済生会中和病院

宮高和彦先生

済生会中和病院
指導医
宮高 和彦 先生

済生会中和病院 副院長
(※所属・役職は2014年12月インタビュー当時)

〒633-0054 奈良県桜井市阿部323番地
TEL:0744-43-5001(内線7909)
FAX:0744-42-4430
病院URL:http://www.chuwa-hp.jp/

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  • 病院の特徴や地域での役割について、お聞かせください。
    宮高:当院は奈良県の東和地区にあり、地域のニーズに合わせた診断、治療を行っています。現在は地域支援病院を目指しています。地域の開業医さんからの紹介は98%受けていますし、かかりつけ医からの紹介もできるだけ受けて、救急に関しては7割を目標にしています。2014年10月に地域包括ケア病棟を24床で新設し、2015年4月に48床でフルオープンします。以前は病院完結型でしたが、今は医療と介護を繋ぎ、地域で信頼される地域完結型の病院になりたいと思っています。
  • 済生会中和病院の初期研修の特徴について、教えてください。
    宮高:最初の1年で救急、内科、外科を回り、手技などを学んでもらいます。最初は病院にせよ、医療にせよ初めてですから、3カ月が内科です。ここでオーダーや点滴の仕方などの基本的なことを教えます。当院は内科が一つで、循環器や消化器などに分かれていません。内科的な疾患は内科医が分担して診ているのが特徴です。吐血したからと言って、消化器に回すことはありません。できる医師に来てもらって、そこで診てしまいます。当院の医師はほとんど皆が内視鏡ができるように訓練しています。エコーは放射線科の医師に頼んでいますが、そういった研修も1年目から行いますので、半年で治療は難しくても、診断は下せるようになります。
    医局も一つで、医師が全員、同じ部屋にいますので、相談などがしやすいですね。半年でほとんどの医師と顔見知りになりますから、心安く頼めるし、色々なことを教えてもらえるのが特徴でしょうか。当院でできないことは奈良県立医科大学附属病院などに送りますが、一般的な疾患なら当院でほとんど完結できます。
  • 当直はいかがですか。
    宮高:最初は当然、内科です。月に平均4回ですね。平日が2回、土曜、日曜が1回ずつで4回になります。自分で進んで当直したい研修医は別ですが、それ以上の回数は基本的にはありません。
  • 最近、女性医師が増えていますが、女性医師が働きやすい環境への取り組みはされていますか。
    宮高:当院は常勤の女性医師が多く、副院長にまでなった女性医師もいて、何でもよく知っていますので、相談しやすいようです。また、完璧ではありませんが、メンター制度を取り入れており、メンターの医師が一人います。男性医師に相談しにくいことや上司に言いにくいことはメンターの医師を通じて受けるようにしています。
  • 現在の研修制度について、感想をお聞かせください。
    宮高:私たちの頃は研修制度もインターンもなく、一つの科に入ったら、その科が全ての面倒を見てくれました。出張しろとか、あっちの病院に行けとか、こっちの病院に行けとか言われながら行ったわけです(笑)。今の研修医は自分で選べるだけに、自分自身がしっかりしておかないと大変ですね。指導医にしても、指導の方法を考えないと、1カ月や2カ月ではその経験を活かしてもらうことが難しいです。多くの診療科を回るのはプラスですが、気に入ったり、ちょうど理解した時点で次の科に移るのは「もう少しいたい」という研修医には辛いですね。選べる自由があれば、選んだあとの失敗もありますから、それが後に尾を引くと、かわいそうです。それから給料面でしょうか。私たちの頃にはありませんでしたので、経済面で心配しないでいいのはいいですね。
  • 先生が受けた初期研修について、お聞かせください。
    宮高:上の先生の指導を受けたのは最初の1カ月だけです。それ以後は受け持ちの患者さんを与えられて、上の先生方と一緒に組み込まれていました。医療以外のことにも駆り出されていましたし、当時はそれが当たり前だと思っていましたが、今の研修医は医療以外の仕事を嫌がる傾向にありますね。
  • 先生が医師を目指したきっかけはどんなことでしたか。
    宮高:小学生のときに、車にはねられるという交通事故に遭いました。骨折はしなかったものの、病院通いを3カ月する間に手技などを見て、こういう職業もあるのかと思ったのがきっかけです。私の親は医師ではなく、親戚にもあまりいなかったので、私がパイオニアみたいなものですね。
  • 内科に進まれたきっかけをお聞かせください。
    宮高:ポリクリで外科に行ったとき、当時はカメラやビデオを入れていなかったので、手術も横に立って見るしかありませんでした。長い手術でしたら6時間や8時間かかりますから、それが嫌で内科系にしました(笑)。内科系はある程度、自分で勉強したらいいのですが、外科は技術が必要ですから、徒弟制度のもとで一緒になって覚えないといけません。本には書いていないこともあるので、その点でも内科系が良かったですね。
  • 先生のサブスペシャリティについて、お聞かせください。
    宮高:第二内科では呼吸器科でした。外に出てからはほとんど済生会中和病院ですが、外の病院では専門的な治療が必要な呼吸器疾患はそんなに多くないんです。数としては循環器疾患と消化器疾患が多いですし、たまたま行った病院での部長が循環器専門で、「ペースメーカーを一緒にやろう」と言われたことがきっかけで循環器に取り組むようになり、今もサブスペシャリティです。透析もしましたので、循環器科と透析がサブスペシャリティですね。逆に、外の病院に出てから、呼吸器に弱くなってしまいました。
  • 循環器科、呼吸器科の魅力はどんなところにありますか。
    宮高:循環器と呼吸器の魅力は違いますね。循環器は割と理論が立っています。不整脈が起きる岐路、治る岐路がはっきりと分かっているので、非常に分かりやすく、取っ付き易いです。一方で、呼吸器は空気を吸うことから腫瘍まで色々な疾患があり、分かっている部分が少ないんですね。どこをどうやって治すのかということが循環器ほど、はっきりしていません。いつも空気に触れていますし、アレルギーもありますから、簡単にはいかないんですね。循環器は血圧や心臓が中心で、薬負けのほかはほとんどアレルギーがありませんし、がんも非常に珍しいです。心臓が弱くなってきたら腎臓がんになるので、透析が必要です。呼吸器はアレルギー、風邪などが全て含まれますので、循環器とは違った勉強のしがいがありますね。
  • 指導の際に心がけていることについて、お聞かせください。
    宮高:やはり報連相ですね。報告、連絡、相談は基本です。勝手にされたり、事後承諾は困りますね。特に問題があったときにはしっかり連絡してほしいです。御法度と言うべき、してはいけないことやあとで医療過誤になりそうなことは、患者さんを持つごとに自分の経験談を話しています。起こったら、患者さんも不幸ですが、研修医本人も不幸ですからね。全てを教えられるわけではありませんが、私自身の経験を活かして、きちんと指導するようにしています。
  • 研修医に対して、これだけは肝に銘じておくべきだということをお聞かせください。
    宮高:相手が医療関係者、患者さん、医療スタッフで、それぞれの対応を間違えないようにということですね。医療スタッフとは同じチームですから、パワハラのような対応があってはいけません。できるだけ仲良くしておいたら、情報を得やすくなります。「あの先生は怒るばっかりだ」と言われたら、情報は途切れますよ。患者さんの情報を知っているのは直接、接している医療スタッフなのです。患者さんには説明と同意ですね。これをしっかりしておかないと、あとで問題になります。それから医師同士はある意味では対等に近いのですが、他科の医師はその専門なのですから、そこには敬意を払わないといけません。
  • 済生会中和病院の初期研修にはどういう方が向いていますか。
    宮高:病院の性格上、研究はできません。プライマリケアや救急に興味を持って、何でもやりたがる人が向いていますね。こちらからこれをしようというよりは、研修医からあれがしたい、これがしたいと言ってもらった方が仕事もしてもらいやすいし、与えやすいです。それから明るい方がいいですね。
  • 初期研修病院を選ぶポイントを教えてください。
    宮高:最初の勤務先なのですから、格式ばっておらず、仲間に気を遣うことが少なく、相談や発言がある程度できるような病院がいいですね。そして、症例が豊富で、手技をさせてもらえるところがいいと思います。
  • 最後に、医学生に対してメッセージ、病院のPRをお願いします。
    宮高:地域の住民の方々のニーズに合わせて、プライマリケアを中心に行っている病院です。24時間、できるだけ断らずに診られるように頑張っていますし、高度医療が必要な場合は高度医療ができる病院に送っていますが、回復されたら当院に戻ってきていただいて介護までケアしています。そういった医療に興味がある方は是非、いらしてください。

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