意見書第16号

意見書第16号

    地域における雇用・就業対策の充実強化を求める意見書

 景気・経済状況は回復傾向にあるといわれるが、一部の地域や年齢層では依然として雇用環境が厳しい情勢が続いている。こうした状況の中で、非正規雇用と正規雇用との労働条件の格差の是正や、非正規雇用の割合が多い若年層への安定した就労に向けた支援策を確立するとともに、長時間労働による心身の健康被害、過労死や過労自殺に歯止めをかける対策を拡充すること等が喫緊の課題となっている。
 人口減少時代の到来により労働力不足が危惧される中、雇用・就業対策については、教育・労働・産業の各分野において、地域の実態に合わせた総合的な雇用対策を推進する必要がある。
 よって、国におかれては、次の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 特に失業率の高い若年者の就労を促進するため、職業安定所において求職から就職まで個人アドバイザーによる相談・助言をマンツーマンで実施し、教育・職業訓練などの支援策を確立すること。また、若者の就業対策の一環として、中学校2年次の職場体験学習を全国化するため、必要な支援措置を行うこと。
2 地域の雇用情勢に即した介護・医療・教育・環境・防災など公的分野での雇用拡大、新産業の育成やNPOの振興による雇用創出など、地域主体の実効性のある雇用施策を創設し、公労使による「地域雇用推進会議」等の実効性を確保すること。
3 労働者と使用者が対等な立場で労働契約の締結・変更・終了のルールを定める労働契約法を制定すること。
4 メンタルヘルスの不調、過労死、不払い残業の横行等を速やかに減らし、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)に配慮した労働時間の実現をめざすよう、労働時間短縮のための労使の取り組みを支援・促進し、自律的労働時間制度は導入しないこと。 
5 パート社員、有期契約社員等と正社員との間の合理的な理由のない格差を是正し、均等な待遇を実現すること。
6 雇用における「ミスマッチ」解消と早期再就職を図るため、地方公共団体が独自に職業相談・職業訓練・トライアル雇用・職業紹介を一貫した体制で実施し得る支援策を拡充すること。また、職業安定所などでの募集・採用における年齢制限の禁止に向けて、実効性ある措置を確保すること。
7 特に有期雇用労働者の育児介護休業の取得促進を図るとともに、保育体制の拡充、学童保育の支援体制をあわせて、働く親の仕事と家庭の両立支援措置を推進すること。  
8 特に厳しい障害者雇用について、障害者法定雇用率達成に向けて厳正な運用を図り、障害者雇用支援策の展開を図ること。 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年10月5日

     奈 良 県 議 会
【提出先】
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣