済生会中和病院

吉村佳子先生

済生会中和病院
指導医
吉村 佳子(よしむら よしこ)先生

済生会中和病院 副院長
(※所属・役職は2011年3月インタビュー当時)

〒633-0054 奈良県桜井市阿部323番地
TEL:0744-43-5001(内線7909)
FAX:0744-42-4430
病院URL:http://www.chuwa-hp.jp/

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  • プロフィール
    1948年に奈良県桜井市に生まれる。
    1975年に奈良県立医科大学を卒業後、奈良県立医科大学附属病院放射線科で研修を行う。
    1977年に奈良県立奈良病院に勤務する。
    1979年に出産、夫(医師)の赴任に伴い渡米する。
    1983年に帰国後、済生会中和病院に放射線科医員として勤務する。
    2004年に済生会中和病院副院長に就任する。
    専門は放射線科。日本医学放射線学会専門医、日本核医学会PET核医学認定医、マンモグラフィー読影認定医など。

平尾具子先生

済生会中和病院
指導医
平尾 具子(ひらお ともこ)先生

外科医長
(※所属・役職は2011年3月インタビュー当時)

  • プロフィール
    1967年生まれ。奈良市で育つ。
    1993年に奈良県立医科大学を卒業後、奈良県立医科大学附属病院第一外科で研修を行う。
    奈良県立医科大学大学院、ハーバード大学への留学を経て、2003年に済生会中和病院外科に医員として勤務する。
    現在は外科医長を務める。専門は外科。日本外科学会専門医、日本がん治療認定医、マンモグラフィー読影認定医など。
  • 平尾先生の研修医時代のお話を聞かせてください。
    平尾:第一外科に同期10人で入局しました。勤務状態は大変な毎日でした。関西弁で言うところの「必死のぱっち」でしたね(笑)。同期には本当に助けてもらいましたね。10人のうち女性は私だけで、医局全体でも私が2人目でした。医師に限らず、社会に初めて出ると誰でも大変だと思います。
  • 外科を選ばれたのはどうしてですか。
    平尾:医師の仕事を選んだのは親戚に医師が多かったので、自然の流れだったのですが、外科を選んだのは一番、自分に合っていると思ったからです。
  • 済生会中和病院の初期研修プログラムの特徴について、お聞かせください。
    吉村:地域に密着した医療を行っています。一般的な市中病院ですので、コモンディジーズが豊富です。患者さんの病気だけではなく、社会的背景までを考えた全人的医療を学ぶことができます。また、協力型病院として奈良県立医科大学附属病院、宇陀市立病院、天理市立病院、秋津鴻池病院、協力施設として赤崎クリニックがあります。それぞれの病院の特徴を組み合わせ、日常に遭遇する頻度の高い疾患から低い疾患までの診断と治療を経験し、知識や技能を習得していただく研修プログラムを用意しています。
  • 済生会中和病院での研修の方針や教育理念について、お聞かせください。
    平尾:当院は地域医療に貢献している病院ですので、地域医療への理解を深めてもらうことがまず挙げられます。指導の方針として、研修医と指導医がディスカッションを重ねて、疾患を一例ずつ丁寧に診ています。
    吉村:私は週に1回、朝の30分を使って、研修医と話す場を設けています。画像や検査のデータを見て考える場ですね。「そのとき患者さんはどうだった」、「ご家族はどうだった」などと尋ね、患者さんがその後にどうなったのかなどを答えてもらったりしています。雑談のように気軽な感じでお話ししています。
    平尾:吉村先生は放射線科がご専門なので、内科、外科とも見わたして、広い視野から指導されています。これは全人的医療の観点からも理想的だと思います。また、副院長というお立場でもあるので、病院として研修医の問題などをすくい取って解決しやすく、研修医からも頼られていますね。
    吉村:画像を見るだけでなく、患者さんやご家族のことを考えることは大事です。また、触診や理学所見と画像を結びつけて、「答え合わせ」をする時間も必要ですね。こういった丁寧な指導は研修医が少ないからこそできると思っています。大学病院では味わえないようなアットホームな雰囲気で、患者さんをゆっくり診られることが特徴です。
  • 研修医を指導するお立場として心がけていらっしゃることはどんなことですか。
    平尾:初期研修2年間では医師としての基本的な姿勢を身に付けてほしいですね。患者さんのベッドサイドに頻繁に足を運び、患者さんとご家族に真摯に向き合って、そこから学ぶことができるようにという指導を心がけています。
    吉村:上から押さえつけるような指導をするのではなく、研修医自身がどんなことにも興味を持てるように仕向けていきたいと思っています。
  • 研修医に対して、「これだけは言いたい」と思っていらっしゃることをお聞かせください。
    吉村:卒後すぐ2年間の伸び方は大きく、医師になって10年、20年の頃の伸び方とは違います。初期研修2年間で伸びるかどうかはその人によるところも大きいです。研修医次第で吸収できる大きさが変わってくることを認識してほしいですね。多くのことを経験し、その中からいかに自分に取り入れていくのかを考えてほしいです。何にでも興味を持って、積極的にやろうとする研修医が伸びていきますよ。
    平尾:チーム医療も広まってきましたが、医師はチーム医療の中心的な役割には、なかなかなっていけません。医師一人でできることは限られていますので、コメディカルスタッフと協力し合える良好な人格を備えていくことも必要です。
  • これまでに印象に残っている研修医はいますか。
    吉村:朝早く来て、患者さんのベッドサイドに通っている研修医が多いですよ。患者さんをよく観察しているし、よく話も聞いているんだなと感心しています。
  • 済生会中和病院の勤務環境などについて、お聞かせください。
    吉村:医局が一つで、診療科ごとの垣根がありません。研修医のデスクも医局の中にあり、そのそばを通らないと、各先生方はご自分のデスクに行けないようになっています(笑)。そこで指導医の先生方と研修医がよく話していますし、研修医も委縮することなく、伸び伸び過ごしていますよ。指導医が研修医のしていることや長所、短所などをしっかり把握できていますね。また、当院の看護師は外来にベテランの人が多く、お母さん的な存在のようです。注射1本にしてもよく面倒を見てもらっています。逆に病棟には若い看護師が多いので、そういったバランスの良いところもいいですね。
    平尾:診療科の垣根がないのは本当にいいですね。私のデスクの近くも、脳神経外科、内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科の先生方がいて、すぐにコンサルトできています。研修プログラム自体が研修医の希望を取り入れやすく、かなり自由度が高くなっていますので、やりたいことがあったら、吉村先生に相談すれば、すぐに話が通りやすいと思いますよ。
  • 現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。
    吉村:研修する病院を選ぶ過程が、なんだか就職活動のようで、かわいそうだなと思うこともあります。実際に病院を見て自分でしっかり考えて選んで欲しいです。
    平尾:今の制度になって生活保障もできましたので、人間としての基本的なこととしてワークライフバランスは取れるようになったと思います。私が研修医のときには考えられなかったですからね(笑)。一方で、研修医の能力ややる気、好奇心、積極性で結果に差がつきやすいという問題もあります。2年間で何も身に付かないと、3年目がまたゼロからのスタートになってしまうのは厳しいですね。
  • 済生会中和病院では、新たな後期研修プログラムを開設されていますね。
    平尾:2010年に乳腺外科が外科から独立し、多くの患者さんが集まるようになってきましたので、この機会に乳腺外科に特化した後期研修プログラムを立ち上げました。これまで奈良県には乳腺外科を研修できる施設がなく、京都や大阪まで行かなければいけなかったのですが、奈良県でも専門医を取得できるプログラムを作りたいと考え、実現したところです。
  • どういう特色があるのですか。
    平尾:乳がん検診、初診、画像、診断、手術、化学療法、緩和ケアまで幅広く学ぶことができます。当院には病理の専門医も常勤していますので、病理についても十分です。検診もマンモグラフィーやエコーなどを女性技師が担当し、女性外来の中にある乳腺外科で診ていきます。手術では乳房温存、センチネルリンパ節生検も行っていますし、外来化学療法室に認定看護師もおり、化学療法や治療の初期段階からの緩和ケアの実施など病院全体としても力を入れています。
  • 専門医資格の取得はどうでしょうか。
    平尾:症例数は豊富ですし、最短で後期研修3年目に専門認定医試験を受験することが可能です。ただ、乳腺外科の専門認定医には外科の専門医が必要なので、当院で足りない部分は奈良県立医科大学附属病院で補っていただけるよう、奈良県立医大と連携したプログラムとなっています。
  • 奈良県での研修を考えている医学生にメッセージをお願いします。
    平尾:医療には不確実なことが多く、不幸なことが起こってしまうこともある。そこが一般の方の意識とギャップがあるところです。そして現在の医療は10年前の医療とは大きく変わっており、当時は当たり前だったことが今は違うということもありえます。そういったことも含めて広く理解していけるようになっていく研修であることを願いますし、私自身もそうありたいと思っています。医療を通じて、社会に還元していきたいですね。
    吉村:歴史などに興味がある人には、当院での研修はお勧めですよ。休みの日には色々な史跡や文化遺産を見に行けるでしょう。

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