奈良県産業連関表の用語の解説

産業

 産業連関表でいう「産業」とは、原則として、約3,800に分類した商品(財・サービス)個々の利潤の獲得を目的とした生産活動を意味しており、同一事業所で2つ以上の商品を生産している場合、産業連関表では、それぞれを区分して該当する各産業部門に分類します。したがって、企業あるいは事業所をベースとして分類される通常の「産業」とはその概念を異にし,いわゆる商品分類に近い概念であると言えます。



取引基本表

 取引基本表(狭義的には、これを単に産業連関表と呼ぶ場合もあります。)は、各産業間で取引された財貨・サービスを金額で表示したもので、統計表のなかでは「生産者価格評価表」がこれにあたります。



内生部門と外生部門

 最終需要部門及び粗付加価値部門を外生部門と呼ぶのに対し、中間需要部門及び中間投入部門で囲まれた部分を内生部門と呼びます。これは、外生部門の数値が他の部門とは関係なく独立的に決定されるのに対して、内生部門間の取引は、外生部門の大小によって受動的に決定されるというメカニズムの存在が前提にあるからです。
 なお、産業連関表の大きさ(部門数)は、104、32、13部門分類というように、内生部門の数によって表します。



粗付加価値


 生産活動によって新たに付加された価値をいい、中間投入に粗付加価値を加えたものが県内生産額です。
粗付加価値は、家計外消費支出、雇用者所得、営業余剰、資本減耗引当、間接税及び補助金(控除)から構成されます。粗付加価値から家計外消費支出を控除したものが、県民経済計算の県内総生産にほぼ相当しています。

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家計外消費支出


 いわゆる「企業消費」に該当し、交際費、接待費、福利厚生費(雇用者所得及び内生経費に含まれるものを除く。)、旅費(主に宿泊、日当)など企業その他の機関が支払う家計消費支出に類似する支出です。最終需要部門(列で見た場合)では全産業での消費額が財別に計上されているのに対し、粗付加価値部門(行で見た場合)ではその支出額が産業別に計上されます。家計外消費支出の行及び列の合計は一致します。



雇用者所得


 県内の民間及び政府等において雇用されている者に対して、労働の報酬として支払われる現金、現物のいっさいの所得(雇主の支払ベースであり,受取ベースではない。)で、このなかには役員俸給や退職金、社会保障の雇主負担分も含まれています。なお,有給役員の給与は含みますが,利益金の処分である役員賞与は含まれません。
 県民経済計算の「雇用者所得」とほぼ同じ概念です。雇用者所得は県内概念として把握されるために、居住者、非居住者を問わず県内で発生した雇用者の所得を対象にしています。



営業余剰


 粗付加価値額から家計外消費支出、雇用者所得、資本減耗引当、純間接税(間接税-補助金)を控除したもので、各産業の営業利潤(もうけ)、支払利子等からなり、営業外収入である受取利子や受取配当は含めません。
 なお、支払利子に関しては、金融機関からは借入金に比例した帰属金融サービス(帰属利子=受取利子-支払利子)を受けていることとするため、帰属サービス分だけ営業余剰が減少します。また、個人業主や無給の家族従業者等の所得は雇用者所得ではなく、営業余剰に含まれます。

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資本減耗引当


 固定資本の価値は生産過程において消耗されていきますが、この価値の減耗分を補填するために引き当てられた費用で、減価償却費と資本偶発損の合計をさし、県民経済計算の「固定資本減耗」に相当しています。
 減価償却費は、固定資本の通常の摩耗と損傷に対するものであり、資本偶発損は、火災、風水害などによる不慮の損失に対するものです。



間接税(除関税)


 財・サービスの生産、販売、購入又は使用に関して生産者に課せられる租税及び税外負担で、税法上損金算入が認められていて、所得とはならず、しかも、その負担が最終購入者へ転嫁されるものです。ただし、ここでいう粗付加価値部門の間接税には、「関税」と「輸入品商品税」は含めず、最終需要の控除項目として計上する点が県民経済計算とは異なります。
 間接税に当たるものとしては、国税では、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、自動車重量税等があり、地方税では、事業税、地方たばこ税、特別地方消費税、固定資産税等があります。税外負担では、各種手数料等が間接税に相当します。



(控除)経常補助金


 産業振興を図る、あるいは製品の市場価格を低める等の政府の政策目的によって、政府サービス生産者から産業に対して一方的に給付され、受給者の側において収入として処理される経常的交付金です。公的企業の営業損失を補うためになされる政府からの繰入れも補助金に含まれます。

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県内生産額


 産業連関表では、各部門の経済活動量の大きさを「生産額」で捉えています。
 その生産額は一定期間(通常1年間)における個々のモノとサービスの生産額をすべて計上したもので、県民経済計算の「産出額」とほぼ同じ概念です。
(タテ方向)県内生産額=中間投入額+粗付加価値額
(ヨコ方向)県内生産額=中間需要額+最終需要額-移輸入額
 なお、財,サービスの評価は、生産者価格(購入者価格から運賃、商業マージンを差し引いた価格)で評価してあります。また、これらの生産額は、県民概念でなく、県内概念で把握されますので、県内に所在する事業所等が県外で行った生産活動は計測されず、逆に、県外に所在する事業所等が県内で行った生産活動は計測されます。



民間消費支出


 家計消費支出と対家計民間非営利団体消費支出の合計です。
 県民経済計算の「民間最終消費支出」に相当しています。

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一般政府消費支出


 中央政府(国の出先機関)と地方政府(地方公共団体)からなる政府サービス生産者が、行政サービス(警察、消防、福祉など)を行うのに必要な経費から他部門に対するサービスの販売額(医療費、授業料など)を差し引いたものを自己消費として計上しています。
 つまり、政府サービスの生産額は、市場で評価、把握ができないので、コストから算出しています。
 なお、県民経済計算の「一般政府最終消費支出」に相当しています。



県内総固定資本形成(公的、民間)


 一般政府、公的企業、家計及び民間企業が行った建設物、機械、装置など耐久財(有形固定資産)の県内における購入及び大規模な固定資産の維持修繕、土地の造成等の固定資本ストックの追加となるものをいいます。家計の住宅取得はこの部門に含まれますが、土地の購入は購入費全額でなく、仲介手数料、造成費、改良費のみが対象となります。県民経済計算の「総固定資本形成」に相当しています。
 なお、固定資産として規定する資本財の範囲は、原則として耐用年数1年以上で、購入者価格の単価が10万円以上のものとしています。



在庫純増


 産業、対家計民間非営利サービス生産者、政府サービス生産者の所有する棚卸資産(生産者製品、半製品・仕掛品、流通、原材料)の年末在庫高から、年初在庫高を差し引いた物量的増減を年間平均の市中価格で評価し、その増減額を計上したものです。
 なお、家計、一般政府消費支出部門の在庫は全て消費として扱い、ここには計上しません。
 県民経済計算の「在庫品増加」に相当しています。

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移輸出


 県内事業所及び個人が、県外(国外)に対して行った移出及び輸出です。県外居住者が本県内で消費した分も含めます。
 なお、本県産品のみが移輸出となり、県外(国外)産品が本県内に入り、加工されずそのまま再び出されるもの(=通過取引)については計上しません。



移輸入


 県内事業所及び個人が県外(国外)から購入するモノ・サービスの移入及び輸入です。県内居住者が県外(国外)で消費した分も含めます。
 移輸出同様、単なる通過取引は計上しません。



移輸出率・移輸入率及び県内自給率


 県内生産額に占める移輸出額の割合を移輸出率といい、県内需要額に占める移輸入額の割合を移輸入率といいます。
移輸入率=移輸入額÷県内需要額・・・A   県内需要額=(中間需要+最終需要-移輸出)
移輸出率=移輸出額÷県内生産額
 また、県内需要を満たすために県内で生産された財貨やサービスの割合を県内自給率といい、
(1-移輸入率)・・・Bで定義され、A式をB式に代入すると
県内自給率=(県内需要額-移輸入額)÷県内需要額・・・C
となります。
 また、県内需要額=県内生産額-移輸出額+移輸入額であり、この式の両辺から移輸入額を引くと、
県内需要額-移輸入額=県内生産額-移輸出額 となりますので、C式は
県内自給率=(県内生産額-移輸出額)÷県内需要額 となります(生産ベースで見たもの)。
 つまり、県内で発生した需要に対して県内で賄われた割合をいい、県内自給率が高くなれば県内での生産誘発額が増加し、経済波及効果は大きくなるといえます。

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家計消費支出


 家計の財及びサービスに対する消費支出額から、同種の販売額(中古品と屑)を控除し、県内居住者の県外から受け取った現物贈与の純額及び県外消費を加算(県外居住者の県内消費は控除)したものです。
 ここでいう消費支出は、土地・建物・構築物以外のものに対するすべての支出を示し、使用せずに残ったものを含めた財の購入額のすべても消費支出として計上します。



中間需要(=中間投入)


 生産活動の結果生み出された各産業の生産物が、自、他産業の原材料や燃料などの中間生産物としてどれだけ販売されたかを示す販売額のことで、内生部門を横方向にみると生産物の販路構成が分かります。
 県内全産業の中間需要(販売額)と県内全産業の中間投入(購入額)とは一致します。



中間投入(=中間需要)


 各産業が財貨・サービスを生産するために必要となった原材料・燃料等をどの産業からいくら購入したかを示す中間生産物の購入額のことで、内生部門を縦方向にみるとその産業の原材料の費用構成が分かります。中間投入の総計は中間需要の総計に等しく、また、 生産設備等資本財はここには含みません。



総需要


 総供給(県内生産額+移輸入)に対応するもので、県内需要と移輸出の計です。
 県内需要は、各産業部門の生産に(原材料として)投入された中間需要と民間消費支出や県内総固定資本形成等からなる県内最終需要、及び県外からの需要である輸移出からなります。

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総供給


 県内生産額に移輸入を加えたものをいい、総需要に等しくなります。


最終需要

 最終需要は、家計外消費支出,民間消費支出,一般政府消費支出,県内総固定資本形成及び在庫純増と移輸出の合計からなり、ある産業が、最終的に消費されるモノやサービスをどれだけ家計や政府機関等に販売したかを表し、また、次のような関係が成立しています。
  最終需要の合計-移輸入の合計=粗付加価値の合計
 なお、最終需要から家計外消費支出と移輸入を控除したものは,県民経済計算の「県内総支出」にほぼ相当しています。


県際収支


 各産業部門はその生産物の一部を他県に移出したり海外に輸出しています。また、それとは逆に県内需要のうち県内生産で賄いきれない部分を、他県から移入したり海外から輸入したりしています。
 この移輸出と移輸入の関係を県際関係といい、移輸出額と移輸入額との差を県際収支といいます。



対家計民間非営利団体消費支出


 対家計民間非営利サービス生産者による消費支出のことをいいます。
 これは、生産額(=生産活動に要する経常的コスト)から他の部門に対するサービスの販売額(例えば、社会保険事業団経営の病院の医療収入、私立学校の授業料)を差し引いたもの、つまり、対家計民間非営利団体の自己消費額に等しいくなります。

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生産者価格評価表


 個々に取引されている財貨・サービスの金額が生産者の出荷価格で記録され、貨物運賃と商業マージンを含まない形で表示されている表をいいます。
 つまり、購入者が財貨・サービスを手にするまでに要した貨物運賃と商業マージンは、それぞれ購入側の部門(列)と運送業(行)及び商業(行)部門との交点に表示されている額に含まれています。



投入係数(表)


 投入係数とは、産業連関表をタテ方向の費用構成に着目したもので、ある産業で生産物を1単位生産するために必要な各産業からの原材料等の投入の構成を示す係数で、各産業のタテの原材料等投入額をそれぞれの産業の生産額で除したものあり、この投入係数を産業別に計算し一覧表にしたものが投入係数表です。
 この投入係数を使うと、ある産業に生じた需要が生産技術的関係(投入係数)に基づいて、次々と各産業の生産を誘発していくようすが分かります。例えば、機械産業に対する需要が2割増加すると、機械産業は増産のために必要な原材料を2割増やす。すると、機械産業に原材料を供給している各産業は、その需要増にこたえるためその分だけ生産を増加しなければならなくなります。
 このように、ある産業から生じた経済活動への刺激が、波紋が広がるように各産業へ次々に直接・間接の波及効果を及ぼします。



逆行列係数表


 波及効果は、理論的には0(ゼロ)に収束するまで無限に続き、最終的な結果を知るには繰り返し行列計算をしなければなりません。そこで、このような需要増に対する波及効果の最終的な大きさを、あらかじめ係数によって知ることができるようにしておいたものが逆行列係数です。
 ある産業に対して1単位の最終需要が発生した場合、各産業の生産の誘発がどのくらいになるか(生産波及)を示す係数が「逆行列係数」で、投入係数から数学的に求められ、産業連関表の分析の上でもっとも有用な道具となっています。
 本県では、県外からの財貨・サービスの移輸入を考慮した{I-(I-M)A}-1型逆行列係数表と、移輸入を考慮していない(I-A)-1型逆行列係数表を作成しています。

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生産誘発額


 どの最終需要項目が、どの産業の生産を、どれだけ誘発したかを示したもので、最終需要を賄うために、直接・間接に必要となった生産額の合計をいいます。
 生産活動は、最終需要を過不足なく満たすために行われています。つまり、最終需要が県内生産を誘発しているといえます。このように、最終需要を賄うために直接・間接に必要となる生産額を生産誘発額といい、これを最終需要の項目別にみたものが最終需要項目別生産誘発額です。
 なお、最終需要項目別生産誘発額を各産業部門別に合計したものは、当該産業部門の県内生産額に一致します。



生産誘発係数


 どの最終需要項目が、どの産業部門の生産をどれだけ誘発しているかを示す係数です。これによって各項目別の最終需要の何倍の県内生産が誘発されたかをみることができます。
生産誘発係数=〔ある最終需要項目による生産誘発額〕 ÷ 〔対する最終需要項目の最終需要額計〕



生産誘発依存度


 各産業部門における最終需要項目別生産誘発額の構成比で、各産業部門の生産がどの最終需要項目によって、どれだけ誘発されているかの割合を示すものです。
 つまり、各産業の生産が直接間接にどの最終需要項目に依存しているかをみることができます。 

 生産誘発依存度=〔ある最終需要項目別による生産誘発額〕 ÷ 〔最終需要項目別全体によって誘発された県内生産額〕

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粗付加価値誘発係数


 各項目別の最終需要が1単位増加したときに、どの産業の粗付加価値をどれだけ誘発したかを示す係数で、これによって各項目別の最終需要の粗付加価値誘発度の大小をみることができます。
粗付加価値誘発係数=〔ある最終需要項目による粗付加価値誘発額〕 ÷ 〔対応する最終需要項目の最終需要額〕



粗付加価値誘発依存度


各産業部門における最終需要項目別粗付加価値誘発額構成比で、各産業部門の粗付加価値がどの最終需要項目によってどれだけ誘発されたかの割合(依存しているか)を示しています。なお、各産業部門における粗付加価値誘発依存度は、生産誘発依存度に一致します。
粗付加価値誘発依存度=〔ある最終需要項目による粗付加価値誘発額〕 ÷  〔最終需要項目全体によって誘発された粗付加価値額〕



移輸入誘発額


 どの最終需要項目が、どの産業の移輸入を、どれだけ誘発したかを示したもので、最終需要を賄うために、直接・間接に必要となった移輸入額の合計をいいます。
移輸入誘発額=移輸入品投入係数×生産誘発額(消費、投資、移輸出)+移輸入率×項目別最終需要額(消費、投資)

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移輸入額誘発係数


 各項目別の最終需要が1単位増加したときに、どの産業の移輸入をどれだけ誘発したかを示したもので、これによって各項目別の最終需要の移輸入誘発度の大小をみることができます。
移輸入額誘発係数=〔ある最終需要項目による移輸入誘額〕 ÷ 〔対応する最終需要項目の最終需要額計〕



移輸入誘発依存度


 各産業部門における最終需要項目別移輸入誘発額の構成比であり、各産業部門の移輸入がどの最終需要項目により誘発されたかの割合を示し、各産業の移輸入が直接間接にどの最終需要項目に依存しているかをみることができます。
 移輸入誘発依存度=〔ある最終需要項目による移輸入誘発額〕 ÷ 〔最終需要項目全体によって誘発された移輸入額



影響力係数


 逆行列係数表を列(縦)方向に各部門を合計し、全部門の列和の平均を1として係数化したもので、これによりある部門に1単位の最終需要を与えたときの全部門の生産に及ぼす影響力を知ることができます。
 なお、その係数の値が大きい(1を越える)ほど他部門(他の産業)に与える影響が強いことを意味しています。



感応度係数


 逆行列係数表の各行和と全行和平均との比率で、各産業にそれぞれ1単位ずつの最終需要があったときに各産業が受ける影響の大きさを示したものであり、この値が大きいほど他の産業によく利用される産業であるといえます。

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