意見書第18号

意見書第18号

    最低賃金制度に関する意見書

 最低賃金制度は、毎年、中央最低賃金審議会が作成する「目安額」を参考に各都道府県最低賃金審議会の審議を経て、地域別最低賃金を改定することとされている。
 奈良県最低賃金については、本年10月に4円引き上げられ、時間額656円とされたが、改定が一般労働者の賃金改定に比べて遅れるのが常態となっており、その水準もまだ一般労働者の賃金水準、生活費水準とはかけ離れており、的確に反映したものとはいえない。
 厚生労働省においては、2004年9月に学識経験者からなる「最低賃金制度のあり方に関する研究会」を設置し、最低賃金制度全般について検討を重ねてきたが、2005年3月の同研究会報告書においても、地域別最低賃金に関しては、一般的最低賃金として適切に機能しているかという観点から問題があるとされている。さらに、最低賃金の水準が生活保護の水準よりも低い場合には、最低生計費の保障という観点から、また就労に対するインセンティブが働かずモラル・ハザードの観点からも問題であると指摘されているところである。
 雇用情勢は改善されつつあるとはいえ、その内容を見るとパートタイム労働者等の非正規労働者の割合が高く、最低賃金制度の果たすべき役割は極めて重要である。
 よって、国におかれては、最低賃金制度の周知徹底、監督体制の拡充などとともに、本制度の意義・目的を踏まえ、地域別最低賃金の金額水準の大幅な引き上げを含め、生活賃金等のセーフティネット確立に向け検討されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成18年12月13日

     奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣