意見書第8号

 

診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の改定にかかる意見書

 

 国民、県民が住み慣れた地域で、良質かつ安心、安全な医療・介護・障害福祉サービス等を受ける体制を維持、発展させていくことは非常に重要である。

 医療機関や薬局・介護・福祉施設では、県民の健康と命、暮らしを支えるため、この4年近くの間、新型コロナウイルス感染症の対応と並行して、懸命に医療や福祉サービスの提供を行ってきた。

 これらのサービスを提供するうえで不可欠であるのが現場で働く人々であるが、近年では他業種に人材が流出する等、人材確保が困難な状況となっており、医療・介護・福祉の現場は存続の危機を迎えている。

 政府は「賃上げ」にかかる諸施策を推進しており、今年の春闘では平均賃上げ率3.58%という近年にはない高い水準で賃上げが進んでいる。

 一方、診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬という公定価格により運営する医療・介護・福祉施設では価格転嫁ができず、これらの施設で働く人々の賃金は、他業種に比べて引き上げが進んでいない。

 昨今の物価高騰等により、医療・介護・福祉施設の経営環境は厳しい状況にあり、そこで働く人々の賃金を他業種と同様に引き上げ、人材を確保していく上でも、令和6年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定では、引き上げを行う必要がある。

 国民、県民に安心、安全な医療・介護・障害福祉サービスを安定して提供し続けていくためにも、また人材確保や賃上げの実現による地域経済のさらなる好循環を生み出していくためにも、わが国の全就業者の約13%を占める医療・介護・福祉分野で働く人々の賃金引上げによる処遇改善は欠かせない。

 よって、国においては、令和6年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の改定は、引き上げを行うよう要望する。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

  令和5年12月15日

                                奈良県議会

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      財務大臣

      厚生労働大臣

 

 

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