【発表案件】
○行政課題の解決に向けたガバメントピッチの開催について
○省力化・生産性向上設備投資支援事業
○令和6年度ふるさと納税寄附受入額の全国順位等について
【質疑応答】
○奈良県・忠清南道交流推進事業について
○奈良県の最低賃金について
司会:
おはようございます。
ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
本日の会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。
本日の知事からの発表案件は3件ございます。
まず、1件目は、行政課題の解決に向けたガバメントピッチの開催についてでございます。
山下知事、よろしくお願いいたします。
行政課題の解決に向けたガバメントピッチの開催について
知事:
本県におきましては、県内でスタートアップに取り組まれている企業さんの支援に継続的に取り組んでおります。そうした中、これまで様々な支援をしてきたのですが、やはりスタートアップの皆さんが事業を拡大する上では、仕事を受注する機会を増やすということが重要になってきます。しばらく前に、地方自治法施行令というのが改正されまして、障害者就労施設等と同様に、スタートアップとの間での随意契約ということが認められるようになりました。国においても、スタートアップを成長させるために国や地方公共団体が事業を発注することが有効であるという認識の下、地方自治法施行令を改正されたものと認識をしております。本県におきましても、担当課が年に一、二回、スタートアップの集いということで、各スタートアップ事業を紹介するような機会を設けてきましたけれども、スタートアップの皆さんから、受注の機会の確保に向けた支援をしてほしいというような声がございまして、今回、スタートアップ等公共調達促進事業をすることにした次第でございます。
事業の流れといたしましては、資料の1枚目の下の左側のほうですね、県庁内や県内の市町村から解決したい行政課題を募集して、スタートアップ等との共創に適した課題を抽出いたします。既に9件を抽出しました。その行政が有する行政課題とはどういうものなのかということの資料を作成しまして、9月4日に、大阪の京橋にあるNTT西日本の本社にQUINTBRIDGEというスタートアップの拠点があるのですが、そこでリアル及びオンラインで、その9件の課題を発表しました。全国のスタートアップがそれをリアル及びオンラインで聞くことになると思うのですが、その9件の課題について、こういう解決手法があるというような提案をスタートアップから募るという取組をします。それが3番のマッチングというところで、自治体とスタートアップとのマッチングができた場合は、協働して課題解決のためのプランをつくる、そんなスキームでございます。
この9月4日のピッチで発表する行政課題は、2枚目に記載がございますけれども、大きく分類すると、まちづくりと地域活性と行政DXということで、具体的にはそこに記載の9件の課題となります。
3枚目は、そのガバメントピッチのチラシとなっております。
私からは以上でございます。
司会:
では、ご質問のある方はお願いいたします。
時事通信さん。
記者(時事通信):
この開催というのは、県が主催してやるということですよね。
知事:
そうです。
記者(時事通信):
大阪をあえて選ばれた理由とかあるのでしょうか。
知事:
ここがスタートアップのたまり場といいますか、拠点になってますので、奈良で開催するよりも、ここで開催するほうが参加してくれるスタートアップが多いだろうと、そういう考えです。
記者(時事通信):
この課題を9件選定したとあるんですけども、具体的に何かどういった課題か……。
知事:
いや、それは、資料2枚目にあります。
記者(時事通信):
すみません、失礼しました。
司会:
ほかにご質問はございますでしょうか。
奈良テレビさん。
記者(奈良テレビ):
事業の流れのところで確認をしたいんですけれども、既に9件ピックアップしたというのは、大体どのぐらいの意見の中から9件になったのかというのと、この課題の募集はいつからいつまでの期間で行ったものでしょうか。
知事:
事務局から、お願いします。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
今回、課題としましては、精査すると、11件ほど出てきたんですけれども、その中で、精査した結果、9件という形になっております。募集期間ですけれども、4月14日から県庁の募集と、県内市町村のほうに応募をかけまして、集まってきたのが、今この9件という形になります。
記者(奈良テレビ):
11件の中から9件に絞るという作業は、県でされたということでいいですか。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
はい。事業担当課でさせていただきました。
記者(奈良テレビ):
この出てきた9件を9月4日のガバメントピッチで発表するのは、この意見を出した自治体であったり、県の担当課で、そこに対して、3のマッチングのところで、スタートアップ企業から意見をもらうという形になるんですか。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
11件の担当課、もしくは市町村が発表するというのはそのとおりでございます。その後のスタートアップとのマッチングにつきましては、恐らくいろいろな方々が来られると思いますので、そういった方々とお話をさせていただいて、具体的に話が進みそうだなというところがマッチングする形になりますので、3件よりも多くなればいいなと思っていますし、どういった形になるのか、まだ見えてないという状況です。
記者(奈良テレビ):
9月4日のガバメントピッチ開催時の中で、どこまで進むのかというのは、どんな感じですか。
知事:
このときは、質疑応答とか、その程度にとどまって、その後に、具体的に課題の内容を解決するためにスタートアップの有する知識とか技術、ノウハウが役に立つかどうかを吟味して、改めて後日提案すると、そういう形式になると思います。
記者(奈良テレビ):
開催地が大阪で、そこがスタートアップの拠点だからということだったのですが、スタートアップ企業自体は、奈良県内のスタートアップ以外も募集するということでいいんですか。
知事:
おっしゃるとおりです。
記者(奈良テレビ):
ありがとうございます。
司会:
ほかにご質問ございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者(朝日新聞):
知事が先ほどおっしゃられた地方自治法施行令の改正との関連で確認させてもらいたいのですが、この資料の4番の共創プラン作成のところで、これまでだったらこういうことはできなかった、もしやるとしたら、プロポーザル提案などは幾つもの企業から募集をかけないといけなかったけれども、こういう形で、1対1で契約にこぎ着けることができるというところが、この地方自治法施行令改正の意図ということなんですか。
知事:
そうですね。従前は、少額随契といって、一定金額以下の発注であれば、入札しなくてもよかったんですけど、今でもその規定はありますが、スタートアップとの契約については、その少額随契の上限を超えてもできると、そういう改正。
記者(朝日新聞):
(4)共創プラン作成のところがすんなりというか、そのままできるというところ。
知事:
そうですね。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
奈良新聞さん。
記者(奈良新聞):
こういう取組というのは、珍しいんでしょうか。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
時代の流れ的には、公共調達につなげるような、自治体の課題とスタートアップの新しい技術をマッチングする流れにはなってきていて、国でもそういうことを進めていこうという話はあるのですが、どこでもやっているかというと、まだそこまでではなくて、少なくとも本県では初めての取組という形になります。
記者(奈良新聞):
目的として、スタートアップの支援ということなんですけども、県内に限らないというところで、県としてはどういう。
知事:
スタートアップの支援ということと、資料の2ページ目を見ていただいたら、県が出してる課題も結構あるんですね。例えば上から2番目の奈良公園内のごみの発生状況の検知・可視化の実現とか、奈良公園室でごみ問題に取り組んでまして、今度、ごみ箱の設置場所を変えますけれども、そういうこととか。一番最後のインフラ不整備地帯での通行規制対応の効率化では、雨が降って、大量の雨が降った場合、通行規制をするのですが、そのときに通行止めのバーを設置するのに、今までは、県土マネジメント部の土木事務所の職員が、大雨の中、危険を賭して行って作業をしてるんですね。それが、雨量が一定以上の場合は自動的に通行止めのバーが下りてくると。そういうことができたら、県土マネジメント部職員の業務効率も上がります。そういう県が抱えてる様々な課題、これ、どうしたらいいのかなということを、今までにない新しい業務なんで、そういうことやってくれる、あるいは考えてくれる企業があるのか、ないのかすら、よく分からないので、そういう意味で、行政課題の解決ということも、今回の事業の目的の一つなので、その場合、奈良県内のスタートアップといっても、まだ数は少ないので、全国から提案を募ったほうが、より行政課題の解決に資する提案が受けられるんじゃないかと、そういうことで、全国のスタートアップを対象にするということでございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者(時事通信):
このスタートアップというのは、どのぐらいの規模感の企業とか、そういう制約などあるんですか。どういう企業を対象にしているか。
知事:
地方自治法施行令上、何らかの定義があるんじゃないかなと思うのですが、そこまではよく分からないですけど。何か今回参加できるスタートアップ企業の定義、要件とかみたいなの設けてるんですか。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
いわゆるスタートアップというのは、全国どこにもきっちり定義されているものというのはないんですけれども、新しいビジネスモデルというか、技術とかを持った、比較的、創設から日が浅いような企業というのが一般的には言われているところでございます。
記者(時事通信):
例えば30年ぐらいたってたら駄目とか、そういうのはないんですか。
大和平野中央構想・スタートアップ推進課:
特に。
記者(時事通信):
じゃあ、スタートアップと銘打っている企業だったらどこでも。
知事:
地方自治法施行令の適用には、随意契約するには、何をもってスタートアップ企業と定義するかというルールがあるはずなんですけど、地方自治法施行令のさらに下の総務省令とかであるような気がするのですが、そこまでは今把握できてないということです。
省力化・生産性向上設備投資支援事業
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
それでは、次の発表案件に移ります。
2件目の発表案件は、省力化・生産性向上設備投資支援事業でございます。よろしくお願いいたします。
知事:
資料1枚めくっていただきまして、左上のところから説明させていただきます。県内の中小企業の現状といたしましては、人手不足や物価高騰の中、価格転嫁も進まず、経営は逼迫し、賃上げの原資が生み出せないという状況にございます。持続的な賃上げを実現するには、業務の省力化、生産性向上が不可欠となります。そのためには、新たな設備投資も必要になってくるだろうと考えております。そこで、人手不足の中で賃上げをして人手を確保するという企業の取組を支援するために、中小企業の設備投資に対する補助制度を実施いたします。これは令和7年度の新規事業でございます。
具体的には、その右下に書いております、中小企業等が行う省力化、業務プロセスの改善等に資する設備投資に対して、賃上げをすることを条件に補助をするというスキームでございます。きちんと設備投資によって省力化や業務プロセスの改善がなされ、生産性が向上するかということをチェックするために、中小企業診断士によるサポートを受けていただくということも条件になっております。補助額は上限が500万円となっております。
1枚めくっていただきまして、補助対象となる事業者は、上段に記載のとおり、奈良県内に事業所を有すること、設備投資前に県が派遣する中小企業診断士の支援を受けていること、それから、実績報告時における直近1か月間の給与支給総額を、令和7年3月と比べて2.4%以上増加させること、そういう条件がございます。
補助対象は、中段に書いてございます、省力化、生産性向上に資する設備導入に係る製品本体の導入費用と、導入経費ということで、補助率は補助対象経費の2分の1以内、上限は500万、下限は100万となっております。8月28日から募集を開始したいと思います。ぜひとも周知を図るためにも報道等をしていただければありがたいなと思っております。
私からの説明は以上でございます。
司会:
では、質問のございます方はお願いいたします。
毎日新聞さん。
記者(毎日新聞):
県の独自の事業でよろしいんですよね。
知事:
はい。
記者(毎日新聞):
予算はどれぐらいなんでしょうか。
経営支援課:
予算としては4億円準備しております。
記者(毎日新聞):
対象の企業数というのは、予算の4億円内でということでよろしいんですか。
経営支援課:
全てが上限500万円を満たすわけではないと思いますので、大体半分ぐらいと考えて、160社を想定しております。
記者(毎日新聞):
それを超えてしまった場合、対応としてはどうでしょうか。
経営支援課:
予算の上限で切らさせていただく形になります。
記者(毎日新聞):
早いもの勝ちということでよろしいですかね。
経営支援課:
はい。
記者(毎日新聞):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
NHKさん。
記者(NHK):
質問というわけではないですけれども、利用を検討されるような中小企業の方に向けて呼びかけをお願いできますでしょうか。
知事:
日本経済の課題は賃上げだと思うんですね。物価は、ご案内のように、上昇していますけれども、それに賃金上昇が追いついていないという状況にございます。ですから、経済の好循環を維持するためには、物価高騰に見合う賃上げが必要でございまして、最低賃金が大幅に今回上がることになりましたけれども、それもそうした流れの一環だと思っております。そうした中で、県内の中小企業、企業規模が小さいところが多いので、賃上げの原資がないと、立場が弱いので、価格転嫁も言い出せないというような悩みを聞いております。賃上げをするためには、生産性を上げるしかない、生産性を上げるのは、IT化や機械化などが有効だと思いますので、ぜひこのチャンスを有効活用して、業務の省力化、生産性向上によって、賃上げを実現していただきたいということを強く中小企業の皆さんには訴えかけていきたいと思っております。
記者(NHK):
ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者(時事通信):
先ほど賃上げの件で、最低賃金の話が出ていたと思うのですけども、今回引上げ率が6.59%ということで、条件にしている、この2.4%というのは、仮に最低賃金でやってないところもあると思うのですけれども、かなりの企業が条件になってきてしまうのかなと思うのですけども、その辺りは特に心配はしてないですか。
知事:
最低賃金の引上げ率よりも今回の賃上げの幅は低いので、この2.4%の賃上げというのは、そんなに高いハードルではないと認識しています。
記者(時事通信):
その高くないハードルだからこそ、多くの企業に応募してほしいということですか。
知事:
そうです。
記者(時事通信):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
知事:
もちろん、その6.59%というのは、最低賃金の上げ幅ですから、既に最低賃金をクリアしているところは、別にわざわざ賃上げしなくてもいいわけですよね。そういうところにも賃上げを促すという、そういう意味ですね。
令和6年度ふるさと納税寄附受入額の全国順位等について
司会:
それでは、次の発表案件に移ります。
3件目の発表案件は、令和6年度ふるさと納税寄附受入額の全国順位等についてでございます。知事、よろしくお願いいたします。
知事:
7月31日に総務省のほうから、令和6年度のふるさと納税の寄附受入額の全国的な状況について発表がございました。それを受けまして、奈良県の状況をご報告させていただきたいというふうに思っております。
資料の1ページ目でございますけれども、ふるさと納税の全国の寄附受入額は、令和6年度は、全国で1兆2,728億円、奈良県は43億9,100万円でございました。これは、県と市町村分を両方合わせた数字でございます。昨年、全国最下位だったのですが、今年はブービーの46位ということで、1つランクが上がりました。奈良県のふるさと納税寄附受入額は、令和5年35位から令和6年19位と、大きくジャンプアップしましたが、残念ながら、市町村分については、令和5年、令和6年ともに47位という状況にとどまっております。引き続き寄附受入額の拡大のための積極的な取組が必要だなというふうに考えてございます。
次、めくっていただきまして、奈良県分についての詳細ですけれども、県分の令和6年度寄附受入額は、先ほど申しましたように、全国19位ということで、昨年度の35位から大きく上昇しております。金額でいいますと、令和5年度の約8,700万円から約2億3,700万円と2.7倍に増えました。寄附受入額も増えたのですけれども、逆にふるさと納税として出ていくほうも増加しまして、住民税控除額のほうが前年度より増加しました。すなわち流出するほうが増えたので、結果的に、寄附金受入額マイナス住民税控除額につきましては、令和5年度よりマイナス幅が拡大したということでございます。具体的には、この収支差、令和5年度で29億2,600万円だったのですけど、令和6年度は31億5,800万円ということで、2億3,200万円ほど収支差が拡大したということでございます。一方で、流出分については、4分の3が地方交付税で補填されるという仕組みがございます。その地方交付税での補填を考慮した収支差につきましては、令和5年度が6億6,500万円に対しまして、令和6年度は6億1,200万円ということで、こちらは5,300万円ほど収支差が改善をしております。
次、市町村分でございますが、先ほど申しましたように、市町村分の寄附受入額は、昨年も今年も全国47位でございます。昨年度というか、令和5年度ですね、令和5年度も令和6年度も47位でございます。金額は、令和5年度の34億6,900万円から令和6年度は41億5,400万円ということで、約1.7倍に増加をしております。一方で、市町村分につきましては、寄附受入額の増加幅のほうが、住民税控除額の増加幅よりも大きかったので、寄附受入額マイナス住民税控除額の収支差は、前年度よりマイナス幅が縮小している、改善しているという状況になっております。具体的には、令和5年度は収支差が10億5,100万円だったのですけれども、令和6年度は9億4,000万円ということで、1億1,000万円ほど、収支差は改善をしておるという状況でございます。地方交付税措置を考慮した収支差につきましても、令和5年度はプラスの23億円だったのが、令和6年度はプラスの28億円ということで、プラス5億4,000万円ほど、地方交付税措置を考慮した収支差は改善をしているということでございますけれども、ですから、地方交付税措置を考慮すると、市町村分は、トータルで見れば、赤字になってないと、マイナスになってないという状況でございますけれども、個々の自治体別に見ますと、結構ばらつきがございまして、この地方交付税措置を考慮しても収支差がマイナスになっているところもありますので、引き続き取組の拡大が必要かなと思っております。
それから、4ページ目ですけれども、県の新たな取組といたしまして、宿泊を専門に取り扱うポータルサイト、一休.comふるさと納税というのも本年9月から追加予定でございます。
それから、5ページですけれども、令和7年度の取組といたしまして、体験型の返礼品も含めて、奈良県の魅力を詰め込んだ返礼品というのを充実しております。今年の奈良マラソンから、奈良マラソンの出走料をふるさと納税で納付することができるという制度を始めさせていただきまして、募集枠100名ということで募集しましたところ、こちらはもうソールドアウトという状況でございます。それから、TOKiという東京の新橋にある奈良県の食材を使ったレストランですね、これは奈良県が委託をしてやってもらっているレストランでございますけれども、そこのランチコースのお食事券とか、飛鳥・藤原のツアーの参加券とか、そうしたものも新たに返礼品として付け加えさせていただいております。
それから、6ページ目ですけれども、以前、奈良県市町村長サミットでも市町村の皆様に紹介をさせていただきましたが、複数の市町村が共同で返礼品を提供することができるという制度がございまして、その制度の利用を今呼びかけているところでございます。奈良県といたしましては、この共通返礼品の制度を導入したいという市町村がございましたら、市町村と市町村の間の調整役とか、あるいは、返礼品を提供する事業者との調整などを積極的にやっていって、市町村の支援をしていきたいなというふうに考えてございます。その共通返礼品を導入する場合は、奈良県が設けたふるさと納税の特設サイトでの紹介もしていく予定でございます。
それについての詳細は7ページですけれども、まず、基本的には、奈良県がやるふるさと納税のさらなる寄附額受入額拡大のために、新たに奈良県庁内のホームページに特設サイトの開設をしています。その奈良県の特設サイトに、新たに市町村の共通返礼品を紹介するようなコーナーを設ける予定でございます。この奈良県の特設サイトに誘導するために、大手検索エンジン、ヤフージャパンにバナー広告を出すというような取組も既にやっております。ということも進めていっているということでのご報告でございます。
最後は、奈良県民の皆さんや全国の皆さんへのお願いですけれども、ぜひふるさと納税を通じて奈良県への応援をお願いしたいと考えております。ただ、奈良県内の方が奈良県内にふるさと納税しても、自分が住んでいる市町村にふるさと納税しても返礼品はないんですけれども、ぜひ奈良県内にお住まいの方におかれましては、奈良県外にお住まいのご家族やご友人などに奈良県のふるさと納税の取組を紹介していただければありがたいなというふうに思っております。
私からの発表は以上でございます。
☆質疑応答
司会:
それでは、ご質問のございます方はお願いいたします。
読売新聞さん。
記者(読売新聞):
今回のこのふるさと納税の寄附受入額の全国順位が前年よりは上がったものの、かなり最下位に近い順位だと思うのですけど、去年に引き続きのこの原因分析のところ、もう少し詳しくお伺いしたいのですが、これは単純に返礼品の数がないという結果だと思っているのか、それとも、例えば返礼品の中身がほかの自治体と競合していて、なかなかそこで選ばれていないという返礼品自体の質なのかとか、この結果に対して、何か詳しくその辺り分析されていることはありますか。
知事:
後で事務局の見解も教えてほしいのですけど、やはり返礼品の量や質プラスPR不足ということではないかなと思いますが、どうでしょうか。
市町村振興課:
おっしゃるとおりかと思います。やはり返礼品でも特に全国的に人気なものというのもありますし、そういうところでの質とか量というのもあると思いますし、実際のPRなど、複合的な要因があるのかなと考えています。
記者(読売新聞):
それは奈良県もだし、ほかの市町村も全て統括的に見てという見識ですよね。ほかの自治体さんも。
知事:
実際、奈良県は、昨年度からふるさと納税の返礼品の質と量を拡充して、かつ、ポータルサイトはもともと1個しかなかったんですよね。それを、先ほど説明したように、今では全部で、9月から始めるものも含めて、7つにしたわけですよね。ですから、結局そういうことをして、35位から19位に上がったわけじゃないですか。この奈良県の経験を基にすれば、同様の取組をすれば、市町村のふるさと納税の寄附受入額も高まるだろうというふうに思います。ただ、結局、課題は、体験型の返礼品というのは、幾らでも僕は生み出せると、知恵を絞れば生み出せると思うのですけど、確かに肉とか魚とか、そういうものは、やっぱり生産量が非常に乏しいので、奈良県は、それはちょっと無理があると思うのですね。あとは、野菜の生産量も少ないし、イチゴとか、柿とかは十分、ふるさと納税の返礼品になり得ると思いますけれども、やはり農業県ではないので、そういう点でのディスアドバンテージというのはあるだろうなというのと、あと、ポータルサイトとの契約に当たっては、結構お金が要るというところもありまして、財政規模が小さい自治体では、なかなか幾つものポータルサイトにふるさと納税のお知らせをするというのがちょっと難しいという状況もあるのかなとは思いますが、少なくとも前者の返礼品の量と質については、共通返礼品という制度を構築すれば、隣町の特産物を我がまちの返礼品として出せるわけですから、それは行政が努力すればできる話なので、そういうできることをやってほしいなというふうに思いますね。
記者(読売新聞):
今、おっしゃっていたように、返礼品を増やしているので、今後の課題としては、PRの部分になっていくという認識で。
知事:
そうですね。
記者(読売新聞):
分かりました。ありがとうございます。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
朝日新聞さん。
記者(朝日新聞):
幾つか質問させてください。まず、寄附受入額そのものについては、奈良県、市町村とも上がっていると思うのですけれども、それは多分、今おっしゃられた量と質をこの1年間で増やしたというところだと思うのですけど、規模的に、前年度よりどれぐらい増やしたとか、どういった取組をしてきた効果なのかというところ、分かる範囲で教えていただければと思います。
知事:
奈良県分ぐらいしか、今答えられないと思うのですけれども、ちょっと待ってくださいね。事務局のほうで分かりますか。
政策推進課:
すみません、ポータルサイトの数が今、最大、7つになっているということと、返礼品の数も3倍ということで増やしております。
記者(朝日新聞):
奈良県分でしょうか。
市町村振興課:
奈良県分です。市町村分については、ちょっと各個別の市町村の数までは今手元にないのですけれども、ただ、一方で、奈良市とかは、非常に組織もつくって、積極的にふるさと納税に向けて力を入れて、企業との連携なども行っていますので、やはりそういう成果がこの寄附受入額の伸びにつながっているのかなというふうに思っています。
記者(朝日新聞):
今話にも出ましたポータルサイトですけれども、これって、やはりコストがかかるということですけれども、この1つから7つ、もしくは、まだやってないのもあると思うのですけれども、増やしたことによって、ここに係る委託費、コストはどれぐらい増えたのでしょうか。
政策推進課:
ポータルサイトのコストはサイトにもよりますけれども、おおむね、基本料金部分はそんなに大きくないですが、大体1割強が料金として取られるということになります。知事もご指摘いただいてました経費というところについて言いますと、むしろふるさと納税のところは、一定の割合の上限でしか経費をかけられないというものがありますので、今の規模といいますか、実績がそれなりにないと、次への投資ができないという制約もございまして、今、こうやって大きく伸びていきますと、次につながっていく取組ができるという期待を我々もしているところでございます。
記者(朝日新聞):
ポータルサイトの数を、1つ利用していたところから増やしたことによって、そのポータルサイトの料金というのはどれぐらい増えたんでしょうか。
政策推進課:
個別の金額は改めましてご報告させていただきます。
記者(朝日新聞):
こういったふるさと納税全般の制度について、当然こういう制度がある分には、いろいろ頑張って寄附を増やしてもらう必要性は理解しているのですが、一方で、先ほどもおっしゃったように、自治体に、特に市町村は、なかなか特産物が見当たらなかったり、経費をかけられないとか、あと、国全体で考えると、どこかにいっぱい寄附をしたら、要は勝ち負けがどうしても出てしまいます。国としても、負けている自治体に、あまり負け過ぎたらさすがに良くないということで、おそらく交付税措置というのが、仕組みとして追加で国の税金が使われているわけですが、そういった仕組み自体について、知事としてどう思っておられるのか、奈良県として、寄附を増やすというポイントと、あと、制度全般について課題とか、何か思われているところがありましたら、教えていただきたいです。
知事:
寄附受入額と住民税控除額の差の75%を国が補填するということは、交付税で、その分、新たな財源が必要になるということになると思いますが、一方で、地方の自治体で寄附受入額が増えて、自主財源が充実した場合は、そこに配分される交付税は減ると思いますので、そうすると、結局、今、全国的な状況を見ると、都市部の自治体は流出超過、つまり、寄附受入額よりも住民税控除額のほうが大きい。地方の自治体は、どちらかというと、その逆ということでございまして、そうすると、結局、都市から地方への財源の移転というような、マクロで考えると、そういうことに今なっていると思います。では、その施策がいいかどうかということですけれども、当然これまでは、地方交付税制度というものがあって、地方交付税制度でそういった税源の再分配みたいなことをやっていたわけですが、それをこのふるさと納税という制度でやっている、一部それを代替してるという、マクロ的に見ると、おそらくそういう状況だと思います。東京への人口一極集中、東京を含む大都市への人口の一極集中が進んでいることの弊害というのは、私はそれなりにあると思っていますので、その大都市への一極集中を抑制して、地方を元気にするという意味では、私はこれは一定の役割を果たしているというふうに基本的には肯定的に評価をしています。特にやはり一番効果が大きいのは、地方のいろいろな特産物の販売ルートが確保されるという、その効果が非常に大きいのではないかと思います。このふるさと納税制度によって、こういう自治体ではこれが特産物なんだと、あるいは、肉や魚、野菜、果物だけではなく、体験型の旅行などを返礼品で選ぶ場合に、こういう地方にはこういう何か魅力的な場所があるのかと、じゃあ、ぜひ行ってみたいなと。ですから、ふるさと納税で返礼品を受け取ることが呼び水となって、さらにその地方の特産物とか、地方の観光が全国的に認知されるというような、そういう付随的な効果もあると思いますので、私としては、基本的に評価しているのですが、ただ、問題と指摘されているような、今は経費も含めて3割以下に是正されましたけど、やたら返礼品の額をつり上げ、返礼品を充実させて、分捕り合戦みたいな、そういうのはどうかと思いますし、先ほど言いましたように、地域の地場産業とか、あるいは、地方の観光を活性化させるという点からすると、やはりその地域で作られたものに限定するというような今の規制は、私は必要なのではないかと思います。ですから、制度が濫用されないで、うまく回ってる分には、僕はいい制度ではないかと思っています。
記者(朝日新聞):
そういった意味では、奈良県としては、地方か、都市部かといったら、地方の側面が多いと思いますが、今、収支差でマイナスになっているというところは、自治体としてやはり努力すべきだということなのでしょうか。
知事:
おっしゃるとおりです。特に県は交付税措置の分を考慮してもマイナスです。交付税措置の分を考慮しても6億1,200万円の流出超過になっているので、結局、これを回避するには、住民税控除額は住民の皆さんがすることですから、どうこうすることはできませんので、結局、寄附受入額を増やすしかないということです。市町村分については、3ページにあるとおり、結果的に交付税措置を考慮したらマイナスになっていないから、現実的に、このふるさと納税制度がなかったときより財政的に悪くなっているということではないと思いますが、逆に言えば、受入額を増やせば増やすほど、自由に使えるお金も増えるわけですから、奈良県は非常に小規模の、人口や財政規模が小さい町村が多いので、やはりそういうところがまちおこしをしようと思うと先立つものが必要になりますから、それを増やすという意味で、さらなる寄附受入額の増というのは必要だろうし、先ほど言いましたように、地場産品がふるさと納税で全国に周知される、あるいは、地元の観光スポットが返礼品として周知されることでさらにリピーターが来るということも考えると、やはりもう少し努力して寄附受入額を増やす取組が必要ではないかと思います。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
毎日新聞さん。
記者(毎日新聞):
令和7年度の寄附額の目標などは設定されていますか。
知事:
少なくとも、交付税措置の分を考慮した上でのマイナス、2ページの右下にある6億1,200万円、これを解消するということを当面の目標として取り組んでいきたいと思っております。
記者(毎日新聞):
5ページの7年度の取組について、これは全て今年度新たにということでよろしいですか。
知事:
はい。
記者(毎日新聞):
一例と書かれていますけれども、合計でいうと、今年度新たにというところは何件ぐらいになりますか。これが全てですか。
政策推進課:
ほかにもございます。
記者(毎日新聞):
もしお答えが分かればですが、さっき市町村のほうでも好調なところもあれば、マイナスなところも多く、ばらつきがあるとおっしゃっていて、一番マイナスが多い市町村はお聞きしたりできますか。
知事:
交付税措置による補填を考慮する前の、単純に寄附受入額から控除額を引いた金額では、マイナスが一番大きいのは奈良市となっておりまして、9億1,398万5,000円となっております。ただ、奈良市は、寄附額も控除額も奈良県で一番多いという状況でございます。2番目にマイナスが多いのは生駒市で5億4,830万5,000円、その次が香芝市で3億1,982万3,000円、4位が橿原市で2億8,841万3,000円ということで、人口の多い都市部はマイナスが多いです。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
産経新聞さん。
記者(産経新聞):
共通の返礼品は、奈良マラソンは売り切れということで、ほかにも今回あるのでしょうか、それとも、これから呼びかけて調整していきますか。
市町村振興課:
県と一部の市町村との共通返礼品は幾つかあります。あと、市町村同士の共通返礼品というのも、今既にあるものもございます。今回、実際やろうとしているのは、県と県内全域で共通返礼品なるものを市町村から紹介をしていただいて、それの登録に向けて今調整をしているところでございます。
記者(産経新聞):
今、何例ぐらいあって、それをどれぐらいに増やしますか。
市町村振興課:
令和7年3月現在、複数市町村間、市町村同士の連携している共通返礼品というのは106品ございます。県と一部の県内市町村のものについては、現在21品ございます。県と全市町村で取り扱う返礼品というのは、今ゼロですので、それを少しでも増やしていきたいというところでございます。
奈良県・忠清南道交流推進事業について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
では、そのほかの質問がございます方はお願いいたします。
NHKさん。
記者(NHK):
10月開催の日韓音楽交流イベントについてお伺いしたいのですが、9月号の県民だよりに、9月1日から申込受付開始で、開催時間も記載されていますが、現段階でどのくらいまで詰まっておられるのか、改めてお伺いできますでしょうか。
知事:
詳細は9割方決まっていまして、8月中には、改めて記者会見をして、発表させていただきたいと思っております。
記者(NHK):
出演アーティストもまだ決まってない。
知事:
出演アーティストもほぼ決まっておりますが、細かい調整がありますので、もう少しだけお待ちください。
奈良県の最低賃金について
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
時事通信さん。
記者(時事通信):
奈良県の最低賃金の件で先ほども少しお話があったと思いますが、今回、引上げ額が65円で、引上げ率が6.59%だったようですけれども、まず、これに対して、知事として受け止めがあれば、教えてください。
知事:
大幅なアップがなされたということは、基本的には望ましいことだと考えております。あとは、これを守っていただくことが必要だと思っておりますので、この最低賃金違反をどうやってなくすかということをこれからいろいろ考えていかなければいけないというふうに思います。
記者(時事通信):
今日の案件でも、中小企業の設備投資を支援というもので、これも支援の一環だとは思いますが、奈良県、中小企業が多い中で、この最低賃金のアップが企業の経営を圧迫するということも考えられると思います。それに対する、国の支援ももちろんありますけど、県として、これとはまた別で、何か補助制度をつくったりとか、そういったことを検討されていますか。
知事:
賃上げ自体に対する補助制度はないと思いますが、今、価格転嫁ということが全国的に課題となっております。改正下請法の施行はいつでしたか。
経営支援課:
令和8年の1月です。
知事:
令和8年の1月1日から改正下請法というのが施行されて、元請は下請から価格転嫁の申入れを受けたら協議しなければならないということになりました。この改正下請法の趣旨を徹底するために、今度セミナーを行います。奈良県で公正取引委員会の関西支部、公正取引委員会の大阪の出先機関と、あれは県も共催になっていたでしょうか、詳細をもし知っていたら説明してもらえますか。
経営支援課:
公正取引委員会の関西の支部と県の共催で、取引の適正化のためのセミナーを11月に実施する予定になっております。
知事:
そういう形で、価格転嫁、要するに中小企業が元請からたくさん工事代金とか請負代金とかをもらえるような、そういう支援をしていきたいと思っています。
記者(時事通信):
あと、何か政府に対して、こういう支援を求めたいというのがもしあれば教えてください。
知事:
そうですね、先般、国に行って様々な要望をしてきたのですが、公正取引委員会にも要望に行きまして、改正下請法違反とかの摘発を進めてほしいというような要望をするとともに、経済産業省にも要望に行きまして、そのときにお願いしたのは、適正な価格転嫁を実施している事業者を認定して、補助金申請や入札参加への加点措置等による優遇制度の創設をお願いするとともに、少し細かい話ですけど、国の補助制度で中小企業省力化投資補助制度というものがあるのですが、ちょっと使い勝手が悪いので、その使い勝手をよくしてほしいといった要望もしてきました。もし詳細を知りたいのであれば、担当課のほうに取材していただければと思います。
司会:
ほかに質問はございますでしょうか。
知事:
よろしいですか。
司会:
では、以上をもちまして本日の知事定例記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
知事:
ありがとうございました。
以上
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。