意見書第1号

意見書第1号

 

医療等に係る消費税問題の抜本的解決を求める意見書

 

 社会保険診療報酬等についての控除対象外消費税問題の抜本的解決は、喫緊の課題であります。

 社会保険診療等は消費税非課税であるために、医療機関は仕入れに対して支払った消費税を控除することができず負担となっていますが、その仕入れにかかった消費税相当額分については、診療報酬に上乗せされる仕組みとなっています。しかし、この仕組みは、消費税上乗せ分の補てんが不十分であることや、個々の医療機関の仕入構成や医療提供体制の違いに対応できないという欠陥をかかえているために、消費税負担が経営を圧迫し、とりわけ多額の設備投資などを必要としている医療機関の消費税負担を深刻なものとしています。そうした中、医療関係者の自助努力により、地域医療提供体制が維持され、地域医療がかろうじて確保されているのが実態です。一方、非課税と言いながら、社会保険料や窓口負担により、患者・国民は消費税分を知らない間に負担していることは極めて大きな問題です。

 さらに、地域医療の最後の砦とされる自治体病院も例外ではなく、消費税負担が病院経営に深刻な影響を及ぼしており、地方財政を圧迫する要因ともなっています。

 このまま消費税率が引き上げられれば、社会保障の充実・維持を目的とするはずが、むしろ、地域医療提供体制が崩壊するという結果になりかねません。

 この問題を抜本的に解決するため、消費税率10%引上げ時、すなわち平成29年4月において、社会保険診療報酬等に対する消費税の非課税制度および医療保険等における補てんの仕組みを、仕入税額の控除または還付が可能な制度に改め、その際、軽減税率を適用するなど患者負担を増やさない制度に改善する必要があります。これは、予算による還付方式ではなく、あくまで税制による還付方式を求めるものです。

 平成28年度税制改正大綱では、控除対象外消費税問題の抜本的解決に向けて、平成29年度税制改正の際に結論を得ることが明記されたことに従い、次の事項を要望します。

 

1 国民と医療機関等に不合理な負担を生じさせている医療等に係る消費税問題を抜本的に解決すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   平成28年3月25日

                                       奈良県議会

 

 

(提出先) 衆議院議長

      参議院議長

      内閣総理大臣

      内閣官房長官

      財務大臣

      厚生労働大臣