意見書第16号
米価下落に対する緊急対策を求める意見書
農林水産省の試算では、米1俵(60キログラム)あたりの平均生産費は約1万6千円とされているが、8月下旬から今秋の概算金は最低7千円台という想定外の下落になっている。この事態を放置すれば、担い手・後継者が米作りを断念し、結果として一層の高齢化、農業人口の減少、過疎化が進行しかねない。また、米価下落は食料自給率を低下させ、畑に続いて水田の耕作放棄地が拡大し、用排水路に雑草が繁茂し、災害の拡大にも結び付き、地域が衰退することが懸念される。
そもそもこの間の米価の下落は、2013、2014年度の基本方針を決めた昨年11月の農林水産省食料・農業・農村政策審議会食糧部会で、今年6月末の在庫が2年前に比べて75万トンも増える見通しを政府が認識しながら、何ら対策を講じてこなかったことにある。また、農政改革により4年後に政府が需給調整から撤退する方針を打ち出したことも追い打ちをかけている。
米は日本国民の主食であり、その需給と価格の安定をはかるのは政府の重要な役割である。
よって、政府におかれては、事態を重く受け止め、緊急に以下の対策を取ることを求める。
1 米価下落対策本部を立ち上げ、全国の米価の実態を緊急に調査・把握し、深刻な事態を公表し緊急対策をとること。
2 米飯給食の推進、米粉を活用した食品の普及等の国内における米の需要拡大のための施策を充実させること。
3 生産コストに見合う米価制度の確立をすること。
4 TPPについては、国会決議に沿って交渉すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成26年12月12日
奈 良 県 議 会
(提出先)衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
農林水産大臣
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
地方創生担当大臣