意見書第13号

意見書第13号

    住民基本台帳法の改正を求める意見書

 個人情報の保護は、国、地方のみならず民間事業者においても非常に重要な課題となっており、それぞれに真摯な取り組みが不可欠となっている。
 2005年4月には行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に加え、我が国で初めて民間事業者を対象とする個人情報の保護に関する法律も全面施行され、自治体においても個人情報保護条例の制定が推進されているところである。法整備の進展とともに、より適切な個人情報の保護が図られる体制ができつつある。
 しかしながら、このような個人情報保護をめぐるさまざまな法整備が進む中にあって、市町村からは住民基本台帳法第11条により氏名、住所、生年月日、性別の4情報が、営利目的であっても誰でも原則として大量に閲覧できる状況にある。すでに本県においては個人情報保護条例を制定し、住民の個人情報の適正な保護につとめているところであるが、市民の個人情報に対する意識が、近年急速に高まっている中、住民基本台帳法にもとづき広く4情報が閲覧・利用されていることに対して矛盾が指摘されるようになっている。
 さらに、最近では閲覧制度を悪用した不幸な犯罪事件が起こっており、住民基本台帳法第11条による閲覧制度が現実として住民の権利を著しく侵害しているおそれがある。これは自治体の個人情報保護条例をはじめとした独自の取り組みでは補いきれない問題であり、住民を保護すべき自治体として法の存在が事態への対処を困難にしている。
 また、住民基本台帳閲覧制度については、総務省も「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会」を設け、原則非公開とする方向で検討に入っている。
 よって、議会は、公用及び公益目的以外での請求は認めないよう、住民基本台帳法第11条を改正するよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年 6月30日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長  
参議院議長  
内閣総理大臣 
総務大臣