第四次国土利用計画

1.計画策定の趣旨

  • 奈良県国土利用計画は、国土利用計画法第7条に基づき、総合的かつ計画的な県土の利用を確保するため、概ね10年間の県土利用に関する基本的な事項を示すものです。
  • 県土利用については、県土が限られた資源、諸活動の基盤であることに鑑み、自然的、社会的、経済的及び歴史・文化的条件に配意し、県民の生活環境の確保と県土の均衡ある発展を基本理念として行っていく必要があります。
  • このため、県計画は、昭和52年の一次計画策定後、二次計画(昭和62年)、三次計画(平成9年)と、概ね10年ごとに改定を行ってきました。三次計画が目標年(平成17年)を経過し、平成20年7月に新たに全国計画が策定されたことを踏まえ、人口減少社会の到来、地球温暖化の進行など、社会経済情勢の変化等に対応した新たな県土利用の方向性を示す必要があることから、このたび次期計画となる四次計画を策定しました。

2.計画の概要

  • 目標年次 : 平成30 年 (基準年次平成17年)
  • 想定人口 : 1,318千人(平成17年1,421千人)
  • 想定世帯数: 532千世帯 (平成17年501千世帯)

    自然と歴史が調和する本県の地域特性を活かしつつ、安全で安心できる県土利用を図っていくことを基本としたうえ で、これらの一層の推進を図っていくことに加え、これまでの住宅地増加を抑え、雇用の確保と創出、県内消費の拡 大につながる工業系、商業系用地への土地利用も積極的に推進していく目標を掲げています。

3.基本方針

    自然と調和する県土利用

    • 奈良を象徴する歴史的風土や自然環境の保全、これらと調和した土地利用を図ります。
    • 自然の健全な物質循環の維持、都市的土地利用にあたっての自然環境への配慮、生物多様性の確保など、人の営みと自然が調和した土地利用を図ります。
    • 大和青垣をはじめとする良好な景観の保全と形成を図ります。
    • 自然とのふれあいの場となる農山村空間を活用し、都市住民と農山村住民との交流・連携を進めます。

    安全で安心できる県土利用

    • 災害に対する地域ごとの適正な土地利用に配慮し、防災拠点やオープンスペースの確保、病院の適正配置、ライフラインの多元化を推進します。
    • 災害に関わる情報の周知や災害に強いまちづくりの推進など、減災を意識した土地利用を推進します。
    • 森林のCO2吸収源等公益的機能の維持・向上を図ります。
    • 生活環境の整備など、住みよいまちづくりを推進します。

    経済活性化につながる県土利用

    • 産業機能の集積促進を考慮した産業立地の計画的な推進を図り、企業等が立地しやすい環境づくりをめざします。
    • 京奈和自動車道をはじめとする道路網の総合的な整備など、県内外の地域との交流・連携の促進を図ります。
    • 案内施設等の観光交通基盤の整備、多様な宿泊施設の立地促進など、観光客が滞在し周遊しやすいもてなし環境の整備を促進します。
    • 優良農地と担い手の確保、県産農産物の販路拡充と地産地消の推進、森林の整備・保全を図ります。
    • 活力の維持・向上が課題となっている地域は、都市住民との交流・連携を図りつつ、雇用の確保・創出に向けた地域振興策を展開します。

    利便性と快適性のあるまちづくり

    • 機能分担、交流、連携を前提として、広域的な視点に立った自律性のあるまちづくりを推進します。
    • 拠点性のある主要駅を中心とした多様な都市機能を有する市街地の整備の推進を図ります。
    • 住宅地は、量的供給から質の確保・向上へ重点を移行し、ゆとりある良好な住環境づくりを推進するとともに、まちなか居住を促進しコンパクトなまちづくりをめざします。
    • 都市近郊の農用地、森林の憩いとやすらぎのある空間としての活用、市街地内の低未利用地の有効活用を図ります。

    4.取組の概要

      自然と調和する県土利用

      • 優れた自然、良好な景観、歴史的風土の適正な保全・再生に向けた行為規制等の整備、希少野生動植物の保護、野生鳥獣の計画的な保護管理
      • まちなみ、沿道景観の保全と形成、県民の景観保全・形成に対する自主的取組促進
      • 環境の保全と創造に向けた総合的な取組の推進、環境負荷の小さい都市構造や経済社会システムの形成推進、CO2吸収源となる森林、緑の保全・整備、廃棄物の3R推進と適正な処理

      安全で安心できる県土利用

      • 災害につよいまちづくりに向けた面的整備の推進、防災拠点やオープンスペースの確保、病院の適正配置、ライフラインの多元化の推進
      • 土地利用状況を勘案した水系ごとの治水施設等の整備
      • 森林の公益的機能発揮に向けた整備・保全

      経済活性化につながる県土利用

      • 新たな企業立地拠点等の形成、企業立地環境の整備、都市計画区域区分や用途地域の見直し
      • 京奈和自動車、中和幹線、学研都市連絡道、五條新宮道路等の整備促進
      • 観光案内拠点、駐車場等観光交通基盤の整備、宿泊施設立地促進に向けた土地利用規制上の措置検討
      • 優良農地の確保、農産物のブランド化や直売施設等販売拠点の整備推進、林道等基盤整備

      利便性と快適性のあるまちづくり

      • 広域的な視点に立ったまちづくりに向けた圏域等の設定、主要駅を中心とした多様な都市機能を有する市街地の整備推進
      • 既存住宅ストックの質の向上、まちなか居住やコンパクトなまちづくりの推進土地利用の転換の適正化
      • 人口・産業の状況、埋蔵文化財の状況、周辺の土地利用の状況、その他自然的・社会的・歴史的等条件を総合的に勘案し適正に実施

      土地の有効利用の促進

      • 計画的な農業生産基盤の整備、農用地の利用集積促進、特産物の作付け拡大
      • 森林の計画的な整備・保全
      • 大滝ダム等の事業促進、河川改修や砂防地滑り対策
      • 幹線道路の整備推進、体系的な道路ネットワークの形成
      • 既存住宅ストックの活用、住宅団地の再生、既成市街地の再開発等の推進
      • 京奈和自動車道等を活用した企業立地拠点の形成、未分譲工業用地の利用促進
      • 耕作放棄地の農地への再活用と地域活性化のための他用途への転用等

      多様な主体の参画と連携・協働の推進

      • 持続可能な県土管理を進めるため、地域住民、NPO、事業者等多様な主体の参画に向けた取組みの推進、行政との連携・協働を図るための仕組みづくりなどの環境整備



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