意見書第3号

意見書第3号

      高次脳機能障害者に対する支援体制の確立を求める意見書

 高次脳機能障害は、医療や福祉制度ではそのニーズに十分対応できていない状況にある。そこで、高次脳機能障害者への具体的な支援方策を検討すべく、2001年度から厚生労働省を通じ高次脳機能障害支援モデル事業が実施され、高次脳機能障害に対する社会的認知を飛躍的に高め、その対応方法についても多大な成果を上げた。この成果が今後の支援策に速やかにかつ適切に反映されることを、全国の当事者及び家族は期待して注視している。
 モデル事業を通じ、高次脳機能障害は、脳の損傷の後遺症によるものであることから外見上障害あることが理解されず、既存の福祉サービスで対応できる障害ではないことが再認識されたところである。
 また、多くの高次脳機能障害者は他の障害と重複しており、対応の難しさなどが指摘され、高次脳機能障害者に対する理解の普及と特別かつ永続的な支援体制づくりが不可欠であることが明らかになった。
 よって、国におかれては、高次脳機能障害支援モデル事業の成果を踏まえ、高次脳機能障害を有する方の支援体制の確立をめざし、次の事項の施策を強力に進めるよう強く要望する。
1 モデル事業の成果を、速やかに全国に普及させるとともに、モデル事業の一般施策化に向け、その成果が十分に活かせるよう周知・啓発や体制整備の充実に対して必要な予算措置を行うこと。
2 障害が見過ごされ、適切なリハビリや支援が行われず、谷間に置かれた障害者が発生することのないよう、高次脳機能障害の障害認定を全国の医療機関が確実に行えるよう周知すること。
3 高次脳機能障害者について適性とニーズに応じた支援ができる体制を提供できるようにするため、支援コーディネーターを含めた専門的な人材の養成・確保を図ること。
4 高次脳機能障害者・家族の多様な障害の実態に応じて、相談を行い、的確な助言・支援をするため、高次脳機能障害について専門的な知見や人材を有し、十分な支援体制を提供できるよう機関(高次脳機能障害支 援センター)を全国的に整備すること。
5 高次脳機能障害者の社会復帰の促進を図るため、ジョブコーチ支援等の就労支援を充実するとともに、雇用率制度のカウントの対象にすることを検討すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成18年3月24日

     奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣