毎日、蒸し暑い日が続いています。
県庁の執務室内もムシムシとしています。ローカの方が涼し
いような気も・・・(^_^;)
そんな中、先日6月9日(月)に開催した「がんワーキング
グループ」を、傍聴にお越しいただいた門脇さんからお手紙
をいただきました。どうもありがとうございました。
門脇さんは、橿原市にお住まいで、現在、前立腺がんと膀胱
がんを治療中でいらっしゃいます。
自らがんと闘う患者として、日頃、思っていることをつづっ
て、送って下さいました。
前向きに生きていらっしゃる門脇さんの姿はとても素晴らし
く、勇気づけられます。しかし、門脇さんのようにがんを前
向きに捉えることは、そう簡単ではないと痛感しました。
以下、門脇さんからのお手紙です。要約しようかと思いまし
たが、門脇さんの言葉で掲載した方が、伝わると思ったので
そのまま掲載します。
◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇
去る6月9日(月)奈良県地域医療等対策協議会第1回がん
ワーキンググループの会議に傍聴の機会を与えていただき、
ありがとうございます。がん患者の一人として、私なりに
感じたこと、又、日頃、思っていることを以下に記しますの
で、ご参考にしていただければ幸いです。
私は、2年前、前立腺がん、膀胱がんが見つかり、現在、治
療中ですが、がんになってはじめて、がん患者の恐怖、悩み
を実感できました。(8年前、妻が末期の悪性リンパ腫で
6ヶ月入院、そばにいて、その苦しさ、恐怖を理解していた
つもりでしたが・・・)
がん対策を進めるには、切実な患者の声はもちろん、県民の
意見も不可欠と思います。解決されるべき多くの課題があり
ますが、大きく2つに整理できると思います。
1、現在、がんにかかっている人が最高の治療を受けられる体
制づくりと心身の悩みをサポートする緩和ケア体制づくり。
2、まだがんにかかっていない一般県民(特に明日を担う若い
世代)に正しい知識をどう啓蒙し、結果として検診率を上げ
るか。
1、については、経験豊富な医療関係者及び行政関係者がおら
れるので、問題点は、充分把握されていると思うので、あと
は、予算取りも含めて、どう具現化していくか。限られた時
間を懸命に生きている患者のことを考えると、時間的余裕は
ありません。「がん難民」などという悲しい言葉はあっては
ならない!
2、については、検診を受けたい意識はあるが、がんに対する
正しい知識不足等で二の足を踏んでいる人がかなり多いよう
です。知人、友人の話の一部を挙げると、
・「2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死ぬ時
代」という話がやたら多い。
テレビ番組「余命1ヶ月の花嫁」「ジャズシンガー 命のブ
ログ ~分かち合った“生きる希望”~」等により、がんの
恐さが増幅されている。
・従って、検診を受けることが安心を得るものと思っていた
が、今では、がんが見つかるという恐怖感を持って検診に臨
まねばならない。だから受けたくない。
・がん治療費は高く、見つかったら払えないという理解。
・昨年までは、かかりつけの病院で基本検診の時に、がん検
診を受けていたが、法改正により今年から特定検診となり、
基本検診が受けられず、がん検診も受けにくくなった。
・乳がん検診は現在40歳以上だが、子宮がん検診も含め、
30代で受診出来るよう、検診の日時、場所、費用を考えて
ほしい等。
このようにがんに対する理解とがん医療の現状との間には、
かなりのギャップがあり、それを埋める啓蒙と仕組み作りが
重要と思います。それには、がん患者の話が何にもまして説
得力があると思います。「検診で早期のがんが見つかり、早
期治療により、治療費も安くすみ、今まで以上に生き生きと
生活している」「見つかった時は、早期ではなかったが、新
しい治療法、薬でがんを克服。(今は)元気にしている。」
というようながん患者の話を、例えば、県民だよりのコラム
に連載するのも一案かと思います。
島根県で実施している病院での「がんサロン」はすばらしい
と思います。病院には、毎日、たくさんのがん患者が来てお
り、苦しみ悩んでいる方が多いと思います。又、数々のハー
ドルを克服し、ピアカウンセラーのような方もおられると思
います。そこに医療者、行政の関係者が積極的に参加するこ
とにより、本当の意味で患者の立場に立った医療体制ができ
ると思います。
このプロジェクトが県のTOP PRIOROTY(=優先順)として位
置づけされ、事務局、座長の強いリーダーシップのもと、他
県と比べても勝るとも劣らない計画を作成、そして、実施さ
れるよう、切に希望いたします。
(追伸)
おかげさまで、私は今のところ、心身共に極めて元気です。
趣味の自転車、山、スキーを通して、たくさんの仲間に恵ま
れ、がんになってからも何ら変わらず交友を続け、楽しんで
おります。
私のがん表明で、最初の頃は、友人も気をつかい、距離をお
くようなところもありましたが、今まで通り自転車に乗り、
山に登り、スキーと酒を楽しみながら、がんのことをオープ
ンに話し、「がんも悪くないぞ」と人生を今まで以上に過ご
している姿を見て、「がんになっても、あんなに元気に生き
られるのか。がんに対する認識が変わった」「自分が(がん
に)なった場合の心づもりができた。元気、勇気が湧いてき
た」というようになりました。がん患者同士の集まりも大事
ですが、元気に動ける人は、がんをもっとオープンに語り、
行動し、世間のがんに対するイメージを変えていくことが
極めて重要と考えます。
そのうち「DEATH EDUCATION」が、学校の授業に取り入れら
れ、それが「LIFE EDUCATION」になっていくものと思いま
す。「可能な限り輝いて生きる」これが今の私の強い目標で
す。
(明)