活かす 歴史を活かす地域の取組

歴史を活かす地域の取組

国指定史跡宮滝遺跡 吉野郡吉野町

天武天皇・持統天皇が行幸された飛鳥時代の離宮・吉野宮の跡地といわれ、近年、それを裏付ける苑池の跡などが検出されました。また、付近からは縄文時代・弥生時代の土器なども出土しています。風光明媚なこの地は、『万葉集』や『懐風藻』にもその美しさが多く詠まれています。

資料館を拠点に、地域ぐるみで遺跡を活用しています 資料館を拠点に、地域ぐるみで遺跡を活用しています

地域と連携して宮滝遺跡の魅力発信に取り組む 地域と連携して宮滝遺跡の魅力発信に取り組む
吉野町教育委員会事務局主幹。主に吉野地方を舞台とした古代史に造詣が深く、関連著書多数。吉野歴史資料館館長として、宮滝遺跡の整備・活用に奔走中。
2017年1月
吉野歴史資料館

吉野歴史資料館を拠点として、遺跡の整備・活用を
進めています

宮滝では今でも発掘調査が進められていますが、遺跡の整備と活用は車の両輪だと考えています。発掘調査で出土した物を、吉野歴史資料館に展示して見ていただくという流れですね。宮滝遺跡といえば天武天皇の飛鳥時代を思い浮かべる方が多いのですが、実は縄文時代や弥生時代の土器なども出土しており、学術的にも注目されています。また、奈良時代の聖武天皇に関する遺構もあります。このような様々な時代のものを体系的に整理し、展示・活用する拠点として、吉野歴史資料館があるわけです。

資料館だよりの全戸配布で、遺跡がより身近な存在になりました

遺跡の整備と活用には、地域の方々の協力が不可欠です。このような観点から、遺跡の整備委員会に自治会長の方などに入っていただき、地域の意見を反映しています。また、周知活動として、吉野歴史資料館だより「たぎつみやどころ」を町内全戸に配布し、発掘状況の報告やイベントのお知らせなどを行っています。地域の方々にまずお知らせするという姿勢は、とても重要だと考えています。

遺跡発掘体験教室

発掘体験教室通じて、
遺跡を学校教育にとり入れてきました

遺跡の活用という点では、子どもたちへの普及教育活動にも力を入れています。例えば、平成28年度には、町内の小学校の生徒たちを対象に、遺跡の発掘体験教室を実施しました。また、これはまだ構想段階ですが、発掘された土器などを小学校に貸し出して、歴史学習に役立ててもらうことも考えています。 

遺跡のおかげで地域連携が実現、活用が広がっています

最近、資料館主催の出張講座を大阪で行うことになりましたが、このように、宮滝遺跡を通じて県外各地との連携が実現しています。将来的には宮滝に交流施設を作って地域連携を進めていき、宮滝を訪れる人が増えてくれればいいですね。その結果、宮滝遺跡ひいては自然あふれる吉野町の魅力を、多くの人々に知っていただくことができると思います。