令和5年11月6日(月曜日)知事臨時記者会見

【案件】
○鹿苑における鹿の管理状況に関する調査結果報告について

 

 

鹿苑における鹿の管理状況に関する調査結果報告について

 

 

司会:

 ただいまから、知事臨時記者会見を始めさせていただきます。本日の案件は、鹿苑における鹿の管理状況に関する調査報告についてでございます。山下知事より説明いただきます。知事、よろしくお願いいたします。

 

 

知事:

 事前資料を配っておりますので、ポイントだけ説明します。

 調査報告書の2ページ、全体所見というところで、「動物の五つの自由」という観点から調査をしましたが、そのすべての指標に抵触しており、鹿苑のシカの特別柵内におけるシカの収容環境は不適切であると判断しました。

 特別柵内のシカは総じて削痩傾向にあり、削痩というのはやせて著しく、体幹が細くなった状態のことを言います。特に牡鹿の削痩が著しく、また牡鹿の死亡頭数の割合が牝鹿に比べて多いということです。

 また、鹿の愛護会の飼育を担当している職員だけでなく愛護会全体として適切な給餌・給水・えさの質、野生の鹿の修正等に関する知識不足が見られました。

 しかし、今後専門家等からのアドバイスを受けることによって知識の習得は可能であると認識をしております。

 現在は特別柵内の収容頭数が適正に飼育できる頭数を超過している状況で、現在の対応方法には限界があるものと思料をしております。

 その次に、愛護会の獣医師の指摘とそれに対する調査チームの評価を記載しております。

 現地調査の詳細な結果は3ページの末尾以降に記載をしております。7ページをお開きください。調査結果を踏まえての県の見解ですが、昭和60年に和解に至ったいわゆる鹿害訴訟の和解条項により、農業被害を出したシカを収容しているところですが、再度農業被害を及ぼす恐れがあることから、これまで放すことができず、奈良の鹿愛護会では鹿苑の特別柵において収容したシカを管理してきました。

 しかし今回の調査におきまして鹿苑の特別柵におけるシカの飼育状況が動物の五つの事由のすべての指標に抵触しており、やせ細った状態にあるなど適切な環境を維持することができておらず、これを放置していたことについては、奈良の鹿愛護会の責任が重いというふうに考えております。

 ただし、金銭的、人的にも限りがあった中で、愛護会は鹿苑のシカの管理のほか、そこに記載されている様々な事業をしておりまして、多岐にわたる業務を担っておりましたので、特別柵におけるシカの飼育に関して十分な対応ができなかったことにつきましては、酌むべき事情もあると考えております。

 鹿苑の管理主体である県としては、特別柵内のシカの飼育状況について、愛護会から何の連絡や相談がなかったことについては残念ですが、県としてもみずから主体的に飼育状況の把握をしてこなかったことについては、県にも一定の責任があると考えております。

 県としては、有識者や専門家などのご指導・ご意見をいただきながら、改善策を検討しまして、今後愛護会に対してしっかりと指導・支援をして参りたいと考えております。

 また、短期的な視点での対策を実施した上で、中長期的な視点での対策についても、1年をめどとして検討したいと考えております。早急に取るべき対策を実施していく所存でございます。

 調査結果を踏まえての今後の対応ですが、短期的な対応と中長期的な対応とに分けて検討をしております。

 短期的な対応としては、現状の鹿苑の特別柵内の環境を改善するということです。有識者による愛護会への指導・助言、具体的には、えさの質量・給餌の頻度など適切な給餌給水の指導、それから鹿の特性を理解した管理方法の指導、これを行って参りたいと考えております。また、鹿苑の特別柵内の応急的な飼育環境の改善としては、効果的な日陰や雨よけなどを指導いたします。えさ等の改善にかかる必要な経費の支援、また、えさの無償提供やその他の寄付をぜひ県民や市民や団体等に依頼して参りたいと思っております。

 中長期的な対応といたしましては、鹿苑の特別柵のあり方や、天然記念物奈良のシカの保護の範囲のあり方について検討して参りたいと考えております。すでに県が設置している奈良のシカ保護管理計画検討委員会におきまして、当該委員会の有識者のみならず、獣医師や、利害関係者を委員として招聘し、今まで以上に幅広い関係者で議論する場を立ち上げて参りたいと思っております。この委員会において、この特別柵のあり方について検討して、1年をめどに対策を実施できるようにして参りたいと考えております。

 9ページは、保護地区ABCDの地区で何がどう違うのかということを表にまとめたものです。

 A地区は、農地はほぼございません。A地区において、人身に被害を及ぼす鹿、農作物等に被害を及ぼす恐れのある鹿、傷病鹿・出産の近い鹿・小鹿などにつましては、愛護会が生け捕りによって捕獲をしております。

 B地区もほとんど農地はなく、先ほど言った3種類のシカにつきまして、奈良のシカ愛護会が生け捕りにより捕獲をしております。

 C地区につきましては農地があります。市民から要請があった場合に、生け捕りによって捕獲をしております。

 D地区も農地はあります。ここは鹿の愛護会による捕獲はしておりません。文化庁の許可を得た上で、奈良県の第二種特定鳥獣管理区域に基づき、加害個体、ですから農作物等に被害を及ぼす鹿とか人身被害を及ぼす恐れのある鹿を捕獲して、最終的には殺処分をしております。それをより詳細にしたものが10ページ。11ページは、A地区・B地区・C地区・D地区の地図。12頁はC地区までを拡大したもの。それから、13頁・14頁は天然記念物奈良のシカに関する時系列となっております。私からの説明は以上でございます。

 

 

司会:

 それでは、ご質問がございます方は挙手にてお願いいたします。奈良新聞さん。

 

 

記者:

 県にも一定の責任があるとされていますが、知事の受けとめを教えてください。

 

 

知事:

 鹿苑の特別柵の管理に関して、奈良の鹿愛護会に任せきりにしていたという点について、一定の責任があると考えております。

 特別柵内のシカの、ご指摘したような状況について、こちらに相談があれば、もっと早くしかるべき手は打てたと思うが、相談がなかったので、今回のような告発を受けて初めて事態を知るということに至りました。

 相談がなくても、時々見に行くとか、鹿苑の設置主体は奈良県ですから、もうちょっと主体的、能動的な関与をすべきだったのではないかと考えております。

 

 

記者:

 愛護会が管理していたとはいえ、人的にも金銭的にも結構限界だったとありますが、それを受けて、何か県の対応というのはありますでしょうか。

 

知事:

 短期的な対策、中長期的な対策をする上で、お金が足りないということであれば、補助金の増額について、奈良市さん、春日大社さんとも相談して検討して参りたいと思います。

 奈良の鹿のことを気にかけてくださっている人が全国にたくさんいらっしゃるということについては、今回の報道で我々も改めて認識したところでございまして、そのような奈良のシカのファンの皆様にも、資金的な面で広く協力を呼びかけたいと思っております。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。時事通信さん。

 

 

記者:

 特別柵のあり方について、前回の会見で、見直していかなければならないという趣旨の発言がありましたが、報告書を受けての考えを教えてください。

 

 

知事:

 キャパオーバーしていると言わざるをえない状況だと思いますし、えさの質や量についても不十分な点があったと思います。

 短期的には特別柵内の環境をどう改善するかを検討していくことになるし、中長期的には、特別柵で生け捕りしたシカを死亡するまでそこで保護管理するという枠組み自体も、検討委員会で検討していくべきと考えております。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。NHKさん。

 

 

記者:

 今回の調査結果について率直にどのように受けとめておられるんでしょうか。

 

 

知事:

 鹿の愛護会の獣医師さんの指摘がほぼ真実であったと認識をしております。

 

 

記者:

 そのことについては、県としてはどのように感じてらっしゃいますか。

 

 

知事:

 県と愛護会との共同の責任である思っております。

 

 

記者:

 今回、県が調査をする目的は、県が愛護会に対して、公園での業務の管理許可を出しているのが適切なのかどうなのかというところであって、最初に会見をしていただいたときに、愛護会にこのまま管理を任せて良いのかどうかというところもあったかと思うんですが、今回の調査結果を受けて、今後も愛護会に、今まで通り、管理とかを任せるということでよろしいんでしょうか。

 

 

知事:

 愛護会の管理に不十分な点があったということはもう事実だと言わざるをえないんですけれども、その管理を任せていた県が、一方的に愛護会だけが悪いと言える立場なのかというと、やはり先ほども言いましたように、直接現地を見に行って確かめるということもなかったし、シカの保護管理に十分な補助金を出していたのかという点でも、県の対応に問題がないとは言えないわけですから、これは県と愛護会の共同の連帯責任ですので、県と愛護会でともに、特別柵内のシカの管理を改善していく責任があるということで、一方的に管理の委託をやめるという事柄ではないんだろうなと思います。

 その管理をゆだねた側に全く問題がなく、管理を受けていた側に全部問題があるんであれば、管理委託の解除っていうのもあるかもしれませんが、今回はそういうことではなく、実際に県と愛護会以外に、管理を担える団体が他にあるかという問題もありますので、その2点からすると、現時点で愛護会に対する管理許可を取り消すということは考えておりません。

 

 

記者:

 今後の対応のところで、短期的なものと中長期的なものというのが出ていますけれども、まず短期的な方というのは、目処としては、いつごろまでにというのはありますか。

 

 

知事:

 シカの栄養の改善などに関することですから、できる限り早くすべき事柄であると思っていまして、早ければ3ヶ月、遅くても半年ぐらいには改善策を実行に移さなければならないだろうなというふうに思っております。中長期的なものについては、1年後ぐらいを目処に答えを出したいと思っています。

 

 

記者:

 現在あるこの検討委員会に、利害関係者なども加えて幅広く議論を、というふうにありますがこの利害関係者というのは愛護会など、そういった方を含んでいるんでしょうか。どういったメンバーが入ってくるんでしょう。

 

 

知事:

 獣医師さんや、或いは地区の農業団体の方に委員に入ってもらいたいと思っております。

 

 

司会:

 他に質問ございますでしょうか。毎日新聞さん。

 

 

記者:

 知事にお伺いしたいのですけれども今回の問題の根幹といいますか肝の部分はどういったところにあるとお考えでしょうか。

 

 

知事:

 一言で言えば、鹿苑の特別柵内における管理を、愛護会に任せっ放しにしていたという県の対応及び、その管理をゆだねられた愛護会が鹿の生態とか飼育方法に関しては十分な知識がなかったということ。それから、補助金の額が十分ではなかったので、えさの質や量にも限界があったと。主にそういう3点にまとめられるんじゃないでしょうか。

 

 

記者:

 今後のあり方の検討ということで、特別策の運用そのものやこの区分けに関しても今後検討していくということだと思うのですけれども、この中長期的な対策のところで今後メインになるというふうに思われる争点みたいなところは、どんなところにあるとお考えでしょうか。

 

 

知事:

 先ほどA地区からB地区の取り扱いをまとめた表をお配りしましたが、あれがあのままでいいのかといったようなことが、見直しの対象になるんではないかと思います。

 

 

記者:

 今後、中長期的な対策を検討する委員会は、枠組みはそのままで参加される人をふやすということでしょうか。

 

 

知事:

 現在のこの奈良の鹿保護管理計画検討委員会っていうのは、ちょっと有識者ばっかりなんですよ。だから、この委員会でそのまま議論するのは適切ではないというふうに考えていまして、もうちょっと有識者の数を絞った上で獣医師さんとか農業関係者とか、或いは補助金を出している奈良市とか春日大社などの代表にも入ってもらって、検討していくことになる。ですから、既存の委員会とは別枠の委員会を作るというようなことを今のところ想定しています。或いはこの委員会の部会として作るという方法もあると思います。

 

 

記者:

 ありがとうございます。短期的な対応の形に関しては主に環境の改善とかその辺りがメインになってくると思うんですけどこれは近々鹿苑を工事するみたいになるのでしょうか。近々鹿苑を工事して、何か施設を新しくするとかそういうことになるんでしょうか。

 

 

知事:

 その水場の数を増やしたり、えさをあげる場所をふやすなど、そういったことは、多少工事は必要になるかもしれませんが、そういう工事やったらすぐできるんですかね。

 

 

担当部局:

 例えば水飲み場なら、置くこともできますから、短期的にできることなんで、工事を伴うと時間がかかってしまいますので、短期的にできることっていう意味で、単純に物を置いたりとか、そういうことをやっていきたいなと考えております。

 

 

記者:

 わかりました。あと最後に1点まだ調査結果出てないんですけれども、奈良市の方でも本来通告は虐待があるっていうので、虐待のあるなしは今奈良市さんが判断されているところかと思うんですけれども、今後奈良市の方とは、何か連携をしたりなど、考えていることはありますでしょうか。

 

 

知事:

 この調査結果を取りまとめるにあたってはですね、事務レベルで情報交換等はしております。ただ動物愛護法に基づく、虐待に当たるか否かっていうのは判断する権限は県にはございませんので、そこは奈良市さんの判断にゆだねるということになると思います。

 今後奈良市さんと協議していかなければならないのは、その鹿苑の特別柵をどうするかについて、これは従前から鹿の愛護会に対する補助金は奈良市さんにも一部ご負担いただいていますので、鹿苑の特別策のあり方、そしてそれその前段階としての短期的な対応についてはですね、これは奈良市さんとも協議をしていきたいというふうに思っております。

 

 

記者:

 先ほどおっしゃっていた利害関係者なども入る会議に、奈良市の方にも入ってもらうということですよね。

 

 

知事:

 そうです。

 

 

司会:

 共同通信さん。

 

 

記者:

 県の現状認識の部分で少し基礎的な部分の確認ですが、現状、再度、農業被害を及ぼす恐れがあって、再度外に放すことができないということだと思うんですけれども、これは和解条項を根拠にされているのか、それとも愛護会の判断なのか、その他の根拠があるのか、今一度確認させていただいてもいいですか。

 

 

知事:

 和解条項はですね、こういう書き方しています。『愛護会は、国の指導に従い、利害関係人奈良県及び被告奈良市の援助を得て、天然記念物奈良のシカの保護育成、鹿害の防止並びに鹿害が発生した場合における対策に努めるものとする』と、これが和解条項の第1項で、第3項で、『利害関係人奈良県及び被告奈良市は、天然記念物奈良のシカの保護育成並びに鹿苑の対策について、被告財団法人奈良の鹿愛護会に対し援助、協力するものとする』と書いてまして、この和解条項をもとに、特別柵っていうのを設置して、農業被害を、与えたシカは生捕りにして終身がそこで管理するという扱いをずっと続けてるんですが。今読み上げたように、鹿害の防止に努めるというようなちょっと抽象的な書き方なので、その農作物に被害を与えた鹿を、特別柵において、終身、そこに閉じ込めておかなければならないというところまでは書いてないんですね。

 この訴訟の和解条項では、これを受けて、講じられた対策が今の対策で、それが現在まで、続いているわけです。その特別柵における、鹿を終身そこで、死亡するまで保護管理するという枠組みを改めることが、即和解条項に違反するということにはならないだろうというふうに判断をしております。

 

 

記者:

 改善することはできると思うんですが、その頭数が過密状態っていうのは、幾ら丁寧に飼育したところで、頭数が今の状況を超過してるっていうのは、確かに何か枠組みを変えないと難しいのかなっていう気がしてるんですけれども、収容自体について、知事としては最終的には、何かしらの形で緩める方針に持っていくべきなのかというお考えなんでしょうか。

 

 

知事:

 そこはちょっと委員会の議論に予断を与えることは避けたいので、ちょっと現時点でちょっと私の考えを述べるのはちょっと差し控えたいと思いますが、今のルール、鹿を生け捕りにして、そこで終生保護管理するという枠組みは一定見直さざるをえないんじゃないかなというふうに思っております。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。毎日放送さん。

 

 

記者:

 7ページ目に愛護会から特別柵の飼育状況について、何の連絡や相談がなかったというふうに書かれていますが、弊社が取材したところ、シカの数がかなり増えていて場所が足りないとか、また建て直しが必要なのではないかという意見を県にしたというような話も出てきているんですが、これは県としてはそういった相談は一切なかったという認識で間違いないんでしょうかお願いします。

 

 

担当部局:

 愛護会とお話をさせていただいてたのは、あくまでも建物の老朽化とか、そういう話ですので、この今の状態の、細かい話をしたというわけではありません。

 

 

記者:

 では、例えば建物の老朽化の話はあったが場所が足りていないという話は全くなかったということなんですかね。

 

 

担当部局:

 場所が足りてないっていうのは、施設も含めての話全体としたら、施設の大きさも足りないというのは管理棟の大きさであったり、それから手術をする場所があまり適切ではないとか、そういう話はありましたけれども、この具体的な今の問題に触れるようなところについてはなかったというふうに、ご理解いただければと思います。

 

 

記者:

 例えば、えさが足りていないとか、そういったところについても、なかったということなんですね。

 

 

担当部局:

 施設に関するようなことがメインでご相談をいろいろ受けていたというご理解をいただきたいと思います。

 

 

司会:

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 今の質問に関連してのところになるんですけれども、鹿苑の改修工事をしてこられましたが、その中で頭数を50頭ずつに区切るとか、そういった計画もあったように理解をしているんですが、県として主体的に把握してこなかったっていうことの質が問われていると思うんですが、鹿苑の状況が過密であるということ自体はその委員会の報告書などでもまとめられているわけで、その改善の必要性というのは県は認識していたんではないんですか。

 

 

担当部局:

 委員会の中でも過密状態が幾分かあったのは理解しているので、それについてこれから議論していこうとしてた矢先のことでしたので、今のこのこういう細かい状態の話ではなくて、全体としての話というふうにとらえていただいたらと思います。

 

 

記者:

 ここにそういう細かい状況については把握をしてこなかったというご認識ということでしょうか。

 あと鹿苑の改修工事に関してなんですけれども、これに関しては当初の予定よりも予算が細ってきたような面もあるというふうにも聞いているんですが。

 現時点でその鹿苑の改修工事自体をどう進めていくのかという点に関してのお考えはいかがでしょうか。

 

 

担当部局:

 これまでから年次計画的に進めているところありますけれども、当時の予算や、鹿苑の工事するにあたっては、シカを移動させて工事をしていかなきゃいけないっていうようなこともありますので、工程を書きながら、これからも確実に進めていきたいなとは思っております。

 

 

記者:

 今回のことを受けて見直すというのは現時点でのお考えはないんでしょうか。

 

 

担当部局:

 これからの委員会の中に部会、或いはそういったものを立ち上げていきますのでその中で議論して、必要に応じてすることが出てくるという可能性はあると考えております。

 

 

記者:

 虐待に関してなんですけれどもこれは知事にお伺いするべきなんでしょうか虐待に関して県として判断は差し控えたいというところなのかと思うのですが、一方で環境省などは、十分な餌や水を与えないネグレクトについても虐待に当たるというふうに定義をしています。

 この動物福祉の五つの事由に反するということをここで打ち出した以上、獣医師が主張しているその虐待に当たるというところに連なるものかなと思うんですがそこに関してはいかがですか。

 

 

知事:

 具体的には、この動物愛護管理法の44条2項に該当するかどうかっていう問題だと考えてまして、そこにいくつかのケースを虐待の対応として、例示をしてるんですが、今回のケースが該当しうるとすれば、その44条2項の「みだりに飼育密度が著しく適正を欠いた状態で、愛護動物を飼育または保管することにより衰弱させること」というのに当たるか、「自己の飼養し、または保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと」、この二つの構成要件など、当たるとすればこの二つのどちらかになると思うんですけれども、これはですね環境省が令和4年3月に出している、動物虐待等に関する対応ガイドラインっていう冊子があるんですけれども。その29ページに、環境省の見解が書いています。

 先ほど読んだ「その自己の飼育しまたは保管する愛護動物であり、疾病にかかりまた負傷したものの適切な保護を行わないこと」だから、やせ細っていて、もうおそらく何かの病気にかかっていてもおかしくないようなシカに対して、適切な処置をしなかったっていうことが、これに該当しうるのかなと思うんですけど。

 これについては平成元年に当時の総理府の通達っていうのがあって、これはですね「動物に餌や水を与えなかったことによりそれが起因して当該動物を死に至らしめた場合、その判断について疾病にかかった動物について、飼い主に治療義務があるとの社会通念が整理しているかどうか、治療等を施さない正当な理由があるかどうか等の点について十分に検討を加えた上で虐待に当たるか否か判断すべきもの」というふうに総務省の通達で見解が示されているのと、その環境省のガイドラインで、「そういう一定程度虐待、にあたるような行為があった場合でも、それを社会通念上要因される範囲を逸脱して行った場合に、この動物愛護虐待罪に問われる可能性がある」というふうに書いていまして、この条文に当たるかどうかの判断が、正直難しい。すぐに当たるとか当たらないとか、なかなか判断できなくて、ちょっと調べてないですけど多分裁判例とかもほとんどないんじゃないかなと思っています。

 その法律家の私でも該当するかしないについて、ちょっと断定的ないうことを言うのは非常にためらわれるような条文であるということでご理解をいただきたいと思います。

 

 

記者:

 整理しますと、虐待に当たるか当たらないかは判断できないっていうことになるんですかね。

 

 

知事:

 判断すべき立場でもないし、なかなか判断も難しいということです、実際上。

 

 

記者:

 報道によって全国にいる奈良のシカのファンをがっかりさせてしまったというような趣旨のご発言があったかと思うんですけれども、改めて奈良県知事として、奈良のシカこんな状況だったのかということ等が広く知られることになって、責任も感じられることと思います。

 その辺の申し訳ないという気持ちなのかお気持ちをお聞かせいただけないでしょうか。

 

 

知事:

 非常に奈良のシカのファンというのは本当に全国にたくさんいるということを改めてわかりまして、そのシカに対してですね、一部農作物に被害を加えたというような、シカに対してではありますけれども。

 十分な保護管理ができていなかったということについては、本当に奈良のシカのファンの皆さんに対して、申し訳ない気持ちでおりますし、県に責任があると思っております。

 

 

司会:

 朝日新聞さん。

 

 

記者:

 全体の所見のところで、飼育頭数が超過しているという所見がありましたけれども、令和4年度で見ると、雄で181頭飼育されていた。実際、このエリアの適正な特別柵の中の適正な頭数っていうのは、どれぐらいなんでしょうか。半分程度なのか。

 

 

担当課:

 もともと野生の鹿を飼育してるわけなんです。野生の鹿っていうのはこういう環境でいない。当たり前ですけども。ですので、密度がどれぐらいだったら、いいのかというようなことはちょっと申し上げられません。ただ少なければ少ない方がいいのだろうとは思います。で、その密度っていうのが何に影響するかと言いますと、餌の与え方にもよるんですが、一斉に数少ない場所で与えますと、鹿が集まってきます。ただ、鹿も平等に食べているんじゃなくて、やはり強い鹿、ボス鹿のようなものが、まず占有しますので、そうなりますと、弱い鹿はなかなかおいしいえさにありつけないようなこともございます。

 それからあと夏の暑い時でありますとか、雨の時でありますとか、どうしてもそれらのものを防ぐための日陰であったり雨避けであったり、そういうものを求めてくるんですが、その場所が限られてたり狭かったりしますとどうしても密集してしまうっていうところがございますので、どれぐらいの頭数だったらいいのかっていうのはちょっと申し上げられないんですが。

 そのような環境をできるだけ緩和してあげるというのが、まずは必要かなと思います。

 

 

記者:

 あと中長期的な観点から知事にご質問させていただきます。先ほど来の話だと、一つは論点としては、鹿を一生そこで、死ぬまで保護するのかどうか、それが1点と理解したんですが、それでよろしいでしょうか。

 

 

知事:

 それが1点目。その終身そこで保護管理するとして、今のようなエリア設定が妥当なのかっていうことも、次の段階としてあると思うんです。

 

 

記者:

 知事のお考えは、具体的には、いわゆるエリアでいうと今現在のCの面積が広すぎるのではないか、という観点と理解してよろしいでしょうか。

 

 

知事:

 生け捕りしているのはCまでですから、Cの範囲が広すぎるかどうかっていうことが論点になるんでしょうね。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。毎日新聞さん。

 

 

記者:

 今回その緩衝地区いわゆるC地区での生け捕りの数が増えてきて過密状態になってきているということだと思うんですが、現状その要は農家の方が別個で自分のところの畑に罠を置くじゃないですか。その罠にかかったシカをちょっと保護してくださいって言って愛護会の人を呼んで、それで愛護会の方が引き取りに向かうというのが、今の現状のようですが、C地区で農家さんが仕掛けた罠に捕まる鹿がどんどん増えているということは、当然それだけその農家の方が、鹿にやられているのがどんどん増えているっていうことにもなると思います。

 当然その動物愛護の観点から、シカを適切にというところはそうだと思うんですけれども、一方で農家さんの被害とも天秤を取らないといけないというそういう案件だと思うんです。その農家側の意見を聞く機会というのは、県の方は今までどのように対応してきていたんでしょうか。

 これちょっと知事なのかちょっとその他の関係者の方なのかわからないんですが。

 

 

担当部局:

 今までも、農業被害のある方と議論をすることもあります。当然、さきほどのコメントで出ていた話ですが、農家さんが罠を仕掛けるわけではなくて、この表にあるように、市民から要請があった場合に、愛護会がそこに行って、罠を仕掛けるということになっています。

 議論をする場というのは、そういう話があったときに、愛護会等と調整して、県が間に入ったりしますし、農業被害がどれだけあるかというのを地域の人と話し合う場つくる、また、アンケートをとったりして、農業被害がどれぐらいあったかっていうのを、教えていただいたりという、議論はさせていただいております。

 

 

記者:

 あと今後の話なのでちょっとできれば知事にお答えいただきたいんですが、農家の方も当然生活がかかっているわけで、被害に関しては何とかできないかいうところで、多分今の運用になっているかと思うんですが、今後その利害関係者の中でも、農家の方々とはどういうふうにして今回の問題に向き合っていくべきとお考えでしょうか。

 

 

知事:

 まず、被害を防止するための措置ということで、柵を、農地の間に柵を設置すると、その費用負担をどうしていくのかということと、それから実際に荒らされちゃった場合のね。被害をどう償っていくか、ですから予防策と、被害が発生した場合の保証。それをどうしていくかと、いうことも同時に検討していかないと、農家の方のご理解をいただきながら、生け捕りする範囲を狭めるとか、或いは究極的に無くすとかいったことはできないと思いますので、ですから農家の被害を防止する、或いは被害が起きたときの保障、そうしたこととセットでですね、この生け捕りのあり方ということを検討していくことになろうかと思います。

 いずれにせよ、それはその予算を伴うことでございますので、その予算をどう確保していくのかということも、当然検討していかなければならないことでございまして、そういった意味でですね、是非とも奈良の鹿のファンの皆様にも、協力いただきたいという思いがございます。

 

 

記者:

 その辺りは1年後が目処ということなんで、来年度予算に入れるとかそういうのは難しそうですか。

 

 

知事:

 短期的な対策については来年度予算に盛り込むべきだと私は思っていますけれども、中長期的な対応については、令和6年度の補正予算、早くても令和6年度の補正予算になるでしょうね。そんなにすぐには検討委員会の結論が出ないと思います。

 やっぱり動物愛護という観点と農業被害の防止という、これを両立させうる案でなければなりませんので、そのためには一定程度検討に時間かかると思うので、令和6年度当初予算に盛り込むのは難しいんじゃないかなと思います。

 

 

司会:

 奈良新聞さん。

 

 

記者:

 特別柵のあり方についての確認ですが、今回のこの資料で「飼育をする」という言葉が出ております。今までシカを「収容して保護して管理する」という認識でいたんですが、愛護会さんはシカを「飼育する」という認識でされていて、県としてはシカを飼育してもらってるっていうことになるんでしょうか。それでなんか認識の違いで愛護の観点っていうのは出てきてしまうのではないかなと思うんですが。

 

 

知事:

 それは要するに、保護管理と飼育っていうのが違う概念であるという前提でのご質問ですか。

 

 

記者:

 はい。今まで飼育するという言葉は愛護会の中であまり聞いたことがなかった。

 

 

知事:

 なかなかお答えが難しいんですけど、例えばその動物園の動物はおそらく「飼育」に該当すると考えております。でも特別柵内の鹿は、飼育してるのか、ただ単に収容して管理してるのか判断が難しい。ただ、動物愛護管理法という法律の適用からすると、鹿苑のようにスペースを区切って、自由に移動できないようにして、定期的に水やえさをやっている以上、多分、動物園で飼育している場合と比べて、管理している主体の責任が軽くなるのかというと、動物愛護管理法という法律の適用上、同じなんじゃないかと思います。どうですか、課長。

 

 

担当課:

 もともとは野生のシカであったっていうところなんですけども。ただ、今、知事が申しましたように、柵を設けて、その中で亡くなるまで管理というか面倒を見てあげてるというところで、人が占有しているということなるので、今の動物愛護法上、愛護動物になるんです。飼育であったり飼養であったりという位置付けになってくるのかなと考えます。

 

 

司会:

 日本経済新聞さん。

 

 

記者:

 愛護会のその状況というかですね体制についてなんですけども、愛護会、例えば夜、交通事故に遭った鹿なんかを1人で車に乗せて真っ暗な中、鹿苑まで運ぶとかですね、そういうことも聞いたりしますけども、今回もずっと出せない、収容鹿をですねずっと育てるっていうことに関しても非常にモチベーションというか気持ちの部分でもですね、重い部分があると思うんですけども。

 それで離職率なんかもかなりあるというような中で、ここに酌む事情があるというふうに書かれてますけども、愛護会のそういう状況に関して知事がどのように、今回調査含めて見てらっしゃるか、ということと、今後、補助金の増額等をする中で、これは人材の採用とか、そちらにも使えていくんでしょうか。

 体制に関して、ちょっと。

 

 

知事:

 今おっしゃったように、本当に鹿苑の管理以外にも、様々なことをやってくださっておりまして。それも、もう当然のことながら営利事業ではありませんので、本当に、その奈良の鹿のために頑張ってこられたと言うことは、間違いのないことだと思いますので、そういった中で、非常にその鹿苑の特別柵の鹿の管理というのが、非常に重たい業務であっただろうというのは想像に難くないので、一方的に愛護会の人に責任があるというつもりはありませんが、ただ今回のように、愛護会に所属する、その獣医師さんに指摘されて初めて、その特別柵内の、鹿の環境が良くないっていうことを認識したというのだとすれば、やっぱりちょっと動物の保護管理、或いは飼育と言い換えてもいいかもしれませんが、行うものとしては、専門知識が欠けた面はあるんじゃないかなということ。専門知識が欠けていたからか、こんなもんだろうみたいな思い込みがあってのことか、もうちょっと早く県に言ってくれればよかったのになという思いはございますが、また繰り返しなりますけど、本当にそれ以外のことではですね、よくやってくださっていると思ってます。

 

 

記者:

 今後、短期的にではあるとは思うんですが、県が定期的にというか、月に1回なりとかはもう意見交換をするとか、そういう情報交換の体制っていうのはどう考えていますか。

 

 

知事:

 今後は、そういったこともしていかないといけないと思います。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。

 

 

記者:

 先ほども少しお話に出てきたんですが、鹿苑の今後の具体的な改善策、えさ場や水場を増やすというようなこともおっしゃっていましたけども、今決まっている改善策決まっていれば教えてください。

 

 

担当部局:

 今具体的にはないですが、考えられるということを(7ページに)書いておりますので、少し専門家の方にも意見を聞いて、実行していきたいと思っております。

 

 

司会:

 他に質問はございますでしょうか。

 

 

記者:

 これ事務方に聞く話かもしれないんですけれども、鹿苑側、愛護会側の主張が最初、どちらかというとその愛護士の通報内容を否定する内容だったと思うんですけど、結論としてこういう形になったのだとは思うんですけれども、その過程の中で、愛護会側の主張の評価っていうのはどこかに書かれているのでしょうか。

 

 

担当課:

 今回の調査報告については、愛護会の獣医師の指摘に対して、調査チームの評価ということでまとめております。愛護会の方からも、今日の資料の5ページのところから、すべてではないですが、書いております。

 一つ目は、収容頭数が増えていて、愛護会の許容能力を超過していることす。ここについては、調査チームとしても、見解は同じです。

 その次は、令和4年度の収容頭数と、それから死亡の頭数が書いてあるんですがこれは愛護会さんから、いただいたデータです。愛護会の獣医師さんが示している数字と若干違うのですが、概ね同じぐらいのデータになっております。

 ここで衰弱した鹿だけではなくて、例えば鹿同士の喧嘩で怪我をしたものが亡くなった、あと死因不明のものなんかも含まれてるということで、お聞きはしてるんですが、人間が管理している動物の1年間での死亡の頭数ということから考えますと、やはり多いなというような評価をしております。

 それから、愛護会からは次に、令和4年度に特別柵内で死亡した、オス鹿の死亡時の平均体重が40.5キロ、それから平均の推定の年齢が5.5歳で、これは野山に生息する鹿と大きな違いはないというご意見・主張もございました。

 こちらは奈良公園でおります鹿よりも、奈良公園で比較的長生きしてる鹿なんかと比べると、早く死んでるであるとか、体重が軽いであるとか、確かにそうなんですが、ただ奈良公園にいてる鹿でも一定数は早死してるものもあると思われますし、体重が非常に軽いとか、年齢が早く死んでるっていうのは、なかなか比較はしにくいと思っております。

 それからあと、最後から二つ目のところなんですけども、愛護会としても鹿の健康状態として痩せている認識はあると。ただ、今収容している鹿っていうのは、人に慣れている鹿ではなくて、慣れていない鹿、まさに野生に近い鹿であると。原因は餌だけの問題ではなくて、環境に馴染めないことによるストレスとか、環境的要素の方が大きいという認識があると聞き取りをさせていただいております。

 チームの方も可能な範囲で、いろいろ検証・検討させてもらったんですが、オスの死亡頭数が多いとか、比較的痩せているとかっていうところの、根本的な原因が何なのか、まずは餌の問題なのか、良・質の問題なのか、また愛護会がいう環境のストレスのことなのか。これが原因だとは断定はできない、という考えておりまして、もしかしたら、それぞれの要素が関連してるのかもしれないというような評価をしております。

 

 

記者:

 ということは、基本的には、見解は似たような見解だけれども、ちょっと違うという認識ということですか。

 

 

知事:

 認識が同じ部分もあれば違う部分もあるところがあるという、結果的にこう結論づけたということです。

 

 

担当課:

 死因であるとか、そういうところが断定がしにくい。野生の鹿をこういう形で管理している、先例の事例がなかなか我々も知らないので、現段階ではそういうことしか申し上げられないんです。

 

 

知事:

 獣医師は虐待であると言って愛護会は虐待でないっていう、まあそういう評価の仕方をしてましたが、客観的に置かれた状況が、適切ではないと、問題が多いと言うのは、多分獣医師も愛護会も我々も全く同じで、それを虐待とまで評価するのかしないのか、という違いかなと思い、我々はどちらとも言えないと、いう見解です。

 

 

記者:

 なるほど。わかりました。ありがとうございます。

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