はじめての万葉集


はじめての万葉集
蓮葉(はちすば)は かくこそあるもの
意吉麿(おきまろ)が 家なるものは 芋(うも)の葉にあらし
長忌寸意吉麿(ながのいみきおきまろ)
巻十六三八二六番歌
蓮の葉とはこのようにこそあるもの。
意吉麿の家にある蓮の葉は芋の葉のようです。
家なるものは…
芋? 妹?
 蓮は美しい花で私たちを楽しませてくれる一方、その実や地下茎であるレンコンは、野菜としても馴染み深いものです。古代の人々にとっても、蓮は身近な植物だったようです。
 古代では「蓮」はハチスと訓(よ)まれ、その葉は食べ物を盛るお皿として用いられました。『万葉集』巻十六・三八三七番歌の左注には、「ここに饌食(せんし)は、盛るに皆荷葉(はちすば)を用(も)ちてす」とあり、宴会のごちそうを、蓮の葉に盛りつけたことが記されています。おそらく、意吉麿もいずれかの宴会に参加し、みごとな蓮の葉を目にしたのでしょう。その立派な蓮の葉に比べたら、わが家の蓮は芋の葉のようだと謙遜(けんそん)し、もてなしてくれた宴の主人をほめているのです。
 目の前にある物の中から即座に歌の素材を選び、その場にふさわしい一首に仕立てあげるだけでもかなりの腕前ですが、実はこの歌、蓮に美しい女性が暗示されているのではないかという説があります。美しい蓮に美女の姿を重ね、それとは対照的なわが家の芋――妹(妻)であることよと、「芋(うも)」に「妹(いも)」が隠されているとも解釈できます。「芋」は平安時代の辞書『倭名類聚抄(わみょうるいじゅうしょう)』に「以閉都以毛(いへついも)」(家つ芋)とあり、里芋のことを指すとされます。意吉麿は、蓮のように美しい奥様に比べたら、わが妻はまるで芋のようです、と戯れたのでしょう。
 つまり、この歌は蓮の葉をとおして宴の主人のもてなしと、その奥方の美貌を同時にほめるという、二重の意味を持っているとも考えられるのです。まさに、即興歌の名人・意吉麿の面目躍如たる一首と思われます。深読みに過ぎるという意見もありますが、みなさんはどのように思われますか?
(本文 万葉文化館 大谷 歩)
万葉ちゃんのつぶやき
味間(あじま)いも
 「味間いも」は、田原本町などで生産される里芋の一品種です。球状で大きな芋をたくさんつけます。昭和初期に、田原本町味間の生産者が、県農事試験場(現在の県農業研究開発センター)から最も有望な里芋の種いもを譲り受けて栽培がスタートし、平成26年には「大和の伝統野菜」に認定されました。煮物や味噌汁、田楽や蒸し芋として最適です。味間いもは、県内では「JAならけん味間にこにこ農産物直売所(田原本町味間)」などで購入できます。

味間いも
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