意見書第10号

意見書第10号

           環太平洋戦略的経済連携協定の交渉状況に関する情報開示を求める意見書

 現在、環太平洋戦略的経済連携協定(以下、「TPP協定」とする。)の交渉が山場を迎えている。同協定の発効は、国民生活及び国民経済に多大な影響を与えることから、交渉参加にあたっては、衆参農林水産委員会において、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」との決議がなされている。
 しかし、交渉参加後相当期間が経過した現時点でも十分な情報開示がなされているとは言えない。交渉参加国でもある米国においては、国会議員に対し協定案の開示を行っているとともに、重大な影響を受ける利害関係者へも部分的に開示を行っている。このように、交渉参加国間で情報開示の程度に差があることは、妥結に向けた交渉を進めるにあたって、国益の確保に支障が出る可能性を否定出来ない。
 よって、このような憂慮すべき事態を打破し、TPP協定の与える影響について、国民各層を交えた議論を行うことができるよう、次の施策が実施されるよう要望する。

1 政府は、衆参農林水産委員会決議に則り、TPP協定の交渉状況と妥結後の影響とその対策について、国民に広く情報を開示すること。
2 政府は、衆参農林水産委員会決議に則り、TPP協定の交渉状況について、定期的に国会へ報告を行うこと。また、国会からの求めがあった場合には、速やかに資料の提出を行うとともに、説明を行うこと。
3 政府は、地方議会など重大な影響を受ける利害関係者から求めがあった場合には、交渉中のTPP協定条文案などの関連文書について、開示に努めること。
4 国会は、前記1から3の取組みを行うにあたって、TPP協定交渉参加各国の情報開示の状況に照らし、必要な仕組みを検討すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成27年10月9日
                                    奈 良 県 議 会

(提出先) 衆議院議長
      参議院議長
      内閣総理大臣
      内閣官房長官
      外務大臣
      農林水産大臣
      経済産業大臣
      内閣府特命担当大臣(規制改革)