はじめての万葉集

 





 

 旅をするとたくさんの思い出ができるものです。特に何度も訪れた場所では、その時々の思い出が蘇ってくるでしょう。この歌に詠まれる「旅人」は、昔のことを思うと夜も眠れないのだといいます。この歌の作者・柿本人麻呂は、そんな野営のようすをある感慨を込めて詠んでいます。
 この歌は、軽皇子(かるのみこ)(後の文武天皇)が、阿騎(安騎とも書く)の野で猟(かり)をするために泊まった時に、詠まれた歌です。阿騎の野は、軽皇子の父・草壁皇子(くさかべのみこ)(日並皇子(ひなみしのみこ)ともいう)も、かつて猟に出向いた場所です。草壁皇子は天武天皇の皇太子でしたが、24歳の若さで亡くなりました。持統天皇の皇太子である軽皇子は、父を偲んで、この阿騎の野へ猟に訪れたのだと考えられています。
 古代の猟というのは、天皇が行う特別な儀礼でもありました。お供をした臣下たちは、軽皇子を父の姿と重ね合わせたのでしょうか。その中には、草壁皇子の猟に同行した者もいたことでしょう。作者・柿本人麻呂は天武朝のころから文武朝にかけて宮廷で活躍した歌人であるとされており、壬申の乱以後の新しい国家の誕生をつぶさに見ていた一人です。若くして亡くなった草壁皇子へのなつかしさや、その時の猟で起こったさまざまな出来事、立派に成長した軽皇子の姿――時代の移ろいが、彼らに夜も眠れない思い出を呼び起こさせたのかもしれません。
 皆さんにも、眠れなくなる旅の思い出、何かありますか?
(本文 万葉文化館 大谷 歩)


かぎろひの丘
万葉公園

 「阿騎の野」は、現在の宇陀市大宇陀迫間・本郷一帯、かぎろひの丘万葉公園の辺りと考えられています。柿本人麻呂が詠んだ「ひむがしの野にかぎろひのたつ見えてかへりみすれば月かたぶきぬ」の歌碑があり、遊歩道では万葉植物を楽しむことができます。


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