令和5年10月31日(火曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○令和4年度 県内市町村普通会計決算(概要)
○「広報担当 Vtuber」キャラクターの決定と愛称募集について

【質疑応答】
○リニア中央新幹線について
○奈良の鹿愛護会に関する調査結果について
○国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会について
○大阪・関西万博における関西パビリオンの建設費について
○知事就任半年の振り返りについて
○ライドシェアについて

 

 

 

司会:

 おはようございます。ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の記者会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。また、本日配付しております記者会見資料は、奈良県のホームページに、ライブ配信と同時に掲載しております。

 本日は、知事からの発表案件が2件ございます。それぞれの発表後に質疑応答の時間を取らせていただきます。

 まず、1件目の発表案件は、「令和4年度県内市町村普通会計決算(概要)」でございます。

 それでは、山下知事から発表いただきます。知事、よろしくお願いします。

 

 

【発表案件】令和4年度 県内市町村普通会計決算(概要)

 

 

知事:

 お手元に資料を6枚お配りさせていただいております。まず、令和4年度県内市町村普通会計決算の概要についてでございますけれども、県内市町村の普通会計決算の総額につきましては、令和4年度は令和3年度と比べまして、歳入、歳出ともに減少しております。1ページ目に記載の通り、経常収支比率は4年ぶりに悪化し、93.4%となりました。ただ、経常収支比率が100%を超えた地方公共団体はございません。なお、全国的にも、経常収支比率は令和3年度より悪化しております。

 2ページ目の実質公債費比率につきましては、奈良県は4年連続で改善していますが、依然として全国平均を上回る水準となっております。将来負担比率については、13年連続で改善していますが、全国平均を上回る水準となっています。

 3ページ目の基金残高比率につきましては、3年連続で改善しております。市町村税の徴収率は2年連続で改善しております。

 続いて、4ページ目ですけれども、令和3年度の決算につきましては、奈良市、平群町、河合町に対して、奈良県から重症警報というものを発令しておりましたが、令和4年度におきましても、引き続き発令を継続せざるを得ないという判断になっております。

 5ページ目は割愛いたしまして、次のページの「参考」と記載されたA4横の資料をご覧ください。奈良市、平群町、河合町の、4指標の経年変化を示しております。経常収支比率につきましては、先ほど申し上げましたように県平均も悪化していますが、特に奈良市は令和3年度から令和4年度にかけて5.8ポイントも上昇しており、財政の硬直化が、平群町や河合町と比べても顕著に進んでいると言わざるを得ないと思います。実質公債費比率と将来負担比率につきましては、3市町とも改善しております。基金残高比率につきましては、平群町と河合町は改善していますが、奈良市は悪化しているという状況でございまして、3つの自治体の中でも、奈良市が大変厳しい状況にあると認識しております。

 1件目の発表案件については以上です。

 

 

司会:

 ありがとうございました。

 ただいまの発表案件につきまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いをいたします。

 産経新聞さん。

 

 

記者:

 幾つか主要な財政指標をご紹介いただきましたが、改善しているものが多いものの、依然、全国平均を上回るものも多いかと思います。この点について、知事の受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。

 

 

知事:

 奈良県内の市町村は、もともと財政状況があまりよくないという状況でございまして、改善傾向にはあるものの、まだまだ全国平均に至っていないということは、もっと行財政改革を進めなければならない余地が大きいということを物語っているのかなと思います。また、平成の大合併があまり進まなかったことから、経常的な支出が依然として大きいというのも要因としてあるんじゃないでしょうか。今回、経常収支比率が悪化したわけですけれども、先ほど申し上げたとおり全国的にも悪化してるんですが、県内市町村の悪化率の平均は、全国平均以上なので、引き続き行財政改革を進めていく必要があるというふうに認識しております。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 将来に負担を先送りしないということが重要なのかなと思うんですけれども、行財政改革のポイントとなってくるのはどういったところだとお考えでしょうか。

 

 

知事:

 奈良市とか河合町は以前、不良債権を土地開発公社などから買い取っていました。三セク債(第三セクター等改革推進債)というのを一挙に発行し、第三セクターや土地開発公社が保有していた不良資産を購入し、現在、その三セク債を返済中だと思います。結局、しばらく前の放漫的な財政運営のツケを払わされてるということで、後から首長になられた方にとってはお気の毒な面もあるんですが、誰かがその過去の負債のツケを払っていく努力はしなければいけません。平群町も、土地開発公社からの不良資産の買上げが大きいんですか。

 

 

担当課:

 はい、あります。

 

 

知事:

 各市町長とも、おそらく、自身の就任時にそうした不良資産を購入したわけではなく、言葉は悪いですけど、いわば尻拭いをさせられていて気の毒な面はあるんですが、財政の健全化が進まない限り、新しい住民サービスを提供する財源が得られませんので、何とか頑張っていただきたいと思います。また、平成の大合併が進まなかったため、奈良県には小規模な自治体が非常に多いと思います。39市町村あるうち、12が市で、27が町村ですから。私からは言いにくいですが、一般的に言えば、報酬、議員定数、職員数など、人件費が自治体の歳出の中で最も多い割合を占めますので、そういったことにまで踏み込んで改革に取り組まないと、なかなか財政状況は好転しないんじゃないかと思います。その判断は各首長が行うことですが、やはり人件費に手をつけないと、スピーディーな改善は難しいんじゃないかと思います。私が生駒市長の時には、職員数を1,000人から800人に2割削減し、給与も削減しています。もちろん、特別職の給与も減らしましたけどね。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 日本経済新聞さん。

 

 

記者:

 市町村の財政と効率化に関わる奈良モデルについてお聞きしたいと思います。知事は、就任からの半年で、県域水道一体化などを含めて、いろんな市町村と対話されたと思うんですけれども、奈良モデルについての評価や今後の在り方について、知事のお考えをお聞かせいただけますか。

 

 

知事:

 繰り返しになりますが、平成の大合併が進まず小規模自治体が非常に多い状況で、財政面や人員面で弱い自治体が多いと思います。行政の広域化を進めるとともに、県がそれをバックアップしていくという意味で、奈良モデルというのは必要だと思います。

 

 

記者:

 知事が就任されてから、奈良モデルという言葉自体があまり使われなくなったように感じます。前知事が積極的に推進した取組ですけども、奈良モデルという言葉自体は、今後も使われるのでしょうか。あるいは、これに代わる新しい言葉などを考えておられるのでしょうか。

 

 

知事:

 奈良モデル自体は悪いことじゃないと思いますので、言葉は使っても問題ないと思います。ただ、奈良県だけが特徴的なんですかね。それがよく分かりませんけれども。

 

 

記者:

 進んだ取組だということで、国でもよく取り上げられたりしているようです。

 

 

知事:

 そうですね。その言葉については、特に拘りありません。ニュートラルです。

 

 

記者:

 今まで、消防や医療などに取り組んできましたけれども、知事が半年見てきた中で、新たな分野で市町村との協力や効率化を進められるようなことはお考えですか。

 

 

知事:

 消防、上水道、国民健康保険、後期高齢者医療制度などの分野ですでに協力が進んでいます。もし、他の分野で何かできることがあるとすれば、介護保険ですかね。ただ、介護保険の分野で広域行政が必要だということはあまり聞いたことがないですね。また、県では、土木系の職員について県と市町村との共同採用試験を行っていますが、市町村では、そういったインフラ整備を効率的に進めるための技術系職員が不足しています。その上、募集しても倍率が1倍を超えないんです。県ですら、土木系職員の倍率がなかなか1倍を超えないんです。そういった、特に土木系のインフラ整備を担う職員が、県でも市町村でも不足しているので、そういう部分は、今後、県と市町村で協力してやっていくという流れを強めていかざるを得ないんじゃないかと思います。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

 

記者:

 残念ながら、奈良市、平群町、河合町の重症警報というのが令和に入ってからずっと継続しているという状況ですが、この間、県としてもいろいろサポートを行ってきたと思います。今後、県として、これらの自治体の財政改善に向けて、何か具体的な案はありますでしょうか。

 

 

知事:

 そうですね。河合町からは、そういった行財政改革を進めるに当たって、キーマンとなる人材を派遣してほしいという要望がありましたので、先般、協定を締結し、副町長を派遣しましたが、それぞれの自治体は独立した地方公共団体なので、県からどうこう言えないと思います。協力の要請があれば、もちろんそれをサポートするのが県の責務だと思っていますが、そもそも協力を求められなければやりようがないというのが率直なところです。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 河合町と協定を締結して、副町長を派遣されてると思うんですが、来年度決算から、またその成果が問われてくると思います。協定に期待することや目標があれば教えていただけますでしょうか。

 

 

知事:

 協定では、派遣期間は基本的に2年だとされています。財政指標における数値目標も協定書には盛り込んでおりますが、2年経過して、ここで示している数値目標が達成されなければ、2年で人員を引き揚げるということを明記しています。その数値目標をクリアしていただければ、3年目も4年目も派遣できますので、私としては、引き続き県としてサポートできるよう2年間全力で頑張ってほしいと思います。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

【発表案件】「広報担当 Vtuber」キャラクターの決定と愛称募集について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、2件目の発表案件に移らせていただきます。

 2件目は、「『広報担当 VTuber』キャラクターの決定と愛称募集について」でございます。

 それでは、知事からグランプリ作品を披露していただいた後に説明をお願いします。

 

 

知事:

 こちらがグランプリに選ばれた作品でございます。記者の皆さんにもご協力いただきまして、県民投票を実施しました。総数3,214の投票がありまして、うち、この作品が1,378票を獲得して、1位に選ばれたということでございます。投票者数の県民、県外の割合は、県民が2,517、県外が697でございました。グランプリの受賞者は、「塩かずのこ」というペンネームの奈良県出身のイラストレーターの方です。「地元奈良を代表するブイチューバーのデザインにご選出いただけたことは、私にとっても大きな喜びです」というコメントを寄せていただいております。

 引き続きこの作品の愛称を公募したいと考えており、お手元の資料にも記載のとおり、11月1日から11月17日までの期間で愛称を募集いたします。受賞者には賞金として5万円を贈呈する予定でございます。応募資格は特に問いません。今後の予定は、来年3月にこの愛称を発表し、お披露目動画を制作、公開する予定です。

 以上でございます。

 

 

司会:

 ただいまの発表案件につきまして、ご質問がございます方は挙手にてお願いします。

 産経新聞さん。

 

 

記者:

 グランプリ作品が決まったということですけど、知事から見て、このキャラクターの印象はいかがでしょうか。

 

 

知事:

 非常にかわいらしいと思います。奈良のシンボルである鹿をイメージしており、セーラー服の上に和装を羽織っている点も、非常に奈良らしいデザインだと思っております。

 

 

記者:

 今後、PRの動画などで活用される予定ということですが、どのように活躍してほしいと考えていますか。

 

 

担当課:

 今後は、このブイチューバーをナビゲーターとした県政PR動画を制作したり、ブイチューバー専用のX(旧ツイッター)も新設したいと思っております。また、若年層への波及を期待しておりますので、例えば選挙の広報であったり、職員の募集情報であったり、そのような情報発信にもこのブイチューバーを使っていきたいと考えております。

 

 

記者:

 せんとくんとのすみ分けはどのようにされるのでしょうか。

 

 

担当課:

 せんとくんも奈良県のマスコットキャラクターとしては非常に人気、認知の高いものでございます。せんとくんとも協力しながら、奈良県の関心を高めるような活躍を2人で進めていってもらいたいと思っております。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 グランプリ候補の3作品が発表されたときに、ネットで少し話題になっておりまして、やっぱりせんとくんでいいじゃないかといった声もありました。新しいキャラクターが出てきたことによって、せんとくんの出る場面も少し減ったりするのかと思いますが、改めて、せんとくんとの役割分担はどのようにお考えでしょうか。

 

 

知事:

 せんとくんは、しゃべらないキャラクターなので、さきほど担当課から説明のあった県政PR動画に出て何かしゃべったりとか、あるいは、若年層向けの情報発信をする場合は、あまり向いてないんですよね。それと、やっぱりこういった広報の方が若い人には評判がいいじゃないですか。せんとくんは、どっしり構えておいていただいて、こういうかわいらしくて若々しいキャラクターが動き回るといった、静と動みたいな感じでうまく役割分担をしていっていただければいいんじゃないかなと思います。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

リニア中央新幹線について

 

 

司会:

 それでは、その他のご質問がございます方は挙手にてお願いをいたします。

 奈良テレビさん。

 

 

記者:

 リニア中央新幹線について質問させていただければと思います。まず、1点なのですけど、JR東海の丹羽社長が昨日の会見で、奈良市-大阪間の環境アセスメントの法的手続の着手について、今年度中は困難という見解を示されました。リニア中央新幹線は奈良県にとって期待も高まっていると思いますが、これについての受け止めをお願いします。

 

 

知事:

 それは事前にJR東海のほうから我々も聞いておりまして、本来は今年度中にしてほしかったのですけれども、まだ「奈良市附近駅」の位置も決められていない状況なので、環境アセスメントへの着手というのは難しいのかなと思います。もともと大阪までの開業は2037年を予定していたと思いますが、それは厳守していただきたいという思いは変わりません。JR東海には2037年には大阪までということは私からお願いしていますが、静岡工区の工事の影響で名古屋までも遅れるとささやかれる中、新大阪までの開業の時期が遅れることを懸念しているという状況でございます。

 

 

記者:

 奈良市附近駅についてなのですけれども、3か所の有力候補地の地質調査を今後行うとされているのですが、改めて、それぞれの3か所の特徴や、どのように考えられているかというのと、絞り込みについてはどういった状況かというのを教えていただきたいです。

 

 

知事:

 既にボーリング調査はされているようで、先般、奈良県のリニア建設促進期成同盟会の総会がございまして、そこでJR東海の担当者がパワーポイントを使って説明されていましたけれども、どこも一長一短という状況のようでございます。交通の結節性という点でいうと、JR大和路線と近鉄橿原線の交差する辺りが、乗換えのしやすさという点では優れていると思いますけれども、南に大回りになるので、建設工事費が膨らむという懸念があるだろうと認識しています。一方で、JR平城山駅附近は、既に結構都市化されています。鉄道は推進工法で線路部分は掘れるのですけど、駅は地上から掘るしかないので、都市化されている場所は、非常に建設しにくいという事情があるようで、JR平城山駅も新設されるJR八条駅もそういう問題はあるということですし、まず、地盤の点では、いいところと悪いところがあるようで、本当に様々な課題があって、JR東海も絞り切れていないということなので、県としては、県が持っているいろんな客観的なデータの提供をはじめとして、今、JR東海の進めている調査には全面的に協力しますけれども、まだ技術的な問題がある以上、そのJR東海の調査の推移を見守るしかないのかなと私は思っています。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

奈良の鹿愛護会に関する調査結果について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 産経新聞さん。

 

 

記者:

 鹿の虐待疑惑の調査の関係のことで教えてください。今調査に当たっていると思うのですが、その進展と、スケジュールのめどがあれば教えていただきたい。

 

 

知事:

 今、調査報告書の最終取りまとめをしている段階でございまして、11月6日、午後2時半より臨時の知事記者会見を開かせていただいて、その場で調査報告書の発表をさせていただきたいと思っております。

 

 

記者:

 これは奈良市も調査していると思いますが、その調査を待ってとか、そういうのはなく、県は県で発表するという形になりますか。

 

 

知事:

 そうですね、別にどちらが先に発表するとか、しないとか、そういった打合せはしておりませんが、情報交換はそれぞれチーム同士でしているというように聞いております。調査報告書の結果は、それぞれまとまった段階で、知事や市長のスケジュールを見て発表するということなので、市に合わせるとか、合わせないとか、そういうことは特に配慮はしていません。

 

 

記者:

 分かりました。

 調査内容については、その会見のときに質問しようと思うのですけれども、昨日、奈良市の仲川市長が定例記者会見の中で、今後の鹿の保護や管理について、県や春日大社とも検討していくというようなことを発言されていましたが、連携のための会議体を設けたり、何か考えられていることというのはあるのでしょうか。

 

 

知事:

 どういった形で今後の対応策を議論して決めていくかということについては、現段階ではまだ明確なことは決まっておりませんけれども、奈良の鹿愛護会に対する補助金は、県と奈良市と春日大社が一定割合で出していますので、当然、奈良市や春日大社も参画していただいて議論するのが適当と私は思っていますが、そういう会議体に加わりたいか、加わりたくないかというような意向はまだ確認していませんので、何とも言えないのですけれども、従前からその3者で鹿愛護会に対して補助金を出してきたという経緯からすると、一定程度関わっていただくべきかなとも思います。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

 

記者:

 今回の問題について、改めて知事はどのように感じていて、その結果、担当部局に調査を指示しているのかと、どういったところが一番問題であり、今後改善すべきことだというようにお考えなのかというところをお願いします。

 

 

知事:

 大分前に、農作物の被害を受けた農家の方数名が裁判を起こされまして、その裁判の和解で、農作物被害に対しては県や市も入っていたか、きちんと農作物被害を防止するための対策に取り組むということが和解条項で盛り込まれました。その具体的な形態として、特別柵に農作物を荒らした鹿は死亡するまで収容されるということが、その時点から行われてきたわけですけれども、年々、特別柵に収容される鹿の数が増えておりまして、物理的にももう過密状態だと、スペース的にも。予算を増やせば餌は増やせたのかもしれませんけれども、水飲み場も2か所しかないとか、やはり野生動物ですから、強い個体と弱い個体というのがいて、強い個体が全部餌を食べてしまって、弱い個体のほうに回ってこないというような問題があって、特別柵に農作物を荒らした鹿を全頭収容するという、枠組み自体がもう、限界に来ているのではないかという認識は持っていまして、今後の検討課題としては、それをどうするかということがメインの論点になるのではないかなと思います。

 

 

記者:

 やはり何らかの見直しが必要であるということでしょうか。

 

 

知事:

 必要だと認識しています。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 特別柵に全頭収容する枠組み自体を何らかの見直しが必要ではないかというお話が先ほどありましたけれども、そうなってきますと、現状のA、B、C、Dの線引きですとか、あるいは、旧奈良市の鹿が天然記念物に指定されているというところ自体をどうするかといったあたり、あるいは鹿の駆除自体をどうするかとかいったところなども連動して考えなければいけない問題だと思うのですが、現時点で知事のお考えはどういったものなのか、お聞かせください。

 

 

知事:

 今おっしゃったような問題点が上がってくるかと思いますが、まだその今ご指摘いただいた論点についてどう考えるかについては、私の考えもまだまとまっていませんし、いろんな人の意見を聞いた上でないと、軽々にコメントできる問題ではないと思いますし、外部の有識者にも入ってもらって、何らかの委員会的なものを立ち上げることになろうかと思います。県と奈良市と春日大社と鹿愛護会だけで決めるような問題ではないと思いますので、そういう有識者も入った委員会での議論を尊重して対応するということになろうかとは思いますけれども、基本的な方向性としては、やはり特別柵を見直すという形で議論してもらうという形で委員会に議論をお願いするという形になるのかなと思います。具体策をどうするかは、その委員会のほうで練っていただくことになろうかと思います。

 

 

記者:

 これまでも、その鹿の保護・管理の委員会というのは、組織としてはあったと思うのですけれども、こういう問題が長く解決されてこなかったといったあたりに関して、知事、現時点でお気持ちというのはいかがですか。

 

 

知事:

 今回、鹿愛護会の獣医師さんの内部告発をきっかけに、こういった事態が明らかになって、全国的にも注目されることになったわけですけれども、もっと早く手を打てたのではないのかなという思いは率直に言ってあります。

 

 

記者:

 6日は、あくまで告発に対しての、あるいは特別柵というものに対しての調査結果の発表であって、この辺りに関してというのは、またもっと先の話になってくるということですか。

 

 

知事:

 11月6日に発表する調査報告書は、今の鹿園での、特に特別柵における鹿の保護、管理の在り方、ここにどういう問題があるのかということについての話が中心になると思われます。獣医師さんのご指摘のとおり、多くの鹿が痩せ細って、平均寿命を全うすることなく死んでいっているような実態があったのか、なかったのか。あったとしたら、その原因は何なのかというようなことについての分析結果を報告し、それを踏まえてどうしていくかということについては、今後、委員会等を立ち上げて、そこで議論していただき、それに委ねることになろうかと思いますので、今後、特別柵をどうしていくかということの方向性が出るには、もう少し時間がかかると思います。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

 

記者:

 先週の橿原市長選挙で、現職の亀田市長が再選されましたが、改めて、亀田市長との向き合い方について知事はどのように考えていますでしょうか。

 

 

知事:

 双方が公職にある身ですので、選挙が終われば、県と橿原市という立場で、必要に応じて連携、協力をしていくのは当然と思っています。

 

 

記者:

 橿原市と県との間では、国体の会場の問題が主な論点になっていますが、亀田市長の就任後の記者会見で、国体に関して山下知事とはまだ交渉のテーブルにも着いてもらっていないという発言がありました。知事として、この発言をどのように受け止めますか。

 

 

知事:

 橿原市から要望書を頂いておりまして、それに対してまだ回答ができておりません。県の方針が定まった段階で、要望書に対する回答という形で、話合いをする機会を持つことになると思います。陸上競技場の開催場所や県立橿原公苑の整備内容については、陸上競技は鴻ノ池陸上競技場で、県立橿原公苑は改修等で、大きな方向性は出ておりますが、もう少し具体化した段階で、話合いの場を設けたいと思っています。

 

 

記者:

 その要望書はいつ頃提出されたものでしょうか。

 

 

知事:

 7月の終わりぐらいだったと思います。

 

 

記者:

 分かりました。

 選挙の結果は民意を反映していると知事もよくおっしゃっているかと思いますが、今回、橿原市での会場整備が必要だと亀田市長は訴えられて、その結果、当選されたということですが、今回の選挙結果、言い換えれば橿原市民としては、橿原での会場整備を望んでいると言い換える見方もできます。今後、知事として、橿原市民の皆さんへ何か説明されるお考えはありますか。

 

 

知事:

 亀田市長の望まれている整備は、恐らくもともとの案のとおり、橿原運動公園の土地を県に譲渡して、そこに第1種陸上競技場を建ててほしいということだろうと思いますが、それについては、今回の選挙結果がそういう要望を市民の大多数が持っていると判断していいかどうかは、私は言及しません。市当局からのそういう要望は従前どおり聞いていますが、これはあくまで県が土地を買って、お金を出して整備するものですから、それをどうするかについては、最終判断は県でさせていただきます。そういう要望を選挙前から掲げていた市長が当選されたということは重く受け止めつつも、どうするかは、最終的には県で判断させてもらいます。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 以前、大阪府との共催もいいのではないかと発言されていましたが、そのお考えというのは現状も変わらないでしょうか。

 

 

知事:

 それは、いろんな前提条件付の話であり、まず、鴻ノ池の陸上競技場の使用ができない場合は、現時点では第1種陸上競技場がないので、大阪市の長居陸上競技場を借りざるを得ないということです。奈良市が貸してくだされば何ら問題ないので、大阪府との共同開催はないと思います。もしも奈良市から貸してもらえず、長居陸上競技場を使うということになり、大阪市もそれを承諾した場合に、単に会場のお金を払って借りるだけか、大阪府がある程度主体的に国体の開催に関わってくださるのか、これはまだ全く奈良県から投げかけもしていませんので、どうなるか分かりません。要するに共同開催ということは、当然、人もお金も出してもらうということですから、大阪府の了解が得られるかどうか全く分かりませんが、ただ、鴻ノ池を貸してもらえない場合は、そういったこともあり得るということでご理解ください。

 

 

記者:

 最悪の場合、県外での開催もあり得るという認識ですか。

 

 

知事:

 一部競技についてで、もちろん全部ではありません。例えばヨットなどがそうです。

 

 

記者:

 新設をしないことで競技会場の想定が変更された競技もあると思いますが、そういったものも、現状の施設で県内開催が難しい場合は、新設ではなく、県外での開催を模索するということですか。

 

 

知事:

 はい、そうです。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

知事:

 1点、付言しておきますと、今年まで国体と言って、来年から国民スポーツ大会になりますが、今、2巡目がそろそろ終わり、今度3巡目に入ります。これは文部科学省と日本スポーツ協会と各都道府県、この3者が共同して開催するとなっており、今、日本スポーツ協会が3巡目の国民スポーツ大会の開催の在り方について検討する委員会を立ち上げています。これに呼応する形で、つい先日、報道もされていましたが、全国知事会も3巡目の国民スポーツ大会の開催の在り方を検討する委員会を新しい全国知事会長の村井宮城県知事の下で立ち上げることになりました。全国の都道府県に対するアンケートでも、開催県の負担が大き過ぎるということが言われていまして、一つの県が丸抱えで国民スポーツ大会を行っていくことが非常に各都道府県の財政を圧迫しているという状況にあるので、多分、3巡目は、今のインターハイと同じように、共同開催が珍しいことではなくなると思っています。大阪府と共同開催と言えば、何かとんでもないことのように思われるかもしれませんが、これは時代の流れを先取りしたものであると私は思います。

 

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 時事通信さん。

 

 

記者:

 県の方針が定まった段階で橿原市に要望書の返答をするとおっしゃっていましたが、それは陸上競技場については、奈良市の鴻ノ池陸上競技場で開催する前提で返答するということですか。

 

 

知事:

 奈良市の陸上競技場を借りられる方向性がもう少しはっきり見えてきた段階で返答します。

 

 

記者:

 橿原市長選を受けても、知事としては、そのまま奈良市でという方向性に変わりはありませんか。

 

 

知事:

 変わりありません。

 

 

記者:

 分かりました。

 

 

大阪・関西万博における関西パビリオンの建設費について

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

 

記者:

 大阪・関西万博で関西広域連合が建設をしようとしている関西パビリオンについて、建設費が1億4,000万円ぐらい上振れで、6億7,000万円ぐらいになるという見通しで、今後、関西広域連合の議会でその関連の補正予算などについて審議がされると思いますが、この件について、どのようにお考えでしょうか。奈良県としてはどのように対応していきますか。

 

 

知事:

 関西広域連合が公にしている資料によりますと、その増額が1億4,500万円で、そのうち、バックヤードの増床等のパビリオンの仕様変更で8,600万円、それから、労務単価、資材価格の高騰で5,900万円と聞いております。仕様変更の具体的な内容は私は承知しておりませんが、この労務単価と資材価格の高騰は、今のご時世なので、やむを得ないと思っております。県発注の工事でも、中町の道の駅と県立文化会館の改修が、いずれも入札が不調に終わった一番大きな原因は、この労務単価と資材価格の高騰です。仕様変更の具体的な内容は把握してないので、コメントは控えさせていただきます。

 

 

記者:

 ありがとうございました。

 

 

知事就任半年の振り返りについて

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 読売新聞さん。

 

 

記者:

 間もなく知事就任から半年を迎えられるということで、この半年間を振り返って、知事ご自身の評価と、今後、来年度予算の編成の時期にも入ってくると思いますが、来年度に向けてどういったことをしていきたいかをお伺いします。

 

 

知事:

 就任半年の間に、選挙で公約しました前知事時代の大型プロジェクトの見直しに道筋をつけることができまして、それによって生み出した財源で、重要公約の一つであった私立高校の授業料の実質無償化もある程度方向性を打ち出せました。まだ授業料の実質無償化の予算は議会を通っていませんが、2つの大きな重要な選挙公約に関して、ある程度の方向性を県民の皆さんにお示しすることはできたのではないかなと思っております。今後の課題は、見直した大型プロジェクトのうち、既に県が用地を買収している大和平野中央田園都市構想の3か所の用地と、五條市の広域防災拠点の用地、これをどうしていくかということが残された課題で、なるべく早く方向性をお示ししたいと思っております。できれば来年度予算に何らかの予算は盛り込みたいと思っております。それと、私立高校の授業料の実質無償化以外の様々なソフト施策については、令和6年度の当初予算にできるだけ盛り込んでいきたいと思っておりまして、いずれにしても、選挙で公約したことをスピーディー、かつ、着実に実施していきたいと思っております。

 

 

記者:

 着任直後から、事業査定、見直しを始められて、着任して1週間で視察に知事自身も行かれていたと思いますが、ここの半年間というのはかなりスピーディーに進めてこられたというようなご自覚はありますか。

 

 

知事:

 はい。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

ライドシェアについて

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 時事通信さん。

 

 

記者:

ライドシェアのことでお伺いしたいです。大阪府でも検討を始めるとか、神奈川県でも神奈川版で動くとか、あと、岸田総理が所信表明で演説されたりと、全国的にライドシェアが広がり、検討する方向で広がっている状況かと思いますけども、知事のお受け止めと、また、奈良県として何か取り組む予定があれば教えていただきたいです。

 

 

知事:

 奈良県におきましても、タクシーの運転手も不足しているという問題はございまして、特に山間部では、本当にタクシーがそもそも動いてないと、台数が全く足りないという状況にあるということを聞いております。先般、ある町長から、うちでは、このライドシェアをやりたいのだというような要望を、雑談の中ですけど、聞きまして、知事の考えはどうですかと聞かれたので、いや、それは必要性があるのでしたら、それは私はやるべきじゃないですかというようにお答えしたのですけれども、タクシーの運転手さんが確保できないのであれば、一般の人がマイカーで有償で送迎するというのはあってもいいのではないかなと私は思いますが、ただ、では、どうやって安全性を担保していくのかということは、まだ具体的な形は見えてきてないと思いますので、実施する以上、国の動きとか、他の自治体の動きを十分調査して、そういう利便性の確保と安全性の確保が両立できるような方策をよく練った上で導入しなければならないかなと思っております。

 

 

記者:

 ありがとうございます。

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

 

 

知事:

 ありがとうございました。

 

 

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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