奈良のむかしばなし

県民だより奈良 平成30年5月号

奈良のむかしばなし
味噌(みそ)なめ地蔵
文・山崎しげ子

 生駒山地の東麓に、寄り添うように横たわる矢田丘陵。標高300mほどの低い山並みだが、緑豊かな中腹に白鳳から奈良時代の開基とされる古寺が点在する。今回はその一つ、矢田寺(金剛山寺(こんごうせんじ))に伝わる村人に優しいお地蔵さんのお話。

 昔、矢田寺の麓に、ある農家のお嫁さんが住んでいた。昔はどの家でも味噌は家で作っていたが、その年のお嫁さんの味噌は、どうしてもうまくいかなかった。
 ある夜、不思議な夢をみた。枕元にお地蔵さんが立たれ、「そんなに困っているなら、一度私の口に味噌を塗って食べさせておくれ。おいしい味噌に味付けしてあげよう」と言われた。
 半信半疑のお嫁さんは、翌日、いつもお参りしている矢田寺へ行ってみると、夢で見たのと同じお地蔵さんがおられるではないか。早速家から味噌を持ってきて、そのお口に自分の味噌を塗りつけた。
 数日して、味噌桶(おけ)の蓋(ふた)をとって出してみると、おやおや、何と、味噌は本当においしくなっていた。お嫁さんは大喜び。そのお地蔵さんは「味噌づくりを助けてくださる有難いお地蔵さん」と評判になったそうだ。

 このお地蔵さん、今も矢田寺本堂の石段下の北側に「味噌なめ地蔵」として赤いよだれかけをかけ、優しいお顔で立っておられる。今も味噌をお供えしたり、口に味噌を塗っている人もおられるとか。
 大和郡山の市街地と指呼(しこ)の間(かん)にありながら、静かで山寺の風情漂う矢田寺。振り返れば、田植えを待つ棚田が広がり、瓦屋根に土壁の落ち着いた農家のたたずまい、また遠くには青垣の山々も望める。
 建立は、天武天皇の護持僧智通(ごじそうちつう)。本尊は地蔵菩薩。境内でも多くのお地蔵さんが、悩める人々を救おうと今日も静かに待っておられる。

あじさいとお地蔵さんの寺
 「あじさい寺」として有名な矢田寺のあじさいは60を超える種類、1万株が楽しめ、海外からも観光客が訪れる。
 平安時代には、地蔵菩薩立像が安置され、地蔵信仰の中心となった。境内にも多くのお地蔵さまが見られる。「味噌なめ地蔵」は、境内のなかでも特に古く、大きなお地蔵さまのうちの一つ。6月上旬から7月中旬には、見頃を迎えたあじさいにお地蔵さまが囲まれる。
あじさいに囲まれるお地蔵さまの写真
物語の場所を訪れよう
矢田寺(大和郡山市矢田町)へは…
近鉄郡山駅より矢田寺行きバス「矢田寺」下車すぐ
矢田寺の周辺地図
矢田寺 寺務所
電話 0743-53-1531
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