県といたしましては、例えば奈良公園内では、あえてごみ箱を設置してないのですよ。それは、ごみは基本的に持ち帰ってもらうということを徹底するためにしているのと、あと、鹿がごみを散乱させたりということもあり得るので、ごみ箱を置いてないのですけれども、そういうことを今、公園内の多言語による看板、あるいは近鉄奈良駅構内のデジタル掲示板、そういったものを活用して周知しています。奈良公園にはごみ箱がございませんので、ごみは持ち帰りくださいと。これを引き続き進めていって、外国人の訪問者が奈良公園で増えても、ごみが散乱しないような、そうした取組は引き続きやっていきたいなと思っているのと、やはり奈良公園が一番、外国人の方が訪れてくださるのですけれども、この機会に奈良公園だけではなくて、中南和のほうに旅行者を誘導するような、そういう滞在型周遊の推進に取り組んでいるところでございます。県では、中華圏の旅行会社をお招きして、事業者向けに、県が主催する視察旅行みたいな形で、旅行会社とか、ブロガーとか、そういう人たちを連れていくような取組をしておりまして、今後、奈良公園だけではなくて、中南和にも行ってもらえるような、そんな取組も進めながら、オーバーツーリズムの問題に対応していきたいなと思っております。

 

 

南部・東部地域の課題解決について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 先日、南部・東部の市町村長、知事とのサミットがあり、そちらで各市町村長から個別に、いろいろと抱えてる課題が違うという意見が出されたと思うんですが、今後、やはり人口減ですとか、インバウンドが戻ってくることで観光への期待も高まる中で、南部・東部への支援というのは喫緊の課題だと思います。知事としてどういった形で南部・東部地域の課題解決に進んでいくかというようなプランがあれば、お伺いできますでしょうか。

 

 

知事:

 従前から当然、各市町村の課題に対しては、それぞれの県の担当部局が相談を受けて、回答をしたり、あるいは、都市計画法に関するような事柄については県が一定の権限を持っていますので、市町村の意向にできるだけ応じられるような形で判断はしてきたと思うので、引き続き、そうした各個別の市町村との相談、協議というのは当然続けていくのですけど、多分あの時の問題提起は、市町村長がみんなずらっとがん首そろえて、1時間話して何になるのみたいな、ああいう集まりの意味みたいなことに対する問題提起だったと思います。

 

 

記者:

 私もそういう認識なんですけれども、知事として、やはり南部・東部地域の振興という点で、こういうふうな課題解決が考えられるのではないかというようなビジョンがあれば、ちょっとお聞かせいただけたらなと思います。

 

 

知事:

 それは、従前から言っておりますとおり、定住人口を増やすというのは非常に難しいことだと思います。あの時も発言がありましたけども、昭和20年ぐらいを天にして、ずっと下がり続けているというような話があったかと思うのですけど、その市町村に関わりの持つ人を増やす、関係人口という言葉を下北山村の村長が使っていましたけども、関係人口を増やす。特に都市部の人たちにそういうまちづくりに関わってもらうというような取組、下北山村のほうでも紹介されていました。下市町長も紹介されていましたけど、やはりああいう取組をどんどん増やしていく中で、この村にとどまって、この町にとどまって、今度は都会からたまたま来ているというような形ではなくて、本格的に腰を据えて、この町で生きていこうという人も生まれてくるかもしれないので、やはりああいう取組をさらに広げるということが必要なのではないかなと私は思っています。もちろん、中南和の非常にすばらしい歴史文化遺産を訪れるお客様を増やすという取組とともに、やはり地域の産業、主なものといえば林業とかになろうと思うのですけど、林業とか、観光を振興するための人材をどう増やしていくかということも大切だと思います。子供の数はどんどん減っていきますので、都市部からの移住者を増やすと、もうこれに尽きると思います。やはり都市部の人というのは、都市部に住む方の求めるものというのをよく分かっていますし、特に若い人は若い人向けの情報発信の仕方とかいうのも分かっていますので、あの時、下北山村では、慶應義塾大学と一橋大学と早稲田大学等の学生たちが集まって、この村をどうしていくかというようなことを議論しているようなことを言っていましたけど、ああいったことが他の市町村でも広がっていけばいいのではないかなと思って、ああいう先進事例を紹介する機会を設定しました。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 奈良新聞さん。

 

 

記者:

 今の南部・東部振興の関係で、この前のサミットでは県からの支援が上からだみたいな話も出てたんですけども、県としてこれからどういうふうに支援をしていきたいか、その辺を伺えますか。

 

 

知事:

 上からだというのは、私が知事になる前の話だと思うのですけれども、県の意向を押しつけるのではなくて、やはり地元の市町村のニーズに応えるというのが基本的なスタンスだと思います。地域のことを一番よく分かっているのは地域の方ですから、その地域の声を代表して市町村長が県に要望をされるわけですので、基本的には、その要望に対してどう応えていくか、それに尽きると思います。ただ、財源にも限りがありますから、もちろん要望の全部を聞けるわけではないので、より費用対効果の高いものに対して県としても支援していくということだろうと思います。私は県のほうからこうしろ、ああしろみたいなことを言うのは違うのではないかなとは思っています。

 

 

記者:

 ぜひ現地を見てほしいという声も上がってましたけども、その辺はいかがでしょうか。

 

 

知事:

 それは視察したいと思っているのですけど、もう少し落ち着いてから行ってみたいなと思っていますけど、知事になった後も、知事になる前も結構行っているところもたくさんありますので、行ってない市はないと思いますけど、まだ足を踏み入れたことのない町村ってあるかな。そんなに多くないと思うのですけどね。それは行ってみたいと思います。

 

 

福島原発処理水の海洋放出について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 時事通信さん。

 

 

記者:

 政府が福島第一原発の処理水の海洋放出を決めたこと、また、大阪府の吉村知事が47都道府県で福島の魚介類を使った食事を提供したらいいのではないかということを全国知事会でご提案されるという報道もありますが、知事のお考えや受け止めがあれば教えてください。

 

 

知事:

 私は、処理水の海洋放出について、特にコメントする立場にはないと思ってます。

 

 

記者:

 全国知事会で個人的に何か提案をされるご予定もないということですか。

 

 

知事:

 特にないです。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

助人トンネル死傷事故について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 中島みなみ事務所さん。

 

 

記者:

 県管理の国道168号線助人トンネルのケーブル垂れ下がり死傷事故について、改めてお尋ねします。知事は5月26日の会見で、事故の原因者は先行したトラックのドライバーであると考えており、基本的に奈良県は特段、刑事上、民事上の法的責任はないとお話しになっています。検察はトラックの運転手についても不起訴処分としましたが、現在、山下知事はこの事故について誰に責任があるとお考えか、見解を教えてください。

 

 

知事:

 事故の原因が先行していたトラックの運転手であるというのは、それは事実の流れとすればそうですね。トラックがトンネル内にあったケーブルに車体を引っかけて、そのケーブルが垂れ下がったことで、後続のバイクが事故を起こしたということなので、事実的な因果関係ということで言えば、そのトラックが原因であるというのは確かだと思います。ただ、それが、刑事上の責任を問われるような、道路交通法上の何か注意義務違反があったのか、なかったのかというのはまた別の問題で、それについて、検察庁が道路交通法上の注意義務違反を問うまでの義務違反はなかった、あるいは、不起訴には、嫌疑なしと起訴猶予という両方がありますので、注意義務違反は認められるけれども、起訴するほどのことでもないという判断をしたか、それはどちらか分かりませんけれども、いずれにしましても、正式裁判にして刑事責任を負わせるような注意義務違反は少なくともなかったと判断したと思います。不起訴になったからといって、県に民事上、刑事上の責任があるということでもないので、先日の記者会見で言った見解に私としては何ら変わりはございません。

 本当に不幸な事故だとは思いますけれども、法律上の責任というのは、故意とか、重過失とか、かなり責任を問われても致し方がないようなレベルのものしか問われませんので、不幸な事故であったとしても、法的な責任を誰も問われることがない事故というのは、世の中になくはないのが事実です。もちろん自然災害はそういうことですし、今回は自然災害ではないですが、工事のためにたまたまケーブルがトンネルの側面に留めてあり、その措置に何か法的な責任があるのか、ないのか。それを車が引っかけてしまったドライバーに法的責任はあるのか、ないのか。これはかなり高度な専門的、法的判断が必要になってくるので、そうした高度な法的判断の結果、ドライバーとトンネルの管理者のいずれにも法的責任がないというような結果になることは、こういう世界ではなくはないので、バイクの運転手のご遺族には、本当にその気持ちは察して余りあるものがありますが、誰も法律上の責任が問われないような事故というのは世の中にはなくはないということは、認識しております。

 

 

記者:

 そうすると、トンネルを通ったら、お亡くなりになるという偶然も被害者は甘んじて受け入れるべきなんでしょうか。被害者救済の自賠責制度がありますが、現状では、この自賠責保険の死亡保険金すら家族には下りません。

 

 

知事:

 少なくとも道路管理者としては、道路の管理に瑕疵はないと思っています。その上で自賠責の保険が払われるかどうかは、保険会社の問題でもあると思いますので、県がそれについて、いいとか、悪いとか、コメントすべきものではないと思っています。少なくとも県が道路管理者としての責任を負うような案件ではないということははっきり申し上げます。

 

 

記者:

 対策のことについて、同じ日の会見で知事はこうも話しています。助人トンネルに看板がなかったことをもって、この事故の発生に結びつけるような質問の趣旨は理解しかねると。私自身も看板だけで事故防止ができるかと問われれば、そうではないと思っています。しかし、今年1月、県土マネジメント部がまとめた事故報告書によれば、約30か所で危険予知を促す注意看板を事故後に設置したと報告しています。これは、県がそのことによって事故防止ができると考えるから、そういう報告をしたと思います。前知事の下でできた報告書に不備があるとすれば、もう一度やり直すべきではないかと思いますが、改めて、山下知事の考える事故防止対策はどうあるべきか、お考えを教えてください。

 

 

知事:

 交通事故はいろんな要因で起きるわけで、多くはドライバーの注意義務違反が多いと思いますが、中には道路の構造自体に問題がある場合もあるし、啓発用の看板があったか、なかったかということも事故防止につながったかどうかという要因の一つにはなると思います。ただ、看板があれば必ず事故が防げたというような因果関係はあんまりないと思います。看板を掲げていても見過ごして、注意もせずに、うっかり運転ミスをしてしまったというようなこともあります。看板が設置されていなかったことのみをもって、道路管理者が国家賠償法上の責任を問われたような裁判例があるのか、ないのか、分かりませんが、少なくともこの助人トンネルの事故に関しては、工事中の看板はあったが、工事後に設置したような看板はなく、その看板さえ設置していれば、事故が防げたかというものでもないと思います。法律上の責任が認められるためには、因果関係というのが必要ですから、看板さえ設置されていれば事故が起きなかったという、そういう法律上の因果関係があるかというと、私はそうは言えないと思います。だから、そういう意味で言うと、看板が設置されていなかったことのみをもって、県が道路管理の瑕疵を問われるようなものではないと認識しています。ただ、その看板を、そこのトンネルも含めて、事後に複数箇所に設置したというのは、もちろん看板による注意喚起が事故防止の一助になるからしたわけで、その看板を県が設置したら、それで事故が100%なくなるかというと、そういうものでもないです。ただ、事故が減ることにつながるだろうと思ってしているわけで、看板のあるなし自体を事故の法的責任に結びつけるというのが法律家の観点からすると、論理に飛躍があると感じます。

 

 

記者:

 やはり家族はどこにも責任がないということを受け止められない気持ちでいるようです。それに対して、もう少し何か言葉があれば、お願いします。

 

 

知事:

 私も弁護士として、そういった事故の被害者や遺族の相談に乗って、いろいろな対応をしたこともありますので、そういうご遺族のお気持ちというのは分かります。持っていき場のない悲しみとか、怒りをどうしたらいいのかというのは、よく分かりますが、それと道路管理者の責任とは、また別の問題ですので、今、私は道路管理者である県が法律上の責任を負う場合はどういう場合かということを申し上げています。知事の記者会見ですから、道路管理者としての県の代表者の知事としては、今回のケースは県が法的責任を負うような案件ではないということです。ただ、ご遺族のそういう持っていき場のない悲しみとか、怒りという気持ちは想像できます。

 

 

記者:

 ありがとうございました。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして、知事定例記者会見を終了させていただきます。

 

 

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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