はじめての万葉集vol.31


はじめての万葉集
中臣(なかとみ)の太祝詞言(ふとのりとごと)いひ祓(はら)へ
贖(あが)ふ命も誰(た)がために汝(なれ)
大伴家持
巻十七四〇三一番歌
中臣の太祝詞言を唱え、祓いをし、祈る命も、誰のためか。
他ならぬあなたのためだ。
酒造りの歌
 新酒の仕込みに忙しい時期ですね。今月には大神(おおみわ)神社で醸造の安全を祈願する「酒まつり」が執り行われます。三輪は『万葉集』に「味酒(うまさけ)」の言葉が付けられるほど古くから酒と縁深い地域です。
 『万葉集』にはさまざまな酒の名前が出てきます。「吉備(きび)の酒」(巻四の五五四)、「君がため醸(か)みし待酒(まちざけ)」(巻四の五五五)、「糟湯酒(かすゆざけ)」(巻五の八九二)、「豊御酒(とよみき)」(巻六の九七三)、「黒酒白酒(くろきしろき)」(巻十九の四二七五)など、神事での酒、宴会での酒、親しい友人を想う酒といった、古代の豊かな酒文化をうかがい知ることができます。
 上の歌には「造酒歌一首」(酒を造れる歌一首)という題詞(タイトル)がついています。しかし恋心が詠まれており、酒との直接的な関わりがみられません。
 『万葉集』の巻十七から巻二十までは、大伴家持関連の歌々が年月日順に配列されています。そのため前後の歌から推測するに、この歌は家持が越中国(えっちゅうのくに)(現在の富山県)の国司(こくし)を勤めていた天平二十年(七四八)の春に詠まれたようです。この年、家持は出挙(すいこ)(利子付き貸与の慣行)のために越中国内を巡行(じゅんこう)しています。おそらくその勤めのなかで、酒造りに関わる経験を得て、あるいは醸造のときにうたう歌を聞き知ったことが、この歌を詠む契機になったと考えられています。
 中臣氏は宮中の神事を司った氏族です。その中臣氏が唱えるような立派な祝詞が造酒の際になされ、祓いをして祈願すると詠まれています。そうした酒造りに関わる神事の表現は、最後には一転して恋人への思いに集約されます。この意表を突いた表現の転換がこの歌の面白さではないでしょうか。
(本文 万葉文化館 小倉久美子)
万葉ちゃんのつぶやき
醸造安全祈願祭
(酒まつり)
 桜井市の大神神社で行われる、酒造りの祖神と仰ぐ大神に醸造の安全を祈願する祭り。全国の酒造家・杜氏・酒造関係者が参列します。祭典では、神杉を手にした四人の巫女による「うま酒みわの舞」が奉奏され、祭典後には醸造安全の赤い御幣と酒屋のシンボル「しるしの杉玉」が全国の酒造家・醸造元に授与されます。
 また、境内では各地から奉献された銘柄を展示する全国銘酒展が催され、樽酒の振る舞いも行われます。

うま酒みわの舞
日時:11月14日(月曜日)10時30分~
アクセス:JR三輪駅より東へ約700m
大神神社
TEL 0744-42-6633
県広報広聴課 TEL 0742-27-8326 FAX 0742-22-6904
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