意見書第5号
出資法及び貸金業規制法の改正を求める意見書
個人の破産申立件数は、年間二十万件を超える高水準にある。その多くは消費者金融、クレジット及び商工ローン等で多額の債務を負った多重債務者や中小零細事業者であり、リストラ、倒産による失業や収入減などを理由とする「不況型」「生活苦型」の自己破産が大半を占めている。この多重債務問題が、自殺や犯罪等を引き起こす要因になっているケースも多く、深刻な社会問題となっている。
このような破産者や自殺者、多重債務者を生み出す大きな要因の一つに「高金利」が挙げられる。
現在、わが国の公定歩合は年○.一%、銀行の貸出約定平均金利は年二%程度という超低金利状況の中、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という。)の年二十九.二%という上限金利は異常なまでに高金利であると言わざるを得ない。
リストラ、倒産による失業や収入減などの厳しい経済状況の中で、一般市民が安心して生活できる環境のためには、出資法の上限金利を利息制限法の利息まで引き下げることが必要である。
また、「貸金業の規制等に関する法律」(以下「貸金業規制法」という。)第四十三条において、利息制限法の制限金利を超える利息を一定の要件のもとに認めるいわゆる「みなし弁済規定」があり、これが多くの多重債務者を生み出す要因となっている。
さらに、出資法の附則において日賦貸金業者、電話担保金融に対して年五十四.七五%という特例金利が許されており、日賦貸金業者による被害、また、電話加入権も実質的な財産価値を失いつつある今日において特例金利はその存在意義が失われている。
よって、国におかれては、次の事項について改正されるよう強く要望する。
1 出資法第五条の上限金利を、利息制限法第一条の制限金利まで引き下げること。
2 貸金業規制法第四十三条のいわゆる「みなし弁済」規定を撤廃すること。
3 出資法における、日賦貸金業者及び電話担保金融に対する特例金利を廃止すること。
4 悪質・違法な取り立てに対する取り締まりを強化すること。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成十八年六月二十六日
奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
金融、経済財政政策担当大臣
法務大臣
国家公安委員会委員長