はじめての万葉集


はじめての万葉集
朝(あさ)な朝(さ)な あがる雲雀(ひばり)に なりてしか
都に行きて はや帰り来(こ)む

安倍沙弥麻呂(あべのさみまろ)

巻二十 四四三三番歌
【訳】 毎朝空に翔(かけ)りとぶヒバリになりたい。
そうしたら、都へ行ってすぐに帰ってこよう。
ヒバリになりたい
 ヒバリは、春になると野原や田園地帯で、オスが自分の縄張りを主張するためにさえずりながら高く飛ぶ「あげ雲雀」と呼ばれる行動をとることで知られています。体色は茶褐色に黒い斑点と少々地味ですが、その美しいさえずりから、古今東西を問わず春を告げる鳥として親しまれてきました。
 この歌でも、そんなのどかな春の風物詩であるヒバリが詠まれています。ただ、のどかさというよりは、空を飛べるヒバリになりたい、という願望を表現することが主だったようで、ヒバリだったら今すぐに都に行って帰ってくることもできるのに、と嘆いています。
 歌が詠まれたのは、天平勝宝七歳(てんぴょうしょうほうななさい)(七五五年)三月三日に難波で催された宴の席上で、このとき安部沙弥麻呂は、北九州の国境警備のために派遣される防人(さきもり)たちを点検管理する役人として難波にいました。そこから平城京へ行って再び任地に戻るには二日程必要だったとみられます。現代のように電車や車で簡単に行き来はできなかったわけで、だからこそ、ヒバリになりたい、と考えたようです。同席していた大伴家持(おおとものやかもち)も「雲雀あがる春へとさやになりぬれば都も見えず霞たなびく」(巻二十・四四三四)と詠みました。
 家持はまた別のときにも、有名なヒバリの歌を残しています。「うらうらに照れる春日(はるひ)に雲雀あがり情(こころ)悲しも独(ひと)りしおもへば」(巻十九・四二九二)と「あげ雲雀」を詠んでいます。そして、春の憂鬱な心を晴らせるのは歌を作ることだけだと記しました。
 『万葉集』に載るヒバリの歌はこの三首だけですが、それぞれに深い情趣があるように思います。
(本文 万葉文化館 井上さやか)
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