はじめての万葉集
夕されば ひぐらし来鳴(きな)く 生駒山(いこまやま)
越えてそ吾(あ)が来(く)る 妹(いも)が目を欲(ほ)り
秦間満(はだのままろ)
巻十五 三五八九番歌
【訳】夕暮になるとひぐらしがやって来て鳴く生駒山を、越えては帰って来る。妻に逢いたくて。
ひぐらしの声
 夏の盛りを過ぎた頃になると、夕方にひぐらしの鳴く声が聞こえてきます。カナカナという鳴き声は、厳しい残暑の中にも、かすかに秋の訪れを感じさせます。『万葉集』にも、ひぐらしが鳴くと秋の風が吹く、と詠まれていますし、その鳴き声に恋の想いや物思いの愁(うれ)いを重ねたり、あるいは毎日聞いても飽きることのない声だ、とも詠まれています。
 今回の歌は、遣新羅使人(けんしらぎしじん)たちの歌を収録している巻十五の中の一首です。遣新羅使人とは、古代の朝鮮半島南東部にあった新羅国(しらぎのくに)への使節のことで、派遣されれば最低でも半年は帰ることのできない長旅でした。作者の秦間満は伝未詳の人物ですが、この使節の一員であったと考えられています。この使節は奈良を出発してから難波津(なにわつ)へ向かい、そこから船で新羅国へ旅立ちました。ただし、海上の天候などによっては、難波津でしばらく足止めされることもありました。そんな時、下級官人たちは一時的な帰宅が許されることもあったようです。この歌からは、奈良にいる妻のもとへと帰る、間満の浮き立つような気持ちが読み取れます。それは、彼が生駒山を越えていることとも関係しています。
 古代の奈良・難波間の交通路は、生駒山脈南部の龍田山(たつたやま)を越える道(龍田越(たつたご)え)が多く利用され、急峻(きゆうしゆん)な生駒山を越える道は最短ルートとして使われていたようです。夕暮れの生駒山を越えて行くというのは、人目につかない時間に、最短距離で愛する妻のもとへと急いだことを意味しているのでしょう。その道中、間満はどんな気持ちでひぐらしの鳴き声を聞いていたのでしょうか。
 みなさんはひぐらしの鳴き声に、どんな思いを重ねますか?
(本文 万葉文化館 大谷 歩)
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