天理よろづ相談所病院

天理よろづ相談所病院
ジュニアレジデント
井上 大志(いのうえ たいし)先生

出身地:兵庫県西宮市
出身大学:神戸大学
卒業年度:2014年

〒632-8552 奈良県天理市三島町200番地
TEL:0743-63-5611
FAX:0743-63-1530
病院URL:http://www.tenriyorozu.jp/

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  • 医師を目指したきっかけを教えてください。
     中学生のときに、テレビドラマの「白い巨塔」を見て、財前先生をかっこいいなと感じたのが最初のきっかけですね。家族に医師はいませんし、私自身にも病気の経験はありませんでしたので、かっこいい仕事だから目指してみたいと思ったんです。そして、社会貢献できたらいいなという思いも後付けのような感じで出てきました。
  • 学生生活はいかがでしたか。
     ほとんど勉強しませんでした(笑)。サッカー部に入っていて、週に4日は練習がありましたが、そのほかの日は遊んでいましたね。テスト前になったら、睡眠時間を削って勉強していました。あまり良くないスタイルだったと思います。一番の大きな思い出は3年生のときに西医体で優勝したことですね。
  • 大学病院でなく、市中病院での研修を選んだ理由を教えてください。
     机の上での勉強をずっとしてきましたから、早く臨床をしたいという思いが強くて、 初めから市中病院での研修を考えていました。大学病院は医師が多すぎるような気がしていました。アカデミックな部分では大学がいいのですが、臨床となると緊急の多い市中病院が良かったです。
  • 天理よろづ相談所病院を選んだ理由をお聞かせください。
     大学の制度で、アドバイザー的な教授がついてくださるというものがあり、5年生の春から面談が始まります。私は将来、心臓血管外科を志望しているのですが、心臓血管外科の教授との面談の中で、将来、心臓血管外科を専攻するのであれば、最初の2年間は内科をしっかり勉強した方がいいというアドバイスをいただきました。それで、内科に強みのある天理よろづ相談所病院に見学に行くことにしました。その教授が天理よろづ相談所病院の出身だということも大きかったですね。忙しく、かつアカデミックな部分も強い病院を、選んで4つぐらい見学に行きました。
  • 天理よろづ相談所病院に見学に来たときの印象はいかがでしたか。
     かなり衝撃的だったのを覚えています。私がついた2年目の初期研修医はとても優秀で、今も後期研修医として残っている方なのですが、初期研修医とは思えませんでした。診断のプロセスが全部、頭の中に入っていて、言っている内容もしっかりされているし、大学病院で見た初期研修医とは全く違っていたんです。天理よろづ相談所病院では「主治医力」というものを全面に押し出しているのですが、その先生の主治医力の高さに惹かれて、改めて天理よろづ相談所病院で研修したいと考えました。
  • 心臓血管外科を目指そうと思ったきっかけは何ですか。
     命の最前線にいる診療科だからです。医師になったからには命に携われるような診療科を専門にしたかったですし、自分の力を磨いて救命率の向上に繋げたいと思いました。自分の努力が人の命に関わってきますので、遣り甲斐がありますね。もともと循環器系に興味があり、勉強していて面白かったのも循環器系でしたので、6年生の頃には既に決めていました。
  • 初期研修1年目を振り返ってみて、いかがですか。
     自分で言うのもおこがましいのですが、力はついたと感じています。内科を6カ月ほど回りましたので、全内科の過程のほぼ半分を終了したところですが、先頭に立って患者さんと直接、関わるころができますので、学ぶことが多かったですね。最初はどうしていいか分からないこともあったし、睡眠時間が少なくなったりして、苦労したこともありましたが、その意味では今は仕事が早くなってきました。
  • ローテーションのスケジュールについて、教えてください。
     1年目は4月から9月までは総合内科、10月、11月が一般外科、12月から3月までが麻酔科でした。2年目は小児科2カ月、精神科、地域医療、産婦人科で合わせて2カ月、循環器内科2カ月、総合内科4カ月です。そのあとが選択です。私は外科系志望で、専門医取得のための症例数も必要ですから、選択では外科系の科目にする予定です。
  • 麻酔科が4カ月あるのは珍しいですね。
     一つには病院側の事情もあるのでしょうが、研修医からすれば麻酔科が4カ月あるのは勉強になりますね。麻酔科は中心静脈カテーテルなどの手技が多いのですが、3カ月目ぐらいからできるようになる手技もありますし、カテコラミンやICUで使う薬の投与量や使い方なども勉強できたので、4カ月あって良かったです。手技は指導医の先生に見ていただきながら、経験できます。麻酔科のあとで総合内科を回ったら、もう少しうまくできるように思います。
  • 天理よろづ相談所病院の初期研修の特徴について、教えてください。
     総合内科研修が10カ月あるということです。その期間は主治医として、患者さんにつきますが、これは珍しいのではないでしょうか。介護申請などの事務手続きも全て自分で行い、最終チェックを受けます。初期研修医に最初のディシジョンが求められますが、野戦病院的ではないのが、朝のカンファレンスなどで全てフィードバックが行われることですね。初めにタッチして、自分で考えて、最後にフィードバックをいただくという流れがあるのが特徴だと思います。
     それから病院が研修医に対して寛容です。どの診療科の先生にもコンサルトしやすいですね。いきなり整形外科の先生のところに行って、「こんな患者さんがいるんですけど」と 相談すると、「すぐ診に行くよ」と言ってくださったりするので、働きやすいです。昔から研修医を育てているという文化が病院全体にありますね。
  • 天理よろづ相談所病院と言えば、モーニングカンファレンスが有名ですね。
     「朝カン」ですね。覚えないといけないので大変ですが、ある程度は型にはめて準備します。うまく型に落とし込んで、手短に話すというプレゼン能力が身につきますし、病院としても、こういった能力を育てることを重要視しているようです。私は臨床を頑張りたいと思って、この病院を選んだわけですが、この病院は市中病院にしてはアカデミックな部分が強いですね。私は1年目で内科を回っていたこともあって、ほかの病院での発表会や学会の地方会などでの発表も5、6回、行いました。こういうところもほかの病院での初期研修とは違う特徴です。
  • 研修プログラムについて、改善してほしいところはありますか。
     ほかの病院に比べると、選択期間が短いという話はよく出ますね。その分、総合内科が長いというメリットがあるのですが、選択期間を長めにしてほしいです。しかし、どの診療科を削るべきかというのは分かりません。
  • 研修医同士のコミュニケーションはいかがですか。
     仲良くやっていますよ。時間が合えば、病院の近くに飲みに行ったり、週に1回ぐらいは一緒に食事に行ったりします。全体的には真面目な雰囲気ですね。それがいいところでもあり、悪いところでもあるでしょう。研究会や資料作りを徹底的にやりますし、もともと不真面目だった人でもこの病院ではそうなってしまうという環境です。
  • 当直はいかがですか。
     一言で言うと、きついです(笑)。次の日の業務がある中での当直ですから、何時間と連続で働き続けるので、当直明けはやはりきついです。でも、三次救急は来ないですし、自分なりに考える時間もあります。その中で、心筋梗塞などの緊急疾患もありますから、内科的なトリアージの力がある程度はつきました。救急外来は診断する場ではなく、除外する場だと思います。胸が痛いと言っている患者さんの原因が心筋梗塞や大動脈解離、肺塞栓ではないので帰すという判断などですね。当院では研修医に任される部分が大きいので、自分でやらなければいけないというのが根本にあります。
  • 当直のスタッフ体制はどう組まれていますか。
     シニアレジデントが1人、2年目のジュニアレジデントが1人、1年目のジュニアレジデントが1人という体制です。それから内科当直、外科当直に指導医の先生が1人ずついらっしゃるので、手が追いつかないときには来ていただきますが、基本的には3人で行っています。
  • 研修病院を選ぶポイントについて、教えてください。
     私は母校の心臓血管外科の教授をとても尊敬しているのですが、その先生に言われた言葉をお話しします。外科に行きたい人に限定的な内容になるかもしれませんが、私が今でも大事にしている言葉です。その先生からは「医学は内科で成り立っている。外科も医療だし、医学でもあるけれども、根本的な学問として内科を勉強しておかないと、手だけ動く職人になってしまう。3年目からは専門科に進んで、偏った道に行くわけだから、その前の2年間で内科を学び、総合内科的な診断ができるようになってほしい。専門内科とは違う意味で、全体としての疾患を診られるようになることも大事だ」と言われました。また、「実際に患者さんを診ていくうえでのハートも学んでほしい。そういうものは人からしか学べない」ということも心に残っています。その意味で、この病院に来て良かったです。八田先生や石丸先生はあんなに上の先生になられていても、週末にふらりと来てくださったり、何か困っていることはないかなどと細かいところまで気を遣ってくださるんですね。患者さんに対する診療を見ていても、グッと来るような人間味が溢れていて、医師と患者さんの付き合いだけではないところが垣間見えるのがすごいですね。
  • 医学生に向けてメッセージをお願いします。
     天理よろづ相談所病院はいい先生が多くいますし、学べる環境としてはしっかり整っています。やる気さえあれば、やりたいことができる病院ですので、是非、来てください。
  • ある日のタイムスケジュール(総合内科)
    06:30 起床
    07:00 病棟回診
    07:30 朝のカンファレンス
    /指導医へのコンサルト
    09:00 病棟業務(指示出し,検査など)
    10:30 消化器内科カンファレンス
    11:30 昼食
    12:30 病棟業務
    14:30 神経内科カンファレンス
    16:00 病棟業務/病棟回診
    19:00 勉強/翌日カンファレンスの準備
    21:00 帰宅

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