意見書第1号
狂犬病予防対策の整備、充実に関する意見書
昨年11月、フィリピンからの帰国者が相次いで狂犬病を発症した。我が国では、昭和45年以来36年ぶりの狂犬病の発症だけに、世間を震撼させた。
狂犬病は、ほ乳類動物のすべてが感染し、有効な治療法がないため、人が感染、発症すれば、ほぼ死亡すると言われている。世界では、毎年5万人程度の死亡が報告されていて、人類にとってはいまだ脅威の感染症の1つである。
我が国の狂犬病予防対策は、「狂犬病予防法」に基づき行われてきたが、今日、犬の登録の実施率は5割、定期予防注射の実施率は4割程度にまで低下しているという。
このため、我が国においても万一の事態が生じた場合、蔓延は避けられず、大きな社会混乱を引き起こすことになりかねない。
よって、国におかれては、早急に次の事項について実現が図られるよう強く要望する。
1 「狂犬病予防法」に基づく犬の登録及び定期予防注射に係る自治体業務が円滑に推進されるように、自治体と各地域関係団体との地域ネットワーク体制の整備を図ること。
2 自治体が行う犬の登録事務に関し、現行の鑑札の装置については不備が多い。現在、動物の個体識別装置としては、マイクロチップ(MC)による個体番号管理方式が国 際標準化されている。したがって、このMC化に変更し、登録の実行の確保を図る一方、他の動物関係行政における個体識別装置と一元的な運営が確保されるように所要の法整備を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年3月16日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣