奈良県立医科大学附属病院

仲西 康顕 先生

奈良県立医科大学附属病院
指導医
仲西 康顕(なかにし やすあき)先生

臨床研修センター 副センター長
整形外科

〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
TEL:0744-22-3051
FAX:0744-22-4121
病院URL:http://www.naramed-u.ac.jp/~hp/

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  • 主な履歴・教育歴
    H14.3 奈良県立医科大学卒業
    H14.4 奈良県立医科大学整形外科 臨床研修医(奈良県立医科大学 麻酔科・救急科研修1年)
    H16.1 国保中央病院
    H18.1 奈良県立医科大学 整形外科 医員
    H18.5 県立三室病院 整形外科 医員
    H20.7 町立大淀病院 整形外科 医員
    H23.4 奈良県立医科大学 整形外科 大学院入学
    H27.4 奈良県立医科大学 臨床研修センター 助教
    H28.4 奈良県立医科大学 臨床研修センター 副センター長
    指導医講習会などの受講歴
    H27.5 日本整形外科学会「指導医講習会」受講済み
    H27.7 奈良県立医科大学付属病院「指導医講習会」受講済み
    主な臨床経験及び実績
    H21.3 日本整形外科学会 専門医
    H25.12 JOS Best paper award
    H27.9 単著「うまくいく!超音波でさがす末梢神経」上梓
    所属学会名
    日本整形外科学会
    日本手外科学会
    日本整形外科超音波学会
    日本区域麻酔学会
    日本マイクロサージャリー学会
    日本肘関節学会
    中部日本整形外科災害外科学会
  • 病院の特徴や地域での役割について、お聞かせください。
     奈良県立医科大学は奈良盆地の中央、中南和という地域にあります。奈良県のちょうど真ん中あたりに位置して、地域に根差した診療を行っています。大学病院ですが、市中病院で診る一般的な疾患で初診を受診される方も多く、「八木医大」と親しみを込めて呼んでくださる患者さんもいらっしゃるんですよ。一方で、大学機関ですから、研究、そして教育に力を入れるべく、我々スタッフも精進しているところです。
  • 先生のいらっしゃる整形外科の特徴について、教えてください。
     整形外科は頭と胴体以外のほとんどの場所、脊椎、肩、手足、股関節、膝、腫瘍、関節リウマチのように内科と重なる領域など、幅広い範囲・疾患を診る科です。奈良医大の整形外科ではそれぞれの専門領域に対して、責任を持てる医師が積極的に最先端での診療を行い、さらに次の世代の指導医を育てるというのが教授の方針です。平成28年からは四肢外傷センターも創設され、外傷症例についても今後増えていく見込みです。
  • 先生の専門領域について、教えてください。
     手の外科、マイクロサージャリー、そして特に超音波を専門にしています。整形外科での超音波診療は最近、特に注目されている技術です。今までは運動器の痛みを訴える患者さんに対しての検査としてはレントゲンが一番多用されてきましたが、超音波で骨ではない場所、神経や靭帯のような柔らかい組織を診察室や病室で直接見て治療に生かそうというふうになってきたんです。新しい技術に取り組み発展させるのに、病院、そして教室が後押しをしてくれています。他大学に負けない奈良医大の整形外科での特徴の一つとして頑張っていこうとしています。
  • 先生の受けた初期研修について、教えてください。
    仲西 康顕 先生 私は2002年卒業ですので、スーパーローテートが始まる2年前に研修医生活を送りました。大学病院で整形外科を1年間、麻酔科と救急科を半年ずつ回りましたが、麻酔科と救急科の経験はその後の医師としてのキャリアを積んでいくうえで非常に良かったですね。麻酔科ではバイタルサインの評価、気道確保と挿管技術など、生命に直結する様々な知識をしっかり教えてもらいました。また、大学病院の救急科は高度救命救急センターとして様々な重症患者さんを受け入れますので、知識も技術もない研修医がいきなり責任を負わされることなく、ベテランの先輩が、救急患者さんが来たときにどのように動いて、どのように考えたらいいのかを間近で見られたのは有り難かったです。研修を終えて別の病院に勤務しはじめたときに、外来に重篤な患者さんが来られたり、当直時に病棟で急変という状況でまずどう動くべきか、後になってから初期研修での基本的な知識の重要性を実感しました。
  • 現在の研修、スーパーローテートについてはどのようにお考えですか。
     人間ですから、色々なタイプの人がいます。最初に科を決めて、それだけをやっていくことが適している医師もいるでしょうし、多くの診療科を診たあとで決めることに適している医師もいるでしょう。全員に適したシステムは難しいです。だからこそ、ある程度のフレキシビリティが大事なのです。この科に決めたから、この科を回りたいという初期研修医にはできるだけその希望に沿ったカリキュラムがいいですね。しかし、基本的な必修知識については身につけておかないと、初期研修を終えて市中病院に勤務したときに困ることになります。「あのときは関係ないと思っていたことがあとで役に立ったな」と実感できることはおそらくありますから、そういう意味では今の方式は悪くないと思います。
  • 以前の研修医制度と比べ、変わったと思われる点について、お聞かせください。
     当たり前かもしれませんが、やはり教育者が評価されるという時代になったことでしょうか。以前の大学病院は特に外科系ですと徒弟制度のような側面も大きく、私も研修医時代は「技術は目で見て、盗め」と言われました。先輩のしていることを見て、自分で問題点を見つけ、調べて分からないところを聞いてもよいという形でした。できないと飯を食えない(一人前になれない)ので、泣きながらでもついていったものですが、それが本当に正しかったのか、患者さんのためになっていたのかというと必ずしもそうとは言い切れないですね。この10年で、後輩が責任を持って患者さんを診療できる医師に育てることが指導医の大きな仕事だという意識に変わってきました。責任が重いですし、いい加減な指導はできませんので大変ですが、やりがいのあることだと思っています。
  • 大学病院での研修について、お聞かせください。
    仲西 康顕 先生 多くの初期研修医が臨床能力を身につけて、早く一人前になりたいと熱意を持って初期研修に臨んでいます。ただ、それは初期研修で終了するものではなく、一生をかけて勉強していくことなんですね。様々な研修病院を比較し、この2年間でどこまでできるようになるのかということが気になるのは分かりますが、決して焦らないでほしいです。
     大学病院での初期研修の一番のメリットは仲間が多いことです。人数が多いと症例が回ってこないかもしれないと思っている人は少なくありません。私が整形外科に入局したときは同期が15人おり、私自身も症例が回ってこないのではと心配になりました。しかし、仕事はいくらでも見つけられましたよ。そして、あとに残ったのは何かというと15人の同期の仲間であり、一番の財産になりました。数カ月や2年ぐらいの短い間であっても、一緒に初期研修をした仲間は一生の友達であり、知り合いなんです。10年後、20年後に困った患者さんの紹介をするとき、受けるときもおそらく顔の見える関係になっているでしょう。身近なところだと当直を頼みやすいというメリットもあります(笑)。母校のみならず、他大学出身の方であれば、大学病院での初期研修はいいことですよ。
     高度医療も大学病院のメリットとして挙げられます。将来、市中病院に勤務したとき、治療に困った患者さんがいらっしゃるとします。それを直接、治療のレベルまで携わらなくても、どういった治療が大学で行われていて、どういった先輩医師が治療に携わっているか知るだけでも、「大学病院であの先生が治療をしていたな」と思い出すことができます。特にその科を回ったのであれば、後輩として紹介や相談がしやすくなります。そういう意味でも大学病院での医師同士の交流は貴重ですし、一生の財産になります。
  • 奈良県立医科大学の初期研修の特徴について、教えてください。
     1年目、2年目あわせて約100人の初期研修医が研修しており、比較的自由に研修したい科を選択出来るのが大きな特徴です。週単位の研修ローテーションであり、研修する科の変更は10週間前なら可能ですので、他の研修医と情報を共有しつつ途中で自分の興味の出てきた科も重点的にまわることが出来ます。研修を始める段階で全てを決める必要はありませんから、必修選択は押さえつつじっくりと自分に合った道を探してもらうことが出来ます。2年間を奈良医大で過ごすAプログラムと、市中病院と奈良医大のたすきがけとなるBプログラム、産婦人科に特化したC1プログラム、小児科に特化したC2プログラムがあります。
     平成27年9月から始まった土・日曜のER当直では、市中病院での受け入れが困難とされたちょっと困った二次救急症例もたくさん搬送されてきます。各科からの指導医1名、後期研修医2名、初期研修医2名の5人チームで24時間の救急診療に従事します。正直なところ指導医は大変ですが、初期研修医からの評価は良いようです。どの科の先生も相談しやすい雰囲気ですし、大学全体を通じて教育が大切だと認識されていると思います。学生・研修医からの敷居の低さを常に持っておこうとしていますので、他大学からの方もまずは見学にきて、それを感じてください。
  • 指導の際に心がけていることについて、教えてください。
     私は患者さんのことを考え、責任を持って診療していた先輩のことを今でもかっこいいと思っていますし、上の医師は後輩から常に一挙手一投足を見られている存在ですね。診療において逃げ腰になったり、責任があやふやになっているのを見ると幻滅しますから、情けないところを見られないようにしないといけないということを心がけています。
  • 研修医に対してこれだけは肝に銘じておくべきだということについて、お聞かせください。
     初期研修の間には迷ったり、大変だと感じることも多くあります。大学を卒業して、いきなり社会に出て、場合によっては人の生死に立ち会うといった責任の重いところに来てしまうのですから、辛いことも多いです。押し潰さそうになったり、逃げ出したくなることもあるかもしれません。私もそんなことがありましたが、支えてくれる人は必ずいます。抱え込まずに、悩んだことを誰かに相談するだけでも心が軽くなりますよ。折れずに続けていけば強くなりますから、相談しながら研修を続けてほしいと願っています。
  • 初期研修病院を選ぶ医学生へのメッセージをお願いします。
     焦って、早く一人前になろうとは思わないでください。私の研修医時代と比べると、今は選択肢が豊富にあり過ぎて、不安になるようですね。有名な研修病院に行った友達に比べると、自分は取り残されているのではないかなどと自分を追い詰めないでほしいです。医師として働く期間は長く、何十年もやっていかないといけません。ときには回り道をしても、一見関係のない分野に行くことがあっても、10年経ったときに活きてくることはあります。大学病院は色々な道を案内することができる場所ですから、是非、いらしていただきたいですね。

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