意見書第13号
周産期医療体制及び小児救急医療体制の充実強化を求める意見書
地域住民が安心して生活するためには、必要な医療サービスがいつでも利用できることが重要である。その中でも、地域の周産期医療体制や小児救急医療体制の充実は、安全で安心な社会の構築はもとより、少子化が進行する我が国にとって欠くことのできない重要な課題である。
医師不足、とりわけ小児科・産婦人科の医師確保に即効性のある対策が見出せない中で、近畿圏においては、「総合周産期母子医療センター」の指定を受けた医療機関が、緊急時に母体搬送の受け入れ要請に応じられないケースが増加している。
昨年8月の分娩中に意識不明となった女性が19病院に受け入れを断られた末に死亡する事案、また、今年8月には妊婦が11病院に受け入れを断られた末に死産するという痛ましい事案が本県で発生した。
近畿府県においては、周産期医療における自治体の枠を超えた広域的な連携について合意がされるなど、各地で救急医療体制の充実強化に向けた取り組みがされているが、地方自治体の取り得る対策には限界がある。
また、病院勤務医が開業へ流れた影響などにより、小児救急医療体制は、夜間を中心に各地で破綻を来しており、さらに、救急医療における地域間格差も一層深刻さを増している状況にある。
よって、国におかれては、周産期医療及び小児救急医療の現状を十分認識し、安心できる地域医療体制を確保できるよう、早急に次の対策に取り組まれるよう強く要望する。
1 総合周産期母子医療センターの施設拡充・維持に向けた財政支援の充実を図ること。
2 救急医療における人材の育成と確保に早急に取り組み、救急医療体制の整備・維持、周産期医療体制の整備・維持のための支援策の拡充を図ること。
3 小児科・産科救急医療体制の整備に係る財政支援の充実を図ること。
4 小児科・産科等の医師不足が指摘される科目の診療報酬の抜本的な見直しを図ること。
5 医科系大学の定員の拡大を図ること。また、奨学金制度に対する支援など、地元への定着を進めるための施策の充実を図ること。
6 出産・分娩に係る無過失補償制度の早期の創設を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年10月5日
奈 良 県 議 会
【提出先】
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣