奈良県立医科大学附属病院

今中聖悟先生

奈良県立医科大学附属病院
ジュニアレジデント
今中 聖悟(いまなか しょうご)先生

研修期間:2011年4月~2013年3月
出身:奈良県山辺郡山添村
出身大学:奈良県立医科大学
卒業年度:2010年度
(※所属は2012年3月インタビュー当時)

〒634-8522 奈良県橿原市四条町840番地
TEL:0744-22-3051
FAX:0744-22-4121
病院URL:http://www.naramed-u.ac.jp/~hp/

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  • 医師を目指したきっかけを教えてください。
     学生時代は中学から大学まで陸上をやっており、怪我をする度に先生に治療してもらっていました。その先生の治療する姿を見て、いつしか自分も怪我や病気で悩んでいる人のサポートをしたいと思うようになっていました。
  • 学生時代のお話を聞かせてください。
     陸上をやっていたのですが、高校の時が一番頑張っていました。頑張った甲斐あって、近畿大会に出ることができましたので、良い思い出になりました。大学に入ってからは、練習も週3回程度でしたので部活一色という訳でもなく、アルバイトも一生懸命やりました。多くの医大生が家庭教師のアルバイトをしますが、正直僕には合わなかったので居酒屋でアルバイトをしました。実は僕は料理が大好きで、子供の頃はコックになりたいと真剣に思っていました。
     6年間の学生生活の中で勉強、部活、バイトをバランス良くやっていたと思います。
     学生生活の中で一番印象に残っていることは、白橿生(かしふ)祭という学園祭で事務系の責任者をやらせて頂いた事です。本当に忙しくて学園祭の直前は、ほとんどの夜を準備や打合せ、練習で仲間と共に過ごしました。やらせてもらって良かったです。
  • 大学卒業後の研修先に市中病院、大学病院どちらにするのか迷いましたか。
     当時、周りのみんなを見ていると、2年間の初期研修を外部で受けることはかっこよく、大学に残ることはダサいという風潮があるように感じました。
     そう言いながらも、自分自身も先輩のいる市中病院に見学に行った時には、「病院が綺麗だ」、「地域医療に密着しているな」と思い、いつの間にか「こんな病院で研修を受けられたらいいな」と思っていました。
     しかし、家に帰って冷静になって考えてみると、なぜあの時あの市中病院で研修を受けたいと思ったのか、漠然としたイメージ以外の明確な理由が自分の中で見出せませんでした。いつの間にか自分も流されてしまっていたと思います。 もちろんいわゆる有名研修病院を志望する方の全てがイメージに流されている訳ではありません。しっかりとした根拠をもってその病院の研修に臨んでいる方もいます。しかし、私にはその根拠が見つけられなかったのです。
     そこで今一度原点に戻って考えてみました。僕は保育園からずっと奈良で育ってきましたので、奈良県が大好きです。思い起こせば、私は奈良県の医療に取り組むために奈良県立医科大学に入ったのです。僕の欲しいものは、全て大学にあったのです。
  • 研修プログラムの中で良いところや改善して欲しいところについて教えてください。
     僕は産婦人科特別コースを選択していますので、将来は産婦人科の医者になります。
     各コースによるプログラムの中身は、専門プログラムであってもそれほど違いはありません。必修の13ヶ月を決めているだけで、後は各プログラムを履修する中で自分に必要と思われる診療科を11ヶ月自由に回れます。専門プログラムは、将来何科の医者になるということを決めている人のためにありますが、プログラムの中身は極めて自由です。
     私の場合は、1年目で3ヶ月産婦人科を回りました。その他に第三内科(消化器・内分泌代謝内科)3ヶ月、麻酔科を回って、第一内科(循環器・腎臓・代謝内科)を3ヶ月、そして、現在は救急を回っています。
     沢山ある内科の中でどの科が大事という訳ではないですが、1年目は、産婦人科と同じ腹部ということで消化器系を選び、心臓の事も知っておくべきだと考えて循環器系を選びました。全て産婦人科を軸に考え、その他のローテートするべき診療科を選んでいます。
     2年目は産婦人科、麻酔科、放射線科、糖尿病のことを勉強する予定です。
     具体的に自分が何科の医師になるか決めている人間は、やはりその専門を軸として、アプローチできる診療科を回っているようです。
     大学病院は内科ひとつ取っても沢山ありますので、プログラムの中身のバリエーションは市中病院の比ではないと思います。
     救急に関しては、高度救急救命センターなので一般的な救急やER型の救急とは少し違います。命に関わる多発性外傷や熱傷に関しては全身管理が必要ですので、ほとんど全てうちの病院に来ます。どのような患者さんが搬送されるか事前に全て判っていますが、外傷の程度が重い患者さんが多いためたじろぐこともあります。しかし、救急における最後の砦として命を繋ぐ為の処置を最優先し、とてつもないスピードで行う救急救命はとても勉強になります。
  • 研修の中で勉強になったことを教えてください。
     医療は、マンパワーが大事だと知りました。とても優秀な医師が一人いらっしゃったとしても、その医師をサポートする他の医師や看護師、臨床検査技師等の人間がいないと医師は十分な力を出せません。医療とはチーム力だとも言えます。
     カンファレンスについては、大学病院ですので市中病院よりは多いだろうと思っています。
     今のところ、カンファは先生方の発表の仕方などを見て勉強させて頂く事が多いのですが、自分が発表するときは大変です。発表している間は比較的スムーズに進むのですが、問題はその後に先生方からどのような内容の質問が飛んでくるかです。まだ展開を予想できるはずもないですし、まだ知らない事が圧倒的に多いので、「わかりません。」と答えざるを得ません。
     抄読会もそうですが、まだカンファレンスの発表を喜んで行う気にはなれません(笑)。
     ただ、物事の掘り下げ方が深いので、間違いなく毎日が勉強にはなっています。
  • 研修医のコミュニケーションについてはいかがですか。
     研修医同士の普段の会話がどうしても患者さんの話になるので、自然に情報交換になっています。
     研修センターが新しくなり、研修医は6つの研修室(研修医の医局)に分かれています。1部屋に1年目の研修医と2年目の研修医が合わせて20名ぐらいいますね。
  • 他職種との関わりについて教えてください。
     大学病院は組織が大きいので、最初にするべき事は看護師の方の名前を覚えることだと思います。まずそれをしないと仕事になりません。
     先生から依頼されたことをするにしても、患者さんに一番関わっている看護師さんを探さないことには始まりません。
     そこから看護師の方々との関わりが始まります。
  • 指導医の指導についてはいかがですか。
     指導医の先生がこんなだから困るという事は一切ありませんが、沢山の指導医の先生方がいらっしゃるので、当然色々な先生がいます。研修を受けるということは、決して一方的なものではありません。
     教え上手な指導医の先生もいれば、教えられ上手な研修医もいます。お互いに築きあう人間関係ですので、自分から積極的に作っていく必要もあるかと思います。
     僕個人としては、とても幸せなことに自分の理想と思える先生に研修で巡り会うことができました。妥協を許さない方で、「患者さんを自分の家族と思え。」とよく言われます。医師の心構え等、とても大事なことを教わっています。
  • これから進む専門(後期研修)について教えてください。
     もちろん、後期も奈良県立医科大学に残りますし、産婦人科を専攻します。決意が鈍ることはあり得ません。
     僕が一度考えていた整形外科医でなく、産婦人科医を目指すことを決めた理由は、母から昔、流産の経験があった事を聞いたからです。色々と考えました。無事に生まれてくることが当たり前の命とみんな思っていますが、妊娠、出産には元々リスクがあるのです。不幸にして生を受けることができなかった命も沢山あるのです。だから、子供が無事に生まれたことを人は盛大に祝うのです。
     自分の手で、子供が安心して生まれてくる世の中にしたいと思いました。
     奈良県立医科大学は、最先端の医療施設を備えた大学病院でありながら、メディカルバースセンターを有し正常分娩をサポートしています。もちろん産科も併設していますので、体制は万全です。私の望むものがここには全て揃っています。
  • どんな医者になりたいですか。
     理想とする先生に既に巡り会っていますが、僕は「さわやか産婦人科医」を目指しています。もちろん性格的なものも必要ですが、医者である限り最低限の清潔感は身に付けたいですね。
     医者は治療してあげるのではなく、治るためのお手伝いをするだけです。あくまでサポート役であるべきと考えます。
  • 何か心に残るエピソードはありますか。
     産科のローテート中に入院していた妊婦さんがいたのですが、ローテートが終わった後も気になっていたので、たまに様子を見に行っていました。その後、無事出産したと聞き、様子を見に行った時に赤ちゃんを抱かせてくれました。今でこそ慣れていますが、その時は、あまりにも小さく、落としてしまいそうでとても怖かったです(笑)。
     産科の研修期間が終わっているにも関わらず、僕が様子を見に行くたびにそのお母さんが喜んでくれたことが一番嬉しかったです。
  • 休日はどのように過ごしていますか。
     買い物に行ったり、食事に行ったりすることでリフレッシュしています。
  • 奈良県立医科大学のPRをお願いします。
     大学病院でありながら地域密着型の、言うなれば「橿原市民病院」としての機能を併せ持つ大学病院です。高度先進医療からコモンディジーズ(Common disease)まで幅広く診ています。
  • 研修病院の選び方についてお願いします。
     研修は大学に行っても、いわゆる有名研修病院に行っても、名前があまり知られていない病院に行っても、正直、良い研修を受けられるかどうかは、自分次第です。病院が良い医者にしてくれる訳ではありません。何を研修に求め、自分でどう動くかです。医学生の方は、今、沢山の選択肢を持っています。カタログデータではなく色々な情報を自分で集め、直接色々なものを見聞きして決めてください。
     フィーリングもとても大事です。
  • 医学生に向けてメッセージをお願いします。
     大学病院に残るかどうか悩んでいる皆さんが、気付いていないことがあります。それは、ポリクリで見た大学病院と、実際に働く大学病院は全く別物です。同じ場所であっても、当然一からの再スタートですから大変です。でも、そんな時にありがたいのが、6年間一緒に過ごした沢山の同期の存在です。他大学出身の研修医とも仲良くやってはいますが、やはり6年の歳月を共有した現実は大きいのです。何気ない会話でも気心が知れているので癒しになるのです。自分の大学をもう一度違う角度から見てみてください。
  • タイムスケジュール

    高度救命救急科研修の場合

    07:00 起床、準備、出勤
    08:00 モーニングカンファ
    09:00 病棟回診
    10:00 病棟業務
    12:00 昼食
    13:00 病棟・外来業務
    17:00 申し送り
    18:00 病棟業務
    21:00 帰宅、夕食
    22:00 勉強
    24:00 就寝

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