意見書第2号

意見書第2号

    公契約に関する基本法の制定を求める意見書

 厳しい財政状況を背景に国や地方自治体では、公共サービスの効率化、コストダウンが求められている。このようななか、公共工事や委託事業などの公契約の価格は、過当競争と相まって低価格・低単価の契約や受注が増大している。このため、受注先である民間企業の経営悪化と労働者の賃金・労働条件の著しい低下を招くという問題が生じている。
 さらに、業務委託にかかる人件費は、物件費として扱われるため、労働基準法や最低賃金法等が遵守されているかどうか、発注者には関与しにくい構造となっており、委託業務を担う労働者は、社会保険の不適用、賃下げや解雇の脅威にさらされている。
 こうした状況を打開し、真の豊かさを実感できるよりよい社会を実現するためには、不公正な取引関係を改善するとともに、公正労働基準の確保や労働関係法の遵守、社会保険や労働保険の全面適用を徹底させることが必要である。さらに、男女共同参画社会の構築や障害者雇用の促進など、社会的価値を高めるため積極的に施策を講じることが求められている。また、ILO94号条約(公契約における労働条項に関する条約)を早期に批准するとともに地域における公契約条例の制定に向けた環境整備のために公契約基本法の制定が急務である。
 よって、国におかれては、次の事項を早期に実施されるよう強く要望する。

1 良質な公共サービスの安定的提供とその事業に従事する者の労働条件の改善、ならびに職場の安全の確保のため、公契約に関する基本法を早期に制定すること。
2 公契約に関する基本法を制定する際には、公正労働基準と労働関係法の遵守、社会保険の全面適用等を公契約の必須要件とすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成21年3月25日

         奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣