意見書第16号
ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成の拡充を求める意見書
肝炎対策基本法等でも確認されているように、わが国において、ウイルス性肝炎、特にB型・C型肝炎の患者が合計300万人以上とされている。
現在、ウィルス性肝炎患者に対する医療費助成は、肝炎治療特別促進事業として実施されている。しかし、対象となる医療が、B型・C型肝炎のインターフェロン治療とC型肝炎のインターフェロンフリー治療及びB型肝炎の核酸アナログ製剤治療に限定されているため、医療費助成の対象から外れる患者が相当数にのぼっている。特に、肝硬変・肝がん患者は高額の医療費を負担せざるを得ないだけでなく、就労不能の方も多く、生活に困難を来している。
また、肝硬変を中心とする肝疾患は身体障害者福祉法上の障害認定(障害者手帳)の対象とされてはいるものの、医学上の認定基準が厳しいため、現在の制度は、肝炎患者に対する生活支援の実効性を発揮していない。
肝硬変・肝がん患者は、毎日100人以上の方が亡くなっており、医療費助成を含む生活支援の実現は、一刻の猶予もない課題である。2011年に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が制定された際、「とりわけ肝硬変及び肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援の在り方について検討を進めること」との附帯決議がなされている。ようやく今回、2018年度厚生労働省予算の概算要求に、肝がん治療に対する医療費助成が盛り込まれた。肝硬変の治療が対象となっていないなどの課題も残されているが、新たな医療費助成制度の予算化を確実にしつつ、肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成を含む生活支援について一層の充実を目指す必要がある。
よって、国会及び政府におかれては、次の事項を講じられるよう強く求めるものである。
1 ウイルス性肝硬変・肝がんに係る医療費助成制度を創設すること。
2 身体障害者福祉法上の肝機能障害による身体障害者手帳の認定基準を緩和し、患者の実態に応じた認定制度にすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年12月15日
奈良県議会
(提出先) 衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
厚生労働大臣