令和7年9月3日(水曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○大阪・関西万博会場での奈良県催事について
○放送倫理・番組向上機構への申立てについて

【質疑応答】
○県の防災に関する課題と知事の考えについて
○大和西大寺駅の高架化について

 

 

 

 

司会:

 おはようございます。

 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日の会見は、ユーチューブ、奈良県公式総合チャンネルでライブ配信しております。

 本日の知事からの発表案件は2件ございます。

 まず、1件目は、大阪・関西万博会場での奈良県催事についてでございます。

 山下知事、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

大阪・関西万博会場での奈良県催事について

 

 

 

 

知事:

 万博会場におけます奈良県の催事の第三弾でございますALL NARA HARMONYについてご説明をさせていただきます。資料をご覧ください。

 ALL NARA HARMONYは、対話をテーマとしたDialogue Theaterというパビリオン、これは本県出身の映画監督である河瀬直美さんがプロデュースしているパビリオンでございますけれども、そのDialogue Theaterというパビリオンにおきまして、奈良県が紡いできた歴史、自然、文化に触れながら、命のあかしというものを表現できればというふうに考えております。

 Dialogue Theater-いのちのあかし-は、ちょうど万博会場の円形リングのちょうど真ん中辺りにございます。

 ALL NARA HARMONYのスケジュールでございますけれども、9月12日から14日間、2週間開催をいたします。詳細は、こちらの資料3ページ目に記載のとおりでございますけれども、時間は、9時から21時で、初日のみ10時からとなっております。場所は、Dialogue Theaterの森の集会所で行います。イベントのスケジュールでございますけれども、初日と2日目の9月12と13日、これは金曜日と土曜日に当たりますけれども、そこでは、このオープニングセレモニーや万博ピアノ、これは1970年の万博で使用されたピアノが県内で保管されておりましたので、それを展示するものでございます。その万博ピアノの展示や、それを用いたストリートピアノを行ったり、ピアノの中身をのぞいてみようということで、ピアノの内部構造を見てもらうような、そんな企画もする予定でございます。それが12日でございまして、13日は、今ご紹介したもののほかに、宇陀高校の演奏会等が予定をされております。14日、15日は、地場産品の展示を行ってまいります。16日から25日までは、そこに記載のとおり、県内の各市町村がパネル展示等を行う予定でございます。

 4枚目をご覧ください。オープニングイベントの詳細でございますけれども、イベント主催者の挨拶及びゲスト紹介として、私、河瀬監督、それから、この万博ピアノを作成された河合楽器製作所の代表取締役の河合健太郎さん、そして、せんとくんが主催者として挨拶したり、ゲストとして挨拶したりいたします。それから、万博ピアノの紹介、万博ピアノにつきましては、右側に詳しいことが記載をされております。現在、宇陀高校で保管をされております。それから、3番目といたしまして、河瀬プロデューサーによる奈良県の各市町村のPR動画の紹介、こういった構成でオープニングイベントは行います。

 5ページは、9月12、13日の催事の詳細でございます。万博ピアノ講座、ピアノの中身をのぞいてみようという企画、それから、宇陀高校による演奏、ストリートピアノなどとなっております。

 6ページは、9月14日からの感じる奈良展の9月14、15日の2日間にかけて行われる感じる奈良展の展示内容となっております。奈良の伝統工芸や地場産品、それから、県内各市町村に関する展示、ワークショップなどを行います。見て、触って、感じる展示で奈良の魅力を伝えていきたいというふうに考えております。

 それから、9月12日から25日の2週間、河瀬直美監督が制作した「静寂」をコンセプトにした奈良県39市町村のPR映像を放映させていただきます。詳細は、7ページに記載のとおりでございます。

 私からの説明は以上でございます。

 

司会:

 ご質問のございます方はお願いいたします。

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 知事がこの期間に会場に行かれるのは、12日以外はどこかありますか。

 

知事:

 今のところ、12日だけの予定です。

 

記者(毎日新聞):

 分かりました。ありがとうございます。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 今回、第三弾で、県関連としては最後の催事になるのかなと思うんですけど、改めて、今回、第三弾としての催事で、知事として、どのような意義を感じておられるか、どういう狙いでやっていきたいか。

 

知事:

 第一弾は、関西パビリオンの多目的エリアにおいて、特産品の紹介とか、あるいは、各市町村の観光の見どころ紹介といった形の催事を行いました。それはそれでかなりたくさんの人が来場して、各市町村のPRにつながったかなと思っています。第二弾は、ご存じのように、春日若宮おん祭の一部を再現したり、能と現代音楽を融合したパフォーマンスをするなどして、アートと、伝統芸能と、伝統行事といった奈良の魅力を伝えることができました。今回は、万博ピアノの展示等ありますけれども、この39市町村のPR映像を紹介するというのが一番の目玉かなと思っております。このPR動画を見ていただくことで、県内各市町村の魅力を来場者に知っていただいて、ぜひそのPR動画を見て気に入った市町村があれば、現実に訪れていただきたい、そういった効果を期待しております。

 

 

 

 

放送倫理・番組向上機構への申立てについて

 

 

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 それでは、次の発表案件に移ります。

 2件目の発表案件は、放送倫理・番組向上機構への申立てについてでございます。

 知事、よろしくお願いいたします。

 

知事:

 放送倫理・番組向上機構というのは、日本放送協会と日本民間放送連盟及び日本民間放送連盟に加盟している各社が出資して組織した任意団体でございます。放送局は、放送法という法律にのっとって放送することが法律上求められております。それとともに、日本放送協会と日本民間放送連盟が放送倫理基本綱領というものを定めておりまして、そこに番組づくりの指針、方針、基準といったものが示されており、この放送法や、あるいは、この放送倫理基本綱領にのっとった番組づくりが求められているわけでございます。今般、株式会社毎日放送が作成した番組に、この放送法や放送倫理基本綱領に違反するような内容が一部含まれておりましたので、株式会社毎日放送に対しましては、訂正放送を求めたのですが、応じていただけなかったので、やむを得ず、放送倫理・番組向上機構、略称、BPOに申立てをすることに至った次第でございます。

 詳細について、資料を基に説明をさせていただきます。資料の1ページ目です。株式会社毎日放送の番組「よんチャンTV」内のコーナー「特盛!憤マン」に関する放送倫理・番組向上機構、略称、BPOへの申立てについてでございます。

 趣旨は、奈良県と北海道大学大学院文学研究院招へい教員の立澤史郎氏と2者で、株式会社毎日放送が令和7年6月2日に放送した番組「よんチャンTV」内の「特盛!憤マン」というコーナーにつきまして、放送法及び放送倫理基本綱領に違反すると考え、本日、放送倫理・番組向上機構、BPOに調査及び審議を申し立てるものでございます。

 申立人は、奈良県を代表する私と北海道大学大学院文学研究院招へい教員、立澤史郎氏の2名でございます。

 対象番組、先ほども申しましたが、株式会社毎日放送が令和7年6月2日の18時33分から18時50分の間に放送した「よんチャンTV」という番組の中の一つのコーナーである「特盛!憤マン」についてでございます。番組のタイトルは、「奈良公園のシカが食料危機に!?“ドングリの木”伐採進める県に「シカ目線で見ていない」憤る研究者 山下知事は「生態には全く影響ない」意見割れる」と、こういう見出しがついております。

 ネット上の記事を投影してください。この番組ですね、後でも触れますけれども株式会社毎日放送のユーチューブチャンネル及び同社のホームページに、当初、動画が掲載されておりました。本県からの抗議に対応する形で、既に当該動画は削除されておりますので、一般的には既に見ることはできませんが、このネット上のニュースだけが現在は残っている、そういう状況でございます。

 具体的に問題があると考える点について、資料に基づいて説明をさせていただきます。資料の2ページを映してください。読み上げる形で説明させていただきます。本件番組については、奈良公園における植栽伐採と公園内に生息する天然記念物、奈良の鹿を取り上げたものであり、鹿の研究者である立澤氏、そして、奈良県知事、そして、奈良県の職員への取材、インタビューなどを基に制作されたものでございますけれども、以下の3点が放送法4条1項3号及び同4号並びに放送倫理基本綱領に違反すると考えるものでございます。違反すると考える条項については、括弧内に記載されております。まず1点目ですけれども、取材対象者に対し、取材の意図や番組構成について十分な説明がなされないまま放送が行われた。この点が不適正な取材・制作過程に該当するものとして、放送法4条1項3号及び放送倫理基本綱領に違反するというふうに考えております。2点目、立澤氏が県に対し怒り、憤り、意見が割れているというVTRの編集、演出がなされておりますが、立澤氏と県との間には対立関係は全く存在せず、事実と異なる印象を与える放送がなされました。この点が恣意的な編集による印象操作に該当し、放送法4条1項3号及び放送倫理基本綱領に違反するものと考えております。3点目でございますけれども、県職員や立澤氏から、「今後、合同会議というのは、県が設置した3つの委員会の合同会議のことを指していますが、今後、合同会議の開催回数を増やし、鹿の生息環境改善に向けた取組が進む予定である」と県職員及び立澤氏がそれぞれ同じ内容をコメントしていますが、こうした環境改善に向けた取組がなされるというようなことは報道されておりません。それから、私の令和7年5月30日の知事定例記者会見における伐採には景観保持だけではなく、鹿の餌である芝などの下草の成育を促進させる目的があるという趣旨の発言をVTRでは取り上げておりません。結果として、ドングリの木伐採中止を求める団体が発した事実と異なる主張に対する県の説明内容は全く取り上げておらず、事実を客観的、公平、公正に伝えていないと考えられるものでございます。

 この放送による影響ですけれども、客観性、公正性に書ける本放送により、視聴者に誤った印象を与え、県に対する批判的な電話やメールが多数寄せられまして、県職員がその対応に追われることとなりました。具体的には、電話60件、それから、メール約40件の計100件程度が寄せられました。また、同番組のVTRを掲載した毎日放送の公式ユーチューブチャンネルには、県を批判するコメントが殺到をいたしました。

 問題があると考える点につきまして、資料には記載してございませんが、もう少し詳細に説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1点目の不適正な取材・制作過程という放送法違反、放送倫理基本綱領違反の点でございますけれども、毎日放送さんから立澤先生に、奈良公園における植栽伐採が鹿へどのような影響があるのか等をニュース番組で取り上げるため、鹿の生態に関する取材を行いたいという説明がございましたが、「特盛!憤マン」の取材であるということや、その番組のコーナーの特徴等は一切、取材申込みの時点で伝えられておらず、結果的に県や知事と立澤氏が対立構造になるような番組になることは一切伝えられておりませんでした。

 それから、これは立澤氏から我々が聞いた話でございますけれども、立澤氏が市民と共に鹿の調査をしたのですが、その調査に毎日放送の記者さんが同行取材をされました。そのときに、その市民の方に対して記者の方が伐採には反対ですよねとか、鹿がかわいそうだと言ってくださいといったかなり強い誘導が行われたそうでございます。ただ、その記者の求めに対しては、市民は、不信を抱いて、記者の求めるようなコメントは発しなかったと聞いております。

 それから、立澤先生は、自分の発言内容の確認も含めて、しっかりと県の意見を聞いてほしいと念を押していましたが、立澤氏の発言内容について、県に確認されるということはございませんでした。

 2点目の恣意的な編集による印象操作の点でございますけれども、立澤先生は、県の附属機関である奈良の鹿保護管理計画検討委員会の委員として、これまでも当然専門家の立場から県の政策に意見を述べてきたわけです。これまでも、県の方針に対して異なる意見を述べられることはありましたが、対立しているという状況ではなくて、県としては、その先生の意見を有益な意見として施策立案に反映していたということでございます。

 それから、立澤先生の発言は、一般的な鹿の生態を説明している、そういう趣旨で発言していたのに対して、その発言があたかも行政を批判しているかのような趣旨で番組内では紹介をされ、対立構造を描くために使用されたと立澤先生は認識をされておられます。

 3点目の公平性・公正性に欠けた編集についてでございます。先ほど県が設置した委員会が3つあると申し上げましたけれども、その3つというのは、奈良の鹿保護管理計画検討委員会、奈良公園植栽計画検討委員会、それから春日山原始林保全計画検討委員会でございます。立澤先生も本県もこの3つの委員会の方針として、鹿の観点をこれまで以上に踏まえ、奈良公園内の植栽や伐採について検討するため、合同会議の開催回数を増やし、生息環境改善の取組が今後進む予定であるというふうに、県も立澤先生も、これから生息環境の改善を共に進めていくんだというふうな意向を示したコメントを発しているわけでございますけれども、こうしたコメントに係るVTRは放送されていません。

 それから、県の職員が奈良公園内における餌資源に関する調査を行う予定であるといった、鹿の観点に立った調査をするということもコメントしていますが、これもVTRの中では使われていなかったということでございます。

 それから、県職員が毎日放送さんのインタビューに対して、当然、鹿も大事であるが、奈良公園の景観も重要であって、どちらも同じぐらい重要だというような趣旨の回答をしておりますが、番組のナレーションでは、鹿よりも景観を重視する県というような内容のナレーションがされているということで、この点が視聴者に誤った印象を与える印象操作に該当するのではないかと考えております。

 配付した資料に戻っていただきまして、3ページ目、映してください。本件における経緯ですけれども、当然、いきなりこのBPOへの申立てを行うことにしたわけではなく、いろいろなやり取りがこれまでありました。その経緯を少しご紹介させていただきます。

 まず、別件でございますけれども、本件の伏線にもなっているので、ご紹介させていただきます。令和6年4月10日に、県から毎日放送に対しまして、令和6年4月4日放送の「よんチャンTV」内の「特盛!憤マン」というコーナーにおける県のメガソーラー整備に関する内容について、事実と異なる点や放送法4条1項4号の趣旨にそぐわない点があると判断したため、今後、このようなことがないようにという申入れを令和6年4月10日の時点で行っております。その資料を投影させていただきます。

 読み上げさせていただきます。株式会社毎日放送御中、申入れ書、奈良県知事、山下真。平素は奈良県行政にご理解、ご協力を賜り、ありがとうございます。さて、貴社が令和6年4月4日に放送した「特盛!憤マン」というニュースの内容について、事実と異なる部分と、放送法4条1項4号の趣旨にそぐわない部分がありましたので、下記のとおり、申し入れます。1、「新年度予算、メガソーラー整備検討費を盛り込む→否決」というテロップとともに、それに沿った放送がなされましたが、令和6年度の当初予算にはメガソーラーと一般に言われる大規模な太陽光発電施設に係る予算は全く含まれていません。それから、2点目、放送では、五條市の住民のインタビューに長い時間を割いておりましたが、私を含め、奈良県の担当者に対するインタビューは全く放送されませんでした。これは、放送法4条1項4号の意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることという放送事業者の義務を定めた条項の趣旨にそぐわないと言わざるを得ません。今後は、事実と異なる放送や放送法の趣旨にそぐわない放送にならないようご留意願いますということで、このときは、この申入れ書を送るという対応をさせていただきました。

 それから、資料3に戻りますけれども、まず、株式会社毎日放送から立澤先生への取材は、令和7年5月17日、18日に行われました。同月22日に、県の担当課である奈良公園室に取材がなされました。そして、6月2日に「特盛!憤マン」が放送されておられます。それに先立って、5月30日の知事定例記者会見で、毎日放送さんの記者から私に質問があり、私がコメントをさせていただいております。その5月30日の3日後である6月2日にその「特盛!憤マン」が放送をされました。放送直後から、県に対する批判的な電話やメールが多数寄せられました。7月30日、県から株式会社毎日放送に対しまして、当該番組内容に関し厳重に抗議をし、訂正放送及びユーチューブ動画の削除及び訂正放送内容のユーチューブへの掲載を求める内容の申入れ書を発出いたしました。資料を投影させていただきます。

 こちらが7月30日付で発出した申入書となります。記以下は、私が先ほど説明した問題があると考える3点について記載をしております。この申入書で何を求めたかといいますと、記の少し前に記載しているとおり、これらのことについて、厳重に抗議するとともに、訂正放送、そして、ユーチューブに掲載されている動画の削除、それから、訂正放送をしたその同内容をユーチューブにアップする、それを求めて、8月14日までに見解をお聞かせ願いたいと申入れしたところでございます。

 これに対して、8月7日付で返事がございました。読み上げさせていただきますと、今年6月2日に放送した特集、「発掘!憤マン」は、奈良公園におけるドングリの木の伐採が鹿に影響があるかもしれないということを問題提起しようというのが狙いです。「憤マン」というスタイルを取っていますが、鹿と奈良公園という貴重な資産をどう保存していくのかということを視聴者の方々にも考えてもらいたいと思い、取材、放送したものです。県が悪者であるかのような印象を与えたことは決して本意ではありません、と書いているのですが、ここでもう一回、ネット上の記事を出してほしいのですが。この見出しを見ていただいて、ドングリの木伐採を進める県に鹿目線で見ていないと憤る研究者がいると、それに対して、私が生態には全く影響ないとコメントし、意見が割れていると。私のコメントは、ドングリの木の伐採は、鹿の餌である下草を保護すると、木が繁殖すると日光が地面に当たらなくて、鹿の餌となる下草が生えないから、木の伐採をして、その下草を成育させるのが目的だということは言っているのにもかかわらず、そういったことは全く見出しとしては取り上げておらず、研究者の指摘に対して私が生態には全く影響がないと開き直っているかのような印象を与える、そういう見出しになっているわけです。これについて、先ほどの回答書では、県が悪者であるかのような印象を与えたことは決して本意ではありません、と毎日放送さんは言っております。ぜひメディアの皆さんや、このユーチューブ放送をご覧になっている方には、この弁解が果たして正しいのかどうか、県が悪者であるかような印象を与えたことは決して本意ではないと言えるような見出しなのかということは、ぜひお考えいただきたいと思います。

 

 引き続き読ませていただきます。このため、奈良公園室にクレームが来て業務に差し障りが出ていると8月5日の話し合いの席でお聞きし、その後、すぐに同特集のユーチューブ動画やMBSニュースのホームページに掲載されている動画を削除する手続きを取りました。また、放送では、VTR後のスタジオ解説で、今後について、「奈良県には鹿の保護を検討する委員会と公園の景観を検討する委員会があって、その間の情報共有をより密にする、また、ドングリの伐採が鹿の食料にどう影響を及ぼしたのか、奈良公園に実際どれぐらいの食料があるのかを県が主体となって調査する」などと伝えていますが、これは県や立澤先生のインタビューに対する回答を基に、スタジオ解説では、こういう解説はなされていたんですけれども、これはユーチューブ動画には掲載されていなかったので、その部分をMBSニュースのホームページ、先ほどお示ししたニュースのホームページには追加掲載すると。立澤先生から新たに、「対立しておらず、一緒に協力してやっている」という趣旨の言葉をいただいたので、それも併せて、MBSのニュースのホームページに追加掲載することを考えているので、どうかご理解いただきたいということで、ただし、訂正放送や訂正放送をユーチューブにアップすることはしないという回答でございました。

 これに対しまして、8月22日、県から毎日放送さんに再度申入れをさせていただきました。どういう内容かというと、令和7年7月30日付で貴社に対し申入れを行った件について、令和7年8月7日付で回答いただき、県の申入書の内容に対する一定のご理解と、今後のMBSニュースホームページへの追加掲載の意向について示され、ユーチューブ動画及びMBSニュースホームページ掲載動画の削除措置を実施されたことは確認した。しかしながら、本件番組内で放送された、今後の県の取組などに触れているスタジオ解説を含まない動画がユーチューブ上で公開され、SNS上でも拡散されたことにより、事実に基づかない誤解が広範に広がり、県に対する誤認や不信を生じさせている影響は極めて大きいものと認識している。このような状況に鑑みれば、単に元動画を削除するだけではなく、視聴者の誤解の払拭と正確な情報の再発信を、訂正放送とSNS等を通じて行うことが必要と考えている。再度検討していただいて、8月29日までに貴社の方針を文書で回答されたいと求めたところ、再申入書が出てきたんですけど、結局、訂正放送と訂正放送のユーチューブへのアップはできませんという、従前どおりの回答であったため、本日、BPOに調査、審議を申し立てると、こういうことになったわけでございます。

 今回こういった申立てをするに至った理由及び目的でございますけれども、これまでも申し上げてきましたが、今回の番組の放送やユーチューブでの配信によりまして、多数の県民や県外の方に誤った認識が植え付けられて、県に対する誤解や県に対する不信が広まっております。この誤解を解くため、毎日放送さんに訂正放送の実施を求めてきたわけでございますけれども、できないということでございましたので、BPOによる調査、審議を行っていただいて、調査、審議の結果を公表していただくことで、県の信頼回復を図りたいと、これが目的の一つでございます。

 それから、言うまでもなく、視聴者に客観的で公平な情報を届けていただくということが放送局の責務でございます。今回、毎日放送さんの「特盛!憤マン」につきましては、県に対する誤った印象を与える放送が2回もされているわけでございます。今後、同様の問題が再発しないよう、制作体制や取材体制の見直しをしていただいて、客観的事実に基づく公平な放送をしていただきたいという、再発防止がもう一つの目的でございます。

 私からの説明は以上でございます。

 

司会:

 ご質問のございます方はお願いいたします。

 NHKさん。

 

記者(NHK):

 6月2日に放送があり、7月30日に立澤先生と申入れをされていますが、連名でされるに至った経緯を詳しくお伺いできますでしょうか。

 

知事:

 この番組が放送された直後、県には多くのクレーム等が寄せられました。立澤先生は、県の委員会の委員もされておられましたので、立澤先生は、この番組内容について、どのように感じておられますかということを尋ねたところ、全く自分の発言とは異なるニュアンスで放送をされていて、立澤先生としても大変憤りを覚えているというような内容でございました。立澤先生も事実と違うことが伝えられていると認識しているわけですから、何か県と先生が対立しているかのような趣旨の報道がなされているということは、看過できないと考えまして、申入書を発出するに至った次第でございます。

 

記者(NHK):

 本日の申立書についてですが、これは現段階ではまだ申立てはされてないんですか。

 

知事:

 もう投函しました。

 

記者(NHK):

 審議入り等については、何か決まってはいないでしょうか。

 

知事:

 郵便で送っただけでまだ届いてないですからね。

 

司会:

 ほかにご質問はございますでしょうか。

 朝日新聞さん。

 

記者(朝日新聞):

 奈良県がBPOに申し立てるという前例はあるんでしょうか。また他の自治体の事例などご存じであれば教えていただきたい。

 

知事:

 奈良県がBPOに申立てを行ったことはございません。過去に地方自治体がBPOに申立てを行ったことにつきましては、我々のほうで調べられた限りでお答えをさせていただきます。平成30年5月23日に大阪府高槻市が、同じく株式会社毎日放送さんを相手方として、BPOに申立てをしておられます。その内容でございますけれども、毎日放送の「ボイス」という番組におきまして、高槻市さんが2年余りにわたり、高槻市議会議員の1人に対して、市議会に提出する議案の説明を行わなかったと受け取られる内容が放送されたことに対しまして、高槻市は、これは事実と異なる主張であると考えて、毎日放送へ訂正放送を求めたが、本件と同じく、訂正放送はできないという回答であったため、BPOへの申立てを行ったということでございます。もう1件は、平成29年、詳細な日は不明でございますけれども、福岡市さんがフジテレビを相手にBPOに申立てを行ったということが確認できております。

 

記者(朝日新聞):

 県として看過できない放送内容だったというところですが、立澤先生だったり、県側のコメントとして、言ってないことを報道したとかいうところではなくて、印象操作という言葉を使ってますけども、報道の切り取り方というところが問題だということなんですかね。

 

知事:

 はい、おっしゃるとおりです。

 

記者(朝日新聞):

 私も先ほどのネット記事しか見てないのですが、立澤先生がドングリの木の伐採が鹿の餌に対して、懸念をしてるということは事実なんでしょうか。

 

知事:

 事務局から答えさせていただきます。

 

奈良公園室:

 一般論としまして、ドングリの木とかを伐採することで鹿の餌が減りますので、それが鹿に影響を与える可能性があるというようなことを発言されております。

 

知事:

 先ほど言いましたように、ドングリの木を切れば、当然、ドングリの木になる実が減って、その実が落ちて、それを冬場、鹿が食べるんですけど、一方で、ドングリの木が、繁殖し過ぎると、今度は下草が生えてこないという問題があるわけですよね。ですから、ドングリの木を伐採するイコール別に鹿の餌を減らすということではなく、鹿の餌である下草を繁殖させるという意味もあるわけですよね。だけど、後者のほうは報道しないわけですよ。ドングリの木を切ったらドングリの実が減るのに、県がそれを強行しようとしてるというようなトーンで放送されてるわけですよね。立澤先生も、県の委員会の委員ですから、ドングリの木を伐採するというのは、実を減らすという効果はあるにせよ、一方で、下草を繁殖させるという目的もあって、そのプラス・マイナスすれば、鹿の生態への影響を無視しているという趣旨で発言されていたわけではないんですけれども、あたかも県が専門家の意見を無視して、鹿の生態に影響を与え、鹿の餌の減少を促すような施策を強行しようとしていると、専門家の意見も聞かないで突っ走ろうとしていると、そういう趣旨で報道されたということです。鹿の木を伐採したらドングリの実が減るということは、一般論としてそれはそのとおりであると立澤先生はコメントされておられます。一方で、奈良公園室長もインタビューに応じて、当然、鹿の生態、鹿の保護も大事だけれども、奈良公園の景観保持も重要、両方重要である、その両方の目的から、ドングリの木の伐採を進めるんだと言ったんですけど、結局、景観の保持のところだけ切り取られて、室長のコメントとして放送されてるわけです。そのコメントだけ見たら、県の担当者は鹿よりも景観を重視してるのかという印象を見た人は受けますよね。そういうことを言ってるんです。

 

記者(朝日新聞):

 このドングリの木58本を伐採する予定も含まれていると思うのですけれども、これは景観の植栽計画の中で決まったものでしょうか。知事の下草問題というのはどこを根拠にして、58本が選定されたのでしょうか。

 

知事:

 それは事務局のほうから。

 

奈良公園室:

 植栽計画の中で決まっております。

 

記者(朝日新聞):

 それは、そもそも景観目的でしょうか。

 

奈良公園室:

 はい、そうです。

 

記者(朝日新聞):

 ドングリの伐採というのは景観目的が第一目的ということですよね。

 

奈良公園室:

 そうです。

 

記者(朝日新聞):

 下草の成育にとってもよいというところは、どこから引っかかってくるのですか、今の話を聞くと、それは結果論ではないのですか。

 

奈良公園室:

 植栽計画においては、奈良公園の一番よかった大正時代の景観を守ると。つまり名勝指定当時の景観を守ると。それが非常に大きく影響するのが奈良公園の植栽であって、その植栽を当時の姿に戻していこうというものでやっているものであります。それには、一つは、大きく眺望を考えるための、木に当たって問題になっている木の伐採も含まれますし、もう一つは、樹林地ですね、その樹林地の中というのが、木がかなり密生して生えているところもありまして、その木を切ることによって、森全体、樹林地全体の活力を促すということも含まれております。その中の活力を促すという目的は、当然、樹木だけではなくて、下層植栽への良好な影響ですね、伐採することによる影響というものも含まれております。それは、下草植栽を食料、餌とする鹿への生息環境の向上に当たるというのが前提の話として委員会の中では検討されております。

 

記者(朝日新聞):

 つまり、そもそも景観だけれども、なぜこの58本だったかというのは、下草の影響の考慮も当然入っているという理解で。

 

奈良公園室:

 そのとおりです。また、ドングリの木は、伐採した木のうちの、大体1割弱でして、それ以上にほかの影響がある木というのは切っております。

 

記者(朝日新聞):

 分かればですが、BPOに申し立てして、実際、審議対象、審査対象になるか、ならないかというのは、期間とか、BPOからの返答は、どういう手続に今後なるのでしょうか。

 

知事:

 一般論として、BPOのほうで、放送倫理検証委員会というところが議論すべき事案かどうかということが議論されて、その放送倫理検証委員会で審議すべきと判断されたら、審議入りするということでございます。審議入りするか否かの判断までどれぐらいの時間がかかるのかということは、私どもでも把握はしておりません。

 

記者(朝日新聞):

 期間、期限とか、逆に審議入りされなかったという通知が送られてくるものではないのですか。

 

広報広聴課:

 審議入りしない場合は、個別にそのことは通知されないと聞いています。審議入りとなった場合は、BPOからの公表がされますので、何かしらの連絡がこちらにもあるのかなと思っています。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 批判のメールとか電話の件ですけれども、これは、全て個人の方からということでよろしいですかね。団体ではないかということです。

 

奈良公園室:

 個人です。

 

記者(毎日新聞):

 100人でよろしいですか。100件ですか。

 

奈良公園室:

 100件です。

 

記者(毎日新聞):

 分かりました。

 批判的なということで、具体的にどんな内容がありましたでしょうか。

 

知事:

 主な意見の内容は、奈良県は奈良公園の景観や眺望を取り戻すことを重視し、その計画を遂行するため、ドングリの木を伐採し、鹿の命を軽視していると。まさに番組の意図をそのまま真実と、その番組の放送内容をそのまま真実と受け取って、奈良県に対して批判の電話やメールをしてきているということでございます。繰り返しますが、奈良県は、決して景観、眺望を優先して、鹿の命を軽視しているというようなことは全くございません。

 

記者(毎日新聞):

 今回、BPOに出されるということで、毎日放送さんにはそういった旨はお伝えされているのですか。

 

知事:

 昨日、電話で伝えました。

 

記者(毎日新聞):

 その際、何か意見とかあったのでしょうか。

 

知事:

 どうですか。

 

広報広聴課:

 そうなんですねというような反応だったと認識しております。

 

記者(毎日新聞):

 ありがとうございます。

 

 

 

 

県の防災に関する課題と知事の考えについて

 

 

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 NHKさん。

 

記者(NHK):

 今月で紀伊半島大水害の発生から14年になりますが、改めて、知事としての受け止めをお伺いできますでしょうか。

 

知事:

 平成23年の紀伊半島大水害では、奈良県南部におきまして、多大な人的被害や建物被害等が発生しました。その大水害から14年経過したのですが、現在においても、復旧、復興に向けた工事がいまだに終わっておりません。復旧、復興の工事に当たっていただいている国土交通省近畿地方整備局さんをはじめ、関係者の皆さんには心よりお礼を申し上げますとともに、お亡くなりになられた方には改めて心よりお悔やみを申し上げたいと思っております。

 

記者(NHK):

 奈良県知事として、今後、こういった災害が起きたときの対応や対策など、考えておられるものはありますでしょうか。

 

知事:

 はい、もちろんでございます。近年では、線状降水帯の発生に伴う局地的な集中豪雨や台風などによる被害が頻発しております。地震についても、南海トラフ巨大地震は、近い将来、高い確率で発生すると予測されておりますし、奈良県におきましては、奈良盆地東縁断層帯による直下型の地震の発生も危惧されているところでございます。こうしたことから、奈良県では、発災後の被害を少しでも減らすため、様々な事業に取り組んでいるところでございます。皆さんもよくご存じのとおり、これまで災害応急対策(防災拠点)の検討部会をしてきておりまして、その結果出来上がりました基本構想に基づいて、現在、奈良県南部中核拠点ですね、これは五條市の県有地に建設する奈良県南部中核拠点の先行整備や、奈良県内のその他の広域防災拠点の具体的な運用計画の検討を今進めているところでございます。本年の事業でございますけれども、運航開始から23年が経過し、老朽化が顕著になっている奈良県の消防防災ヘリの更新を行います。本年10月25日と10月26日に、9年ぶりに奈良県で開催されます近畿府県合同の防災訓練を実施いたします。それから、令和6年に起きた能登半島地震を踏まえた国の防災基本計画等の修正や奈良県の様々な防災施策の進展等を反映した形で、奈良県の地域防災計画の修正をしていきたいと考えております。国において、南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しが行われたわけでございますけれども、それを受け、奈良県におきましても、令和7年度及び令和8年度の約2年間で、地震学や都市防災計画学などの専門分野の有識者6名から成る検討委員会を設け、先生から助言を受けながら、奈良県における南海トラフ巨大地震の地震被害想定調査というものを2年間かけて行う予定でございます。それから、奈良県と市町村で行っている備蓄方針も改めて検討して、どういう方針で備蓄するかという指針を取りまとめたいと考えております。もちろん奈良県としてはこうした取組をしているわけでございますけれども、やはり地震から自分の身を守るというのは、発災直後の自助が非常に重要になってきますので、奈良県民の皆さんにおかれましては、日頃から地震への警戒を怠らず、自助による備えを行っていただきたいなと考えております。

 

記者(NHK):

 ありがとうございます。

 

 

 

 

大和西大寺駅の高架化について

 

 

 

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 毎日新聞さん。

 

記者(毎日新聞):

 大和西大寺駅の3者協議会というのはいつ頃開催されそうとか、どうですかね。

 

知事:

 それはまだ全くめどが立っておりません。

 

記者(毎日新聞):

 あれからオファーはかけている感じですか。

 

知事:

 正式な形では申入れはしておりませんけれども、ある会合で、奈良市長さんとお会いしたときに、今後、大和西大寺駅の高架化については、ぜひ協議していきましょうというような申入れはさせていただいております。

 

記者(毎日新聞):

 それは奈良市長選の後にということ。

 

知事:

 はい、そうです。

 

記者(毎日新聞):

 仲川市長はどういった回答だったのでしょうか。

 

知事:

 それは、仲川市長さんに取材してください。

 

記者(毎日新聞):

 分かりました。ありがとうございます。

 

司会:

 ほかに質問はございますでしょうか。

 では、以上をもちまして、本日の知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

 

以上

 

 

※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。

また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

 

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