意見書第12号

意見書第12号

        障害者自立支援制度の改正充実を求める意見書

 本年4月から障害者自立支援法(以下、支援法という。)が施行され、障害者の各種サービスの利用に応益負担制度が導入された。その影響は障害者の生活を直撃し、施設の退所、作業所への通所の断念、ホームヘルプサービス利用を手控えるなどの形で、生活水準の低下を引き起こしている。また、障害者施設は、報酬単価の引き下げや日払い化によって、運営の継続が困難な状況に追い込まれている。
 一部の自治体は、サービス利用料・自立支援医療費について独自の負担軽減策を行っている実態がある。さらに、10月から、新サービス体系への移行、新たな障害程度区分に基づく支給決定など本格的な施行が始まり、障害者、家族、事業所への影響は深刻さを増すことが予想される。
 よって、国におかれては、真に障害者の自立と社会参加を求める観点から、支援法について次の事項の見直しを強く要望する。

1 通所施設の利用者負担の軽減措置をより一層強化すること。
2 入所施設を利用する20歳未満の者の負担軽減措置を一層強化すること。
3 報酬日額化の影響が特に大きい通所施設に対する激変緩和措置を一層強化すること。
4 毎日の利用が困難という精神障害者の特性に応じて、精神障害者社会復帰施設の新体系移行後の運営支援を強化すること。
5 就労対策の抜本的強化を図るため、小規模作業所の移行先の1つとなる地域活動支援センター事業について、先進的な自治体の水準を勘案して、内容を充実すること。
6 積極的な整備が必要とされる、グループホーム、ケアホームについて、地域の実情とかけ離れた報酬基準額を是正すること。
7 障害程度区分の認定において、知的障害者と精神障害者に関して、実際に要する支援の必要性と比べて、低く評価される傾向があることから、障害の特性を適切に反映できるよう改善すること。
8 自立支援医療の実施により、公費負担を受けられる対象が制限されている。障害者が、安心して医療を受けられるよう、支援内容を充実すること。
9 地域福祉を先進的に進めてきた自治体における実施水準を維持し、自治体間の格差を是正するため、交付税、国庫補助金など国の財政支援を強化すること。
 
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成18年10月6日

         奈 良 県 議 会 
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣