はじめての万葉集


はじめての万葉集
たらちねの母が養(か)ふ蚕(こ)の繭隠(まよごも)り
いぶせくもあるか妹(いも)に逢はずして
作者未詳
巻十二 二九九一番歌
【訳】 足乳根(たらちね)の母がかう蚕の繭(まゆ)ごもりするように、心がこもってうっとうしいよ。妻に逢わずに。
母のカイコ
 『万葉集』には約四五〇〇首の歌があります。そのなかには、たくさんの「生きもの」の名前が出てきます。一番多いのが鳥類で三十七種類の鳥の名前が歌に詠まれています。他には昆虫が十三種類、哺乳類も十七種類みられます。そんな『万葉集』に詠まれた「生きもの」の歌について、今号から一年間ご紹介します。
 「蚕起食桑」という言葉をご存知でしょうか。「蚕(かいこ)起(お)きて桑(くわ)を食(は)む」とよみます。これは七十二候(こう)のひとつで、五月二十一日ごろ、蚕が桑の葉を盛んに食べて成長する時期をいうそうです。
 右の歌には母親が養蚕(ようさん)する蚕の繭が出てきます。これは愛しい恋人に会うことができない鬱念(うつねん)とした気持ちを、蚕が繭に籠(こも)る様子に喩(たと)えたものです。養蚕は古くから日本で行われており、「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」にも記述がみられます。古代中国の養蚕は皇后(こうごう)が務める重要な職掌(しょくしょう)であり、日本でも女性が担っていました。そのため『万葉集』でも蚕を養うのは母であるのでしょう。
 また『万葉集』における母は、娘を監視する存在として詠まれます。例えば、巻十一の二三六四番歌「玉垂(たまだれ)の小簾(をす)の隙(すけき)に入(い)り通(かよ)ひ来(こ)ね たらちねの母が問(と)はさば風と申(まを)さむ」(玉を垂らしたすだれのすき間から入って通っていらっしゃい。足乳ねの母が音をとがめたら風と申しておきましょう)のように、女性の元へ通う男性はその母親の監視の目を掻(か)い潜(くぐ)らねばなりませんでした。「たらちね」の語義は不詳ですが、監視者である母に多用される形容であることが指摘されています。
 この歌はそんな監視の目が厳しくて恋人に逢うことができなかったのでしょうか。「いぶせく」すなわち胸のなかが煙でいぶされたように、心がふさがれて晴れない心理状態にある、恋の辛さを詠んだ一首です。
(本文 万葉文化館 小倉久美子)
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