意見書第12号
事業承継円滑化のための税制措置等に関する意見書
中小企業は、地域の雇用を多く維持・創出するとともに、技術・ノウハウの伝承と創造、競争力の確保・強化、地域共同体の文化・伝統の保持などにおいて、多様かつ重要な経済的・社会的役割を担っている。こうした中小企業の育成・支援は、地域経済の活性化、ひいてはわが国経済の安定的・持続的な成長を実現するために不可欠である。
今後、中小企業経営者の高齢化の進展に伴う事業承継問題が、急速に深刻化してくることが予想される中で、事業用資産に対する過度な相続税などの問題により、やむなく事業存続をあきらめることになれば、地域の活力が削がれ、地域経済の衰退を招き、わが国の成長発展をも損ないかねない。
中小企業の事業承継問題は、単に一企業の経営者の交代に留まらず、従業員の生活、取引先や関連企業等の事業・経営、さらには地域社会にも影響を及ぼすものであり、税制等が円滑な事業承継を阻害することがないように配慮すべきである。
よって、国におかれては、事業承継円滑化のための支援について、次の措置を講じるよう強く要望する。
1 非上場株式等の事業用資産にかかる相続税は、5年程度の一定期間の事業継 続等を前提に、事業を承継する者の相続税負担の減免を図る包括的な事業承継税制を確立すること。
2 取引相場のない株式については、円滑な事業承継を可能とする評価方法の見直しを行うこと。
3 民法の遺留分制度などについて、事業承継の際に、相続人当事者の合意を前提としつつ、経営権や事業用資産を後継者に集中できるよう制度の改善を図ること。
4 その他、事業承継時における金融面での支援、廃業と開業のマッチング支援等を行うための事業承継関連予算の大幅な拡充など、事業承継円滑化のための総合的な対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年10月5日
奈 良 県 議 会
【提出先】
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
財務大臣
経済産業大臣