奈良のむかしばなし


奈良のむかしばなし
奈良に古くから伝わる
むかしばなしをご紹介します。
龍蓋池(りゅうがいいけ)
文・山崎しげ子
 西国三十三所第七番札所、厄除け観音霊場として知られる岡寺。龍蓋寺(りゅうがいじ)とも呼ばれる。今回は、その寺名のいわれとなった龍と池のお話。
 昔々、明日香村の岡というところに一匹の暴れん坊の龍がいて村人たちを困らせていた。雨のいらない時に急に大雨を降らせたり、田畑に種をまいて芽が出ると、地面を這い回って芽を枯らせたり。
 そこである日、村人たちは義淵(ぎえん)さんというえらいお坊さんに相談した。「あの龍を何とかしてください」
 義淵さんは、村人に龍の入れるほどの小池を造らせ、お経を唱えて龍を呼び寄せた。龍は、「よい寝床を造ってもらった」と喜び、その小池の中に入った。義淵さんは「おいおい龍さんよ、もう二度と出てきて暴れるのではないぞ」といい、法力で龍をその池の中に封じ込め、石で蓋をした。そこでこの池を龍蓋池と呼び、のちにこの地に建てられた寺を龍蓋寺という。
 明日香村東の山腹に建つ岡寺(龍蓋寺)。
 僧義淵は、のちに仏教界の最高位、僧正(そうじょう)に任じられた。奈良時代の高僧行基(ぎょうき)、良弁(ろうべん)らはその弟子。
 朱塗りの仁王門を入ると、境内に本堂、開山堂、書院、三重塔など。龍蓋池は今も残る。
 三重塔からさらに散策道をのぼると、西に明日香の地が一望できる。遠く生駒山、二上山、葛城、金剛の山々。手前に畝傍山、甘樫丘、橘寺、川原寺跡も。散策道の両側は、初夏は石楠花(しゃくなげ)、秋は紅葉で美しく彩られる。
 本堂の本尊、如意輪観音像(にょいりんかんのんぞう)(奈良時代・国重文)は日本最大の塑像(そぞう)。高さ約4.6m。この観音のご利益(りやく)を求め、平安時代から巡礼者でにぎわった。
 江戸時代、本居宣長(もとおりのりなが)の『菅笠日記(すががさのにっき)』に「★摺(おいずる)の老若男女が詣ですき間もなく、御詠歌を大声でうたう」とある。
 今も、そのにぎわいは変わらない。
★=
岡寺(龍蓋寺)
 明日香村の岡寺(龍蓋寺)は、1月~3月には厄除け祈願でにぎわう。本尊の如意輪観音像の胎内に納められていたと伝わる如意輪観音半跏思惟像は、昔、仏師 稽首勲(けいしゅくん)が災難にあった時、この仏像を造り、一心に拝んでその難から逃れられたと伝えられる。これも厄除けの寺の由来の一つとして伝わっており、4月~12月は本尊と胎内仏を間近で見ることができる。
 本堂の前には龍が眠る池と、龍を封じている石が見える。池にある石の蓋を揺らすと、雨が降るともいわれている。
物語の場所を訪れよう
岡寺(明日香村岡)へは…
近鉄橿原神宮前駅または飛鳥駅から奈良交通バス(「赤かめ」周遊バス)「岡寺前」下車東へ約500m
地図
岡寺
TEL
0744-54-2007
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