意見書第2号

意見書第2号

      シベリア抑留者未払い賃金の支払いを求める意見書  

 第2次世界大戦の終結と同時に、中国北東部、北朝鮮、サハリン等において、スターリン体制下のソ連の捕虜となった我が国の軍人、軍属は、ポツダム宣言の「捕虜即時帰国」に違反し、シベリア各地へ連行され、ソ連に対する賠償のための役務提供という名目で長期間にわたって過酷な強制労働を課せられた。
 こうしたシベリア抑留者は60万人を超え、氷点下40度の山間僻地の荒野での酷寒、飢餓、重労働という三重苦により、6万人を超える尊い命が犠牲になった。
シベリア抑留者の労働賃金は、1956年の日ソ共同宣言によってソ連への請求権が放棄されるとともに、国に未払い賃金の補償を求めた訴訟に対する1997年の最高裁判決でも、戦争に伴う犠牲、損害として国民のひとしく受忍すべきところであり、戦争損害に対する補償の要否及びあり方は、立法府の政策判断に委ねられるとされている。
しかし、南方地域における捕虜の労働賃金については、帰国時にGHQの指示により国が捕虜期間中の賃金を支払った経緯があり、シベリア抑留者との間に大きな取扱いに不公平な格差がある。
よって、国におかれては、シベリア抑留者への未払い賃金の支払いを解決するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 3月25日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣
財務大臣
厚生労働大臣