近畿大学医学部奈良病院

山﨑佳子先生

近畿大学医学部奈良病院
指導医
山﨑 佳子(けいこ)先生

近畿大学医学部奈良病院 血液内科 診療助教
(※所属・役職は2011年3月インタビュー当時)

〒630-0293 奈良県生駒市乙田町1248番1
TEL:0743-77-0880 (内線2015)
FAX:0743-77-0890
病院URL:http://www.kindainara.com/

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  • プロフィール
    1977年に静岡県掛川市に生まれる。
    2004年に近畿大学医学部を卒業後、近畿大学医学部奈良病院で初期研修を行う。
    2005年10月 にローテートで近畿大学医学部堺病院での初期研修を経て、2006年から近畿大学医学部奈良病院にて勤務しており、現在は診療助教を務める。
    専門は血液内科一般。日本内科学会認定医。
  • 先生は現在の臨床研修制度の一期生ですね。
    山﨑:最初の年でしたので、どうなるんだろうという不安はありましたが、まだ専門の科を決めていなかったし、多くの科を見て回った方が将来のためになるという気持ちでした。近畿大学医学部奈良病院には学生のときにポリクリでお世話になり、先生方に親切にご指導いただいたことや病院の雰囲気が気に入っていたので、初期研修をこの病院で行うことに決めました。性格的に外科や救命救急は向いていないと思っていたので、ローテートするのも最初は抵抗がありました。でも、縫合など内科でもすることがあるので、今はそのときに教わったり、勉強したことが役に立っています。救命救急は三次ですので、私のいた当時は熱傷や多発外傷などが多く、帰れない日もありました。年末年始もずっと病院にいましたね。「どういう患者さんでも、まず診なくてはいけない。」という度胸がつきました。
  • サブスペシャリティとして血液内科を選ばれたのはどうしてですか。
    山﨑:2年目の終わりに決めました。学生の頃は漠然と消化器か呼吸器かなと考えていて、血液内科は重症患者さんが多いし、白血病などで亡くなる患者さんもいて、暗い科なのではないかと敬遠していたんです。まさか血液内科を選ぶとは思ってもいませんでしたよ(笑)。でも、スーパーローテートで強制的に回って、教授をはじめ、指導医の先生方の熱心なご指導を受けて、考え方が変わりました。診療や治療の仕方が私に向いていると思ったんです。血液内科は患者さんの多い科ではありませんので、患者さんの顔や名前をずっと覚えていられて、一人の患者さんと長く、深くお付き合いすることができます。合併症があっても血液疾患があれば、血液内科で診ますので、広くトータルに診ることができる診療科であることも魅力です。患者さんとお付き合いが深くなれば、責任の重さでストレスになることもありますが、それでも退院されるときは達成感や喜びを感じます。
  • 近畿大学医学部奈良病院の初期研修プログラムの特徴について、お聞かせください。
    山﨑:もともと自由度が高いことが特徴でしたが、2011年度からは2年目のプログラムがさらに自由度が高くなります。奈良病院は心臓、血管系の循環器疾患、各領域の悪性腫瘍、周産期医療、三次救急に特色を持つ病院ですので、そういった領域は特に指導医の層が厚いですね。
    また、プログラムの大きな特徴として、近畿大学医学部附属病院や近畿大学医学部堺病院の診療科目のローテートが可能であることが挙げられます。それぞれの病院のプログラムを相互に利用できますので、研修の選択の幅が広くなります。私も2年目の後半は堺病院に行ったのですが、神経内科や腎臓内科など奈良病院にはない診療科を回ることができました。当時の堺病院は紙カルテでしたし、古くてアナログな病院の雰囲気を味わえました(笑)。
  • 近畿大学医学部奈良病院での研修の方針や教育理念について、お聞かせください。
    山﨑:大学病院ならではの高度医療を体験しつつ、風邪や腹痛などの患者さんも多く来院されますので、一般的なプライマリケアの診察能力をつけることができます。病床数や診療科の数など、規模的にもちょうどいい病院です。カンファレンスにも力を入れています。診療科によって回数や雰囲気は違うのですが、血液内科は週1回、行っています。医局員も5人程度で多くはありませんので、皆で自由に意見を出し合っています。こういう雰囲気は大病院にはない良さなのではないでしょうか。
  • 指導するお立場として心がけていらっしゃることはどんなことですか。
    山﨑:初期研修医の中には手技を行うことをメインに考えている人が少なくないことが気になっています。点滴や挿管、中心静脈カテーテルといった手技はたくさんやらないとうまくならないし、私にもそういう時期があったので、気持ちは分かるのですが、でも「手技さえできれば」といった感じで、手技の取り合いになりがちなんですね。もちろん手技を経験することはとても大事ですが、そういうスキルを身に付けることよりも医師としての責任感や問題解決能力、自分が行った診療に対しての結果を受け入れる覚悟を最初の2年間で身に付けてほしいと思います。自分のスキルアップを患者さん一人一人の最善の治療に優先させる事のないようにしてほしいと思います。
  • 研修医に対して、「これだけは言いたい」と思っていらっしゃることをお聞かせください。
    山﨑:研修医を持つようになって、まだ2年目ですので、質問しやすい、話しやすい関係を心がけています。私としてはもっと威厳を持たないといけないかなとも感じていますけど(笑)。研修医には医師として患者の命をあずかる責任を持つという姿勢を身に付けてほしいです。最近は自分自身のQOLを意識する人が増えたのかなあという印象もありますが、研修医によるのかもしれません。教え始めて間もないので、愛情を持って、厳しく教えることの難しさを、日々感じています。「いいよ、いいよ」でもいけないですし、怒鳴ればいいというものでもありませんからね。研修医が落ち込んでしまわずに、立ち直ってくれることを願っています。しかしながら、教えることで私自身が気付かされることも多く、私も成長できたかなと思っています。
  • これまでに印象に残っている研修医はいますか。
    山﨑:私が受け持ってきた研修医はキャラクターはそれぞれなのですが、皆、熱心で、患者さんに対する姿勢が良い人ばかりでしたね。手技に走るわけでもなく、患者さんのことをまず考えている人たちに恵まれました。私は今、卒後8年目で、持っている患者さんも外来の数も増え、忙しくなってきましたので、患者さん一人一人をしっかり診ようと思っても十分に行き届かない事が多くなり、申し訳ない思いもあるのですが、そんな時に研修医がついていると研修医は患者さんをしっかり診ていて、私の知らない情報や所見を与えてくれることがありとても助かります。研修医が積極的に患者のことを考え、意見を言ってくれるようになるととてもうれしく思います。
  • 近畿大学医学部奈良病院の勤務環境などについて、お聞かせください。
    山﨑:私は近大奈良病院と堺病院しか知らないので、ほかと比べることはできないのですが、私はこの病院は働きやすい病院だと思っています。研修医も過ごしやすい環境なのではないでしょうか。奈良病院には都ホテルのレストランが入っており、一般の方のためのレストランの厨房で作ったものが職員食堂でも出されているので、食事がとても美味しいんです(笑)。それから当直室も綺麗で、当直以外で帰れない日も希望すれば、夕食がでます。研修医は帰るタイミングをのがしてついつい病院に長く居ることが多いですが、当直室が整備されているので安心して過ごせます。「何不自由なく住める」といった雰囲気なので、男子研修医はほとんど家に帰っていないかもしれません(笑)。
  • 現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。
    山﨑:回ってみないと分からないことも多いですので、私自身は良かったです。私はスーパーローテートでなかったら、血液内科を専攻することも、この病院にいることもなかったでしょう。自分がこうだと考えていた道ではない道で出会うものはいいものだと思います。私は血液内科を選んでよかったと感じていますので、この制度の恩恵を受けました。今後は変わるのかもしれませんが、直接、入局するよりも分からないことに出会えるという意味で良い制度ではないでしょうか。
  • 奈良県での初期研修を考えている医学生にメッセージをお願いします。
    山﨑:私は奈良県といえば中学の修学旅行で信貴山観光ホテルに泊まったぐらいの思い出しかありませんでした(笑)。大学で初めて関西に来ましたが、すぐ関西が好きになりましたね。忙しいときでなければ、奈良公園に遊びに行くこともお勧めしたいと思います(笑)。
    当院は初期研修を行うには規模もちょうどよく、医局間の垣根が低いことが特徴です。研修医の数も、私も7人で行いましたが、今もその程度ですので、1年目の研修医の顔を皆が知っているという状況ですし、どんなことでも尋ねやすいですよ。医師全員の顔はもちろんですが、コメディカルのスタッフの顔も分かっていますので、急な検査なども頼みやすく、話しやすいです。コメディカルのスタッフも優しい人が多く、研修医が働きやすい病院です。

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