意見書第21号

意見書第21号

    保険で良質な歯科医療の実現を求める意見書

 歯や口腔の機能が、全身の健康、介護・療養上の改善に大きな役割を果たすことが、厚生労働省の厚生労働科学研究等で実証されている。また、国民医療費の節減にも効果があることが、「8020運動の実績」で実証されている。
 しかしながら、歯科に対する公的医療費の抑制により、保険で良質な歯科診療を受けにくくなっている。平成18年度の医療費抑制により診療費の削減が行われたが、結果的には医療費削減額の60パーセントを歯科だけで負担している。政府の歯科診療報酬抑制策によって、歯科診療報酬総額も10年以上増加していない状態であり、歯科医療の効用を生かすための歯周治療や義歯治療が、保険では十分にできない状況になっている。そのうえ、歯科では過去30年にわたり、新しい治療法が公的な保険医療に取り入れられていないことから、保険のきく範囲の拡大をという国民の要望にも応えられない状況におかれている。
 そのことによって、歯科医師をはじめ、歯科衛生士、歯科技工士等すべての歯科医療従事者の就労環境が一段と厳しくなり、各地の歯科衛生士や歯科技工士養成所で廃校、定員割れが起きているなど、将来の歯科医療の確保にも赤信号がともる状況にある。
 こうした状況を放置すれば、多くの国民の健康保持に支障をきたすだけでなく、国民医療費の節減にも逆行しかねない。
 よって、国におかれては、国民の歯の保存と口腔機能を維持するための適切な歯科医療を持続的に提供し、保険で良質な歯科医療を確保するため、次の事項の実現がされるよう強く要望する。

1 国民に良質・安全・安心で質の高い歯科医療を提供できるように、診療報酬を改善すること。
2 安全で普及している歯科技術について健康保険が適用されるようにすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成19年12月13日

     奈 良 県 議 会

〈提出先〉
 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 財務大臣
 厚生労働大臣