野生鳥獣との付き合い方
野生鳥獣に対して我々人間が守るべき最低限のルールは何でしょうか?
それは自然に対してキチンと向き合い、人間の勝手な都合で自然を乱さないことです。
アウトドアが好きで、森林や河川に入り、山間部でキャンプや釣りを楽しむ方も多いと思います。
そこで少し考えて欲しいことがあります。
行き帰りの道中、山中でゴミを捨てていませんか?サルなどを見て、かわいいと思って餌を与えたことはありませんか?
近年、集落付近へのサルやクマの出没が増えつつあります。
奥山の森林伐採・人工林化も原因のひとつかもしれませんが、原因はほかにもあります。
人間が安易にゴミを捨てたり、餌付けをするといった行為も問題となっています。
ではなぜ、これらの行為が問題なのでしょうか?
それは、これらは野生動物にとって本来そこにはない食べ物の「味」や「臭い」を教えることとなるからです。
人間にとって「美味しい食べ物」は野生動物にとっても「美味しい食べ物」です。
「味」や「臭い」を覚えてしまうと、野生動物はそこに行けば「美味しい食べ物」があるということを学習し、結果的にキャンプ場や集落付近に野生動物を誘引することとなってしまいます。
やがては山間部で生活している人々の田畑が荒らされたり、人間が動物に襲われる事故が発生したりすることもあります。
それは動物にとっても悲劇ですが、人間にとっても悲劇以外のなにものでもありません。
キャンプやハイキングに行く方々は道中で安易にゴミを捨てたり、動物がかわいいからといって安易に餌を与えることは絶対にしないで下さい。
また、山間部に住む人々も畑の側に野菜などを捨てることはやめてください。収穫しない果樹などがあればすぐに処分してください。
それらを放置すると、結果的に野生鳥獣に餌付けをすることになってしまいます。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律
日本に生息している鳥獣(鳥類・哺乳類)は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」
(いわゆる「鳥獣保護管理法」)に基づき保護されています。
この法律の目的は、狩猟やその他の捕獲行為を規制・緩和することによって、野生鳥獣を保護・管理し、また人間生活環境や農林水産業に被害をもたらしている一部の鳥獣に対しては生息数をコントロールし、人間と野生鳥獣との共存を目指していこうというものです。
鳥獣保護管理法の対象となる野生鳥獣は、日本に生息している野生の鳥類(スズメ、カラス、カモなど)と哺乳類(シカ、クマなど)に属する動物です。
ただし、家ねずみ(ハツカネズミ、ドブネズミなど)や一部の海棲哺乳類については他の法令によって管理されていることから、鳥獣保護管理法の対象から除外されています。
野生鳥獣の保護に対する考え方について
野生鳥獣はペットとは異なり、自然の中で生活をしているため、天敵に襲われることや病気などにより弱ることは自然の摂理であるとも言えます。
生物多様性の保全の観点からも、傷ついた野生鳥獣を見つけた場合は、
そのままそっとしておいてください。
また、傷病野生鳥獣を捕獲して救護することは、鳥獣保護思想の普及啓発や野生鳥獣の保護繁殖のために大切であり奨励されるべきものではあります。しかし、許可なく野生鳥獣を捕まえたり飼ったりすることは、法律で禁止されています。
ケガをした野生鳥獣がかわいそうだからと連れて帰ってしまい、どうしていいか分からなくなるのでは、かえって無責任な行為となってしまいます。
救護の目的であったとしても野生鳥獣を捕獲することは、野生鳥獣にとっては大きなストレスとなってしまい、かえって弱らせてしまうこともあります。
なお、野鳥のヒナについては一時的であったとしても、人間に飼われてしまうと野生復帰が困難になることや、巣立ち途中のヒナを間違って捕獲してしまうことを防ぐため、ヒナを見つけても拾ったりせずにそのまま見守ってください。
保護と愛護・・・・野生は野生のままに
今、目の前で、傷つき苦しんでいる動物を見つけたら、どうしますか?
たとえ、それが野生鳥獣だとしても、何とか救ってやりたいと思うのは人の自然な心ではないでしょうか。
それを人道主義と呼ぶ人もいるし、優しさや命への尊厳、あるいは愛だという人もいるでしょう。
しかし、一方で「野生は、野生のままに」・・・野生鳥獣は自然に生まれ、自然に死んでいくもの。だから、人間がむやみに手を出すべきではないという考えもあります。
例えば、野生のスズメがタカに襲われたり、ウサギが崖から落ちてケガをしていたりしたら、あなたはどうしますか?
(1)かわいそうだと思って助けますか?
(2)これも自然の世界で生きていく野生鳥獣のさだめだと思って放置しますか?
(1)は「愛護」の考え方・立場であり、(2)は「保護」の考え方・立場です。
鳥獣保護行政は「保護」の立場で仕事を進めています。
野生鳥獣に関しては、なるべく自然のままの状態を保ち、人間の介入を控える姿勢が重要であると考えられています。
「愛護」も否定されるものではありませんが、野生鳥獣に関する限り、「保護」の立場を優先すべきと考えます。
傷病野生鳥獣救護事業
~救護の対象としない鳥獣~
無数に発生する傷病野生鳥獣を全て治療することは現実的に不可能であることや、保護しようボランティアの登録数が限られていること等から、奈良県では救護の対象としない鳥獣を定めています。
1.自然の営みの中で怪我をしたり、弱ってしまった鳥獣
2.鳥のヒナ、動物の子ども ※詳しくは→ ヒナを拾わないで!!
3.外来生物(アライグマ、ヌートリアなど)
4.生息数が激増して深刻な農林業被害を引き起こしている鳥獣(シカ、イノシシ、カラス、ムクドリ、カワウ、サル)
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これらの野生鳥獣は救護の対象となりませんので、見つけた場所でそのままにしてあげて下さい。お願いいたします。
◆対象外とする詳しい理由や奈良県の考え方等についてはこちらをご参照ください。
→傷病野生鳥獣救護に対する奈良県の考え方について(pdf 116KB)
※無断で野生鳥獣を飼うことは法律で禁止されており、飼養の際には県による保護飼養登録を受ける必要があります。
また、「特定動物」に該当する鳥獣(タカなど)の飼養については上記登録の他、「特定動物飼養・保管許可」を受ける必要があります。
~傷病野生鳥獣を保護したら~
人との関わりの中でケガをしたと考えられる傷病野生鳥獣を保護された場合は、
奈良県農業水産振興課鳥獣対策係(0742-27-7480)またはお住まいの市町村へ連絡してください。
傷病野生鳥獣の初期治療を無料で実施して頂ける「傷病野生鳥獣救護動物病院」に登録されている最寄りの動物病院をご紹介します。
※お電話をされる前に、上部記載の「救護の対象としない鳥獣」 についてご確認をお願いいたします。
紹介された動物病院には事前に電話連絡をした上で、保護された方ご自身でお持ち込みください。
なお、持ち込みをされる際には治療後のリハビリ飼養や終生飼養について、受け入れの意思をお尋ねすることがございます。
傷病野生鳥獣保護しようボランティアについて
奈良県では、保護された野生鳥獣のお世話をしていただけるボランティアを募集しています。
詳しい制度内容や登録申込についてはこちらをご確認ください。
→ 傷病野生鳥獣保護しようボランティア申し込みのご案内(pdf 394KB)
申込用紙Word様式(doc 40KB)