第4回定例会議(令和5年7月6日開催)

令和5年度第4回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和5年7月6日 
 11時00分

 

<閉会>
 令和5年7月6日
 11時55分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(出席)
 田中郁子(欠席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

 

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 懲戒処分基準の改正について

 

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、上野委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和5年度第4回定例教育委員会を開催いたします。本日は、田中委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1『懲戒処分基準の改正』について、ご説明をお願いします。」

○東村教職員課長 「懲戒処分基準の改正について、説明いたします。
 今般、本県教育委員会の懲戒処分基準を点検していく中で、基準を明確にすべき部分があったので、改正を行わせていただくものです。非違行為に対する処分については、改正前の量定を踏襲し、本県の知事部局や、他府県の教育委員会の懲戒の基準を参考に規定しています。改正のポイントについては大きく3点あります。
 1点目は、現行の第2の5『児童生徒性暴力等関係』と第2の6『体罰関係』を統合し、新基準では、第2の5『児童生徒等関係』としています。あわせて、現行の第2の5『児童生徒性暴力等関係』に含めていた児童生徒等以外に対するセクハラとわいせつ行為について、新基準の第2の1『一般服務関係』と第2の3『公務外における非行関係』へそれぞれ移動しています。さらに、現行の第2の5『児童生徒性暴力等関係』の(注)のところで、児童生徒性暴力等について、『教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律第2条3項に掲げる行為』という定義をしていましたが、基準の中で、当該行為の内容を明確にするため、新基準では、第2の5(1)ア~カで具体的に記載することとします。
 2点目は、第2の3『公務外における非行関係』の(10)麻薬等に関する規定の見直しです。現行基準では『所持し、又は使用』と限定的な表現でしたので、『譲渡等』にも対応できるように改正をしています。
 3点目は、第2の4『飲酒運転等関係』の見直しです。現行基準では、飲酒運転と無免許運転に限った規定でしたので、その他の人身事故や悪質な交通法規違反にも対応できるように改正をしています。
 その他、文書紛失等の基準の整備など、細部の規定整備も行ったところです。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○吉田教育長 「児童生徒性暴力等は指針に基づいて定義しているのですか。」

○東村教職員課長 「はい。基本的には、先ほど紹介しました法律の第2条第3項で書かれているものを、この基準に落とし込んでいます。詳細の解釈については国から出ている指針によるところとしています。例えば、法律にいう『わいせつな行為』については、指針で、刑法第176条の強制わいせつ罪、児童福祉法第34条第1項第6号の淫行罪が含まれると詳細が示されています。」

○吉田教育長 「第2の5『児童生徒等関係』で規定してる『等』というのは、青少年健全育成条例を視野に入れて、18歳未満で児童生徒ではない方も入っていると理解してよいのですか。」

○東村教職員課長 「児童生徒等については『学校に在籍する幼児、児童又は生徒』、それ以外の『18歳未満の者』と法律に規定されていますので、そのように取り扱います。」

○吉田教育長 「現行基準の第2の5『児童生徒性暴力等関係』の『等』は、セクハラも含んで『等』と書いてあり、ここのところが分かりにくかったので、新基準では一般服務と、子供に対する性暴力を整理したという理解でよいですか。」

○東村教職員課長 「はい。」

○三住委員 「中身自体は問題ないと思いますが、限界事例みたいなもの、この程度だったらいい、悪いというものはあるのですか。『よくやった』という風に女子生徒の肩を叩いたとしたら、変な意図を持ってするのは論外ですが、これがいいのか悪いのか、一切だめなのか難しい話だと思います。叩いた部位が問題になったら、100%アウトですが。判断が難しい事例が世の中であると思いますが、こういうのは良くて、こういうのはだめだといった例のようなものがあるのですか。」

○東村教職員課長 「基準とすれば性的羞恥心を害する行動、言動というところにありますので、そこをどのように運用していくかというところです。具体的に、ここまでなら問題無いという基準は特に示していません。」

○三住委員 「基本は、先生側ではなく、何らかの行為を受ける児童側を基準に、性的羞恥心を害さないか等を重視して考えていくということでよろしいですか。大人から見て子供が大丈夫だというのではなく、子供から見た視点で、子供の羞恥心を害さないという基準で判断するということでよろしいですか。」

○東村教職員課長 「はい。」

○吉田教育長 「高校生の女子生徒ぐらいになると、良くできてると言って頭を撫でた時に、嫌な思いを持つ人がいる。人によるところがある。ただ、やはり嫌な思いを持ったという事実があれば、それに対して処分するしないにかかわらず注意をするということも含めて対応していく必要があると思います。」

○伊藤(忠)委員 「実態に合わせて整理され、具体的な内容も盛り込まれているということでわかりやすくなったと思いますが、別添の資料『懲戒処分の基準一覧表』について、こういうケースは免職、停職、減給ということがわかりやすいのですが、すべてこれで対応できるかというとそうでない。先ほど三住委員がおっしゃったように、処分の内容を決める、どの処分にするかということは、書いて無いのですが、懲戒処分を担当する組織というのは、どこでしょうか。」

○吉田教育長 「教職員課です。教職員課が原案をつけて、審査委員会にかけるという形です。大概、委員会にかける前に弁護士に相談し、どういった処分が適切か伺います。」

○伊藤(忠)委員 「懲戒処分を受ける教職員、被害を受けた本人からヒアリングを行い、事実確認し、弁護士の意見を聞いて、審査委員会の方でどういう処分をするか決定するということでしょうか。」

○吉田教育長 「はい。」

○伊藤(忠)委員 「決定までの期間は平均でどのぐらいになりますか。長い場合もあるし、短い場合もあるのでしょうか。」

○吉田教育長 「麻薬とかであれば、早いです。接見が許されたら、本人に接見し、事実を認めれば審査委員会にかけ、弁護士に相談するまでもなく、懲戒免職になります。戒告にするのか、停職にするのか、文書訓告するのかどうかの判断が必要な事例が一番難しいです。」

○伊藤(忠)委員 「判断の難しさもあるけれども、できるだけ迅速に結果を出せるようにしておかないと、長引くと、双方にとってよろしくない。」

○吉田教育長 「警察の判断を見極めないとなかなか量定が決められないこともあります。交通死亡事故を起こした教員に対して、警察の判断を待った経験があります。」

○三住委員 「死亡した方が100%過失というような場合もありますから。」

○吉田教育長 「懲戒免職しかない事案はすぐに判断できるが、減給、停職1ヶ月、停職3ヶ月になるような事案では、難しいです。刑事処分はどうなるかいうことと、行政処分をどうするかいうことはまた別の判断なので、行政処分を先行させたケースもあります。」

○三住委員 「一般社会では刑罰があって、刑罰でこういった行為を抑止するけれども、学校では処分で抑止するだけでなく、一番大事なのは被害が起こらないために懲戒処分の基準を明確にする。懲戒処分にするだけにとどまらないよう、どのような指導をすればよいか皆で相談いただければ一番ありがたいんですけども。そういう風通しの良い学校であれば、例えばパワハラであれば、先生ちょっとやり過ぎだから今度こうしましょうという話し合いができる。」

○吉田教育長 「今の話を聞いて、処分以外の対応についてどうですか。」

○東村教職員課長 「パワハラについては基本的な周知、研修をしています。パワハラの相談窓口も作っていますので、相談があればそこで個別に対応しています。」

〇吉田教育長 「公務員は採用されれば、誓約書を書かせますが、教育公務員に対しては誓約内容を具体化しているのですか。」

〇東村教職員課長 「公務員としての一般的な誓約を取っています。」

〇吉田教育長 「飲酒運転はしないであるとか、性暴力を行わないであるような具体的な誓約内容にしてもよいかと思います。」

〇三住委員 「難しい話ですが、性暴力をしないとか、当たり前の話の誓約書を書くというのでなく、本人にイメージを持たせることが大事です。一定の人の力が強くなりすぎると、問題が起こる。体罰も性暴力も。組織の風通しをよくするにはどうしたらいいかというのを常に考える必要がある。皆で常に検証しあう必要があります。」

〇吉田教育長 「具体的な方法は難しいが、組織の風通しを良くすることは絶えず考えていかなければならない。」

〇伊藤(美)委員 「性暴力に関して免職となる行為が多く、厳罰の方向で対応していただいているとよく分かります。新聞か何かで、性暴力を起こした教員はもう二度と教壇に立てないようにするために、その教員の情報を管理するというのを読みました。処罰後にどう対応するのですか。」

〇東村教職員課長 「児童生徒へのわいせつ行為により免許状が失効した者については、都道府県に対して特定免許状失効者管理システムへの登録が義務づけられていますので、このシステムで管理しています。他の都道府県であっても、このシステムで免許失効しているということがわかるような仕組みになっています。」

〇伊藤(美)委員 「他府県の情報も全部わかるということですね。」

〇東村教職員課長 「はい、そのシステムで検索することは可能です。」

〇吉田教育長 「法的には免許を再発行できます。犯罪を行った教員であっても、その更正状況によっては免許の再発行という道があって教壇に立てます。二度と罪を犯さないかどうかというのは難しいところです。再発行した教員として教壇へ立つ時に、それを隠しておかないといけない理由もないですよね。」

〇三住委員 「表面化すると、それだけでトラブルが起こってしまうので、難しい話です。再発行された先生が学校に行ったら、管理職は把握してるというシステムは最低限作らなければいけない。すでにそうしているかもしれませんが。」

〇東村教職員課長 「わいせつ行為を行った教員の免許については、再授与審査会を経た上で授与するという法律の枠組みがありますので、審査会を令和7年3月時点までに整備した上で、実際に授与するのかしないのかということを判断していきます。」

○三住委員 「赴任先の管理職が以前の情報を知っておくのは最低限必要であると思いますが、そういうシステムはありますか。」

〇吉田教育長 「学校現場に事実を伝えると、おそらく受け手がなくなると思います。」

〇三住委員 「一度免許を失効して審査を経て再発行になった先生を任用するときに、その情報は、学校に伝えないということですか。」

〇吉田教育長 「過去にその懲戒免職になって免許失効した人はいますが、再発行の申し出はないため例がありません。」

〇三住委員 「停職処分のように懲戒免職にいたらない場合はどのように管理しているのですか。」

○吉田教育長 「停職処分期間が終わると免許失効されず、現場にもどることになります。」

〇三住委員 「その場合、赴任先の管理職が停職にかかることを把握できるシステムになっているのですか。」

〇吉田教育長 「きちんと管理監督してもらうために、処分事項について管理職に伝えて人事異動をします。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項2件について、ご報告をお願いします。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「令和6年度奈良県立高等学校専攻科の入学者選抜実施要項について、報告いたします。
 資料として、宇陀高等学校専攻科と奈良南高等学校専攻科の令和6年度入学者選抜実施要項をお示ししています。それでは、募集人員と実施時期等について、昨年度からの変更点を中心に簡単にご説明申し上げます。
 まず、宇陀高等学校の専攻科です。実施要項中の2のとおり、募集人員は介護福祉科25名、インクルーシブ幼児教育科15名程度としています。介護福祉科については事前に厚生労働省への申請が必要であり、申請した募集人員以上増やすことができないということから、25名程度ではなく25名という表記をしております。来年度から新たに設置されるインクルーシブ幼児教育科につきましては、出願要件において『インクルーシブ幼児教育科入学後、学習サポート校の豊岡短期大学通信制とのダブルスクールにより幼稚園教諭及び保育士の資格取得を目指す者』と記載させていただいており、より具体的な学びの内容を志願者にイメージしてもらうことができるようになっています。
 3の出願要件、募集人員及び日程についてですが、専門学校や大学の総合型選抜の出願時期との兼ね合いから、前期選抜の実施時期を昨年度10月初旬に設定しておりましたところを9月に早めております。昨年度まで実施しておりました10月の特別入学者選抜に代わるものとして、今年度は、8月末に専攻科説明会を実施し、その際に個別の面談を受けた志願者に対して、9月中に合格発表をする形で進めたいと考えています。前期選抜で募集するのは介護福祉科のみとさせていただきます。10月の後期選抜では介護福祉科、インクルーシブ幼児教育科ともに募集を行い、令和6年3月に追加募集という形で進めてまいりたいと思います。
 次に、奈良南高等学校の専攻科です。実施要項中の2にありますように、募集人員は、建築学科、土木学科とも10名程度とさせていただきます。ただし、土木学科につきましては、4月27日に報告させていただきました奈良南高校の学科の改編に伴いまして、内部からの進学のみの出願とさせていただきます。
 3の出願要件、募集人員及び日程ですが、特別入学者選抜(3)に記載のとおり、特別入学者選抜と前期選抜を9月に、後期選抜を11月に行い、さらに年が変わってから追加募集をする予定で進めてまいりたいと考えています。
 以上です。」

○岡田特別支援教育推進室長 「令和6年度奈良県立特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考実施要項について、報告いたします。
 資料の実施要項概要をご覧ください。要項の左端に入学者を募集する学校名と障害種別を記しています。応募資格は、障害の程度が学校教育法施行令第22条の3に規定されている程度の障害のある者です。高等養護学校については、自力通学ができる等、一定の社会的適応力を有する知的障害者です。また、保護者とともに奈良県内に居住する者です。募集する部及び科、募集する学科は、記載のとおりです。なお、盲学校とろう学校には、幼稚部を設置しています。募集人員については、高等養護学校は72名、他の特別支援学校については入学予定人数を把握した上で令和6年2月以降に定めます。次に、願書交付期間、受付期間、選抜・選考日、結果通知について記載をしております。入学者選抜・選考の実施内容については、障害の状態に応じた検査を実施します。
 以上です。」

○吉田教育長 「ただ今の件について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「宇陀高等学校の件についてですが、介護福祉科の追加募集をしても25名の定員に達しないという時はどうするのですか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「合格した人数が入学者ということになります。」

○伊藤(忠)委員 「留学生選抜の日本語能力についてはN2程度ということですが、これと同等以上の日本語能力を証明できる書類というものは具体的にどのようなものでしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「基本的に日本語学校に留学してきている生徒が受検者ということですので、その日本語学校長が証明した書類をいただいております。」

○伊藤(忠)委員 「大学でも留学生を受け入れる時は、N2というのが基準です。これぐらいの日本語能力がないとついていけないということです。次に、出願要件のところで質問があります。宇陀高等学校は評定平均値3.0以上、奈良南高等学校は評定平均値3.4以上となっていますが、この差は何でしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「基本的に推薦の選抜になりますので、学校の考える基準により、3.0と3.4という出願要件になっています。」

○吉田教育長 「留学生選抜を受検する留学生は、留学ビザが下りるということですか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「出願時に、在留カードの写しや在留期間更新許可申請書の提出を求めています。」

○吉田教育長 「応募資格にある、『日本語能力試験のN2程度』というのは本当なのでしょうか。そこに疑義があります。『程度』とは、どこまでを見ているのでしょうか。N3まで見るのでしょうか。必ず皆が持っているのでしょうか。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「2月頃に日本語検定試験があるので、そこでN2を取ることができたら認められます。それに満たなくても、概ねN2の受験をするような生徒であれば十分だと判断しています。よって留学生選抜は、2月21日を設定しています。」

○上野委員 「日本語能力試験のN2はどのくらいですか。」

○吉田教育長 「N1が一番上です。N1は幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。N2は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。介護福祉士養成の短大、専門学校を卒業すると、介護福祉士の試験に合格しなくても5年間働いた後、正式に介護福祉士になることができます。これを『みなし認定』と言います。しかし、宇陀高等学校の専攻科ではこの『みなし認定』ができません。だから、専門学校へ行く方が多いと考えられます。日本語学校と連携しているので、宇陀高等学校の専攻科を受検しますが、専攻科介護福祉科の生徒の多くが留学生という現状ですので、連携していなかったら、生徒が減ってしまう可能性があります。」

○大橋高校の特色づくり推進課長 「日本人学生ももちろん入学していますけど、非常に少ないです。一年生(三期生)は4人日本人ですが、二年生(二期生)はすべて留学生です。」

○吉田教育長 「日本人学生はあまり増えていませんね。」

○伊藤(忠)委員 「制度、連携などを利用して募集していかないと、受検者数を増やすことは難しいですね。」

○吉田教育長 「教員の指導力は大いにあります。今年度、介護福祉士の試験に全員合格したのですが、これは、高校に介護福祉科ができてから初めての快挙です。外国人と日本人がいることの相乗効果が働いたのかもしれません。」

○吉田教育長「他にご意見、ご質問がないようですので、その他報告事項については了承いたします。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」