意見書第19号

意見書第19号

      「人権侵害救済に関する法律」の早期制定を求める意見書

 日本国内においては、真に独立性・実効性が保障された国内人権救済制度が確立されることが、急務の課題であると考える。差別や偏見、虐待等により精神的・肉体的な苦痛を受けている人々が現実に社会に多く存在し、日本国内の状況を改善すべく、国連人権差別撤廃委員会・女性差別撤廃委員会等の国連人権諸条約機関も、日本政府に対し勧告をしていることは事実である。 政府として、日本国憲法で保障された「基本的人権の尊重」を遵守し、同時に、国際的な責務を果たすために、1993年に国連総会で日本政府も賛成し採択された国際的な合意事項である「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に基づく人権機関が設置され、人権救済制度が確立されるべきである。
 よって、国におかれては、次の事項に留意して、早期に「人権侵害救済に関する法律」を制定されるよう強く要望する。
1 政府機関からの独立性を確保するために「パリ原則」を踏まえ、創設する人権委員会を内閣府の外局として設置すること。
2 人権侵害の被害救済が迅速かつ効果的に実施されるよう実効性を確保するために、少なくとも国の機関として都道府県ごとに地方人権委員会を設置すること。
3 国や国の機関として都道府県に設置される人権委員会の委員及び事務局は、それぞれの人権委員会が多様性・多元性に配慮して人権問題・差別問題に精通した人材を、独自に採用すること。
4 人権委員会は、マスメディアの取材や報道に対する規制、さらには様々な人権団体の取り組む自主的な活動への不当な妨害をすることなく、十分な連携をとりながら活動すること。
5 人権擁護委員制度については、抜本的な制度改革を行い、国や国の機関として都道府県に設置される人権委員会と十分連携をとりながら、地域での効果的な活動ができるようにすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成17年12月13日

     奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣