地方消費者行政に対する恒久的な財源確保等を求める意見書
消費者被害を防ぐためには、相談体制の確保や消費者教育や啓発など、地方消費者行政の充実・強化が図られなければならないが、国が措置し地方消費者行政の下支えとなってきた地方消費者行政強化交付金(推進事業分)は、令和7年度末には多くの地方公共団体で活用期間が終わるため、交付金を活用して実施してきた相談体制の維持や、啓発・消費者教育に係る事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政の後退・縮小が懸念される。
また、被害の防止・救済の根幹である消費生活相談においては、相談員の高齢化等による担い手不足が深刻な問題となっている。相談員の担い手を確保し、安定的に業務を継続できるよう雇用形態や処遇等の改善が求められており、国の主導により速やかな制度設計と予算措置を行うことが必要である。
さらに、消費生活相談のデジタル化に向け、国は全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO―NET)に代わる新たなシステムの整備を予定しているが、端末のリース費用や、セキュリティ対策の継続的な更新費用などは、地方公共団体の負担とされており、これらの経常的費用も国の責任で措置すべきである。
よって政府は、次の措置を行うよう強く要望する。
一 地方公共団体の財政事情によることなく、地方消費者行政を安定的に推進するための恒久的な財源を措置すること。
一 消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善に係る制度設計に必要な予算措置を講じること。
一 国が進める消費生活相談デジタル化に係る予算を国の責任で措置すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年7月2日
奈良県議会議長 田中 惟允
(提出先) 衆議院議長 殿
参議院議長 殿
内閣総理大臣 殿
内閣官房長官 殿
総務大臣 殿
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全) 殿
地方消費者行政に対する恒久的な財源確保等を求める意見書(pdf 103KB)