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ヒメトビウンカ
被害の特徴と発生形態
ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病は「ゆうれい病」ともよばれ、新葉が黄緑~黄白色となり巻き込んで徒長し葉先が垂れ下がる。ヒメトビウンカは畦畔または雑草地、麦畑等で幼虫越冬し、3~4月にかけて第1回成虫が現れる。
第1世代幼虫は、雑草や麦畑で生育し、第2回成虫が本田へ侵入して媒介する。
ツマグロヨコバイ
被害の特徴と発生形態
萎縮病はツマグロヨコバイによって媒介されるウイルス病である。葉色が濃く、葉脈に沿って白色斑点を点線状に生じ、草丈は短くなって、生育初期に感染すると出穂しなくなる。
ツマグロヨコバイは年間数世代を経過し、6月中旬から第2回成虫が本病を媒介する。ツマグロヨコバイは水田耕起とともに一時的生息場所として休閑田に群飛し、田植後、再び飛来する。とくに休耕田周辺の水田では畦畔から3~5mまで、直接吸収被害を受け植替えを余儀なくされるとともに萎縮病も多発する。
イネシンガレセンチュウ
被害の特徴と発生形態
種籾で伝播する。症状は全体に葉色が濃く、草丈が低く、止め葉の長さが短くなり葉先が変色枯死し、「ホタルイモチ」とも言われる。種籾の頴内面で越冬し、播種し発芽するとイネの生長点付近に寄生して養分を吸収する。
ニカメイガ
被害の特徴と発生形態
年2回発生する。稲ワラや切り株やマコモ等イネ科雑草で幼虫越冬し、5月に蛹となり、第1回成虫は5月上旬~7月中旬に発生し、発蛾最盛期は山間部6月18日、平坦部6月20日前後で、田植え後の葉身や葉鞘におよそ300個の卵塊を産む。
幼虫被害は6月下旬~7月下旬に葉鞘変色茎となり垂れ葉が多くなる。第2回成虫は8月上旬~9月上旬に発生し、発蛾最盛期は8月20日前後で幼虫被害は8月以降に現れ、白穂を生じる。
30℃以上の高温が続くと2化期は遅れる。品種の変遷や栽培の変化により少発傾向が続いている。
斑点米カメムシ類
被害の特徴と発生形態
稲穂を加害し、斑点米発生の原因となる。主な種類はホソハリカメムシ、クモヘリカメムシ、シラホシカメムシ、トゲシラホシカメムシ、アオクサカメムシ、ミナミアオカメムシ、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメ等である。
越冬地は、休耕田、畦畔、山沿い等の雑草地で、種類により年1回から数回発生し、イネ科雑草の穂等で増殖する。稲が出穂すると移動し、乳熟期から黄熟期に吸汁して斑点米を発生させる。
出穂の早い品種はとくに被害を受けやすく、畦畔沿いに被害は多くなる。
イネクロカメムシ
被害の特徴と発生形態
年1回発生、成虫態で堤防の土手や丘陵等の落葉、雑草、コケの下や畦畔の土中間隙等で越冬する。6月頃水田に飛来して株元に産卵する。ふ化最盛期は8月上旬頃、幼虫は40~50日で成虫となる。
幼、成虫共に日中は稲茎の水際に棲み、夜間茎を登って稲の養分を吸汁し加害する。吸汁によって稲の芯枯れや葉の吸汁痕が大きくなって穴があく。
イチモンジセセリ
被害の特徴と発生形態
雑草、ヒコバエなどで幼虫態で越冬する。年3回発生するが、第1世代の幼虫期間が長いため、成虫発生時期は5月中旬~6月下旬と長い。レンゲ等の花への飛来数で越冬量が推定できる。
被害が多いのは平坦部の第2世代(7月下旬~8月上旬)である。7月の高温、多日照の年には多発する。
コブノメイガ
被害の特徴と発生形態
出穂期頃から葉を縦につづって筒状にし、内側から食害する。海外からウンカ等と共に飛来する。被害や生態のよく似たイネタテハマキと混生していることが多い。
イナゴ類・クサキリ類
被害の特徴と発生形態
イナゴでは、コバネイナゴが水田に多い。田植期頃に畔や休耕田の土の中で越冬した卵から孵化した幼虫がイネ科雑草を食べて成長し、水田に移動して周辺葉を食害する。クサキリ類は出穂期に茎を食害するために白穂となる。山間、中山間の畦畔に多く、周囲から侵入する。
ウンカ類
被害の特徴と発生形態
両種ウンカは年による発生変動が大きい。セジロウンカは夏ウンカともいい、6月下旬~7月に飛来し、8月上・中旬に多くなる。出穂すると、幼虫が吸汁して、ススが発生し、稔熟が悪くなる。
トビイロウンカは秋ウンカとも呼ばれ、6月下旬から8月上旬にかけて長翅型が飛来し、8月に短翅型の雌が出現し、9月上旬頃より坪枯れが生ずるようになる。下葉が枯れ上がり、排泄物で株元にススが発生し、水面には脱皮殻が多数浮いている。
イネミズゾウムシ
被害の特徴と発生形態
年1回の発生で、成虫で越冬し、4月~5月にチガヤ、ススキ、ササなどを食害するが、田植が始まると水田に侵入し、葉鞘に産卵する。幼虫の根部の食害は7月下旬までで、稲の根部に土繭を作って蛹となり、8月中旬には新成虫が羽化して越冬場所に移動する。
アザミウマ
被害の特徴と発生形態
イネの葉に寄生するアザミウマには数種類あって、とくに空梅雨傾向の年には多発する。成虫は花粉を食べに開花中の籾内に入り、そのまま閉じこめられると黒変米の原因ともなる。
貯穀害虫
被害の特徴と発生形態
貯穀害虫としてコクゾウ、ココクゾウ、コナナガシンクイ、ノシメマダラメイガ、ツヅリガ、バクガなどが発生する。コクゾウは成虫が体長3~4mm、赤褐色~黒褐色のゾウムシである。ココクゾウは成虫が体長2.6mmでコクゾウの約2/3の大きさでコクゾウよりやや細長い。
スクミリンゴガイ
被害の特徴と発生形態
成貝は大きいもので殻高7~8cmとなり、褐色から濃いオリーブ色の殻で、殻は在来のタニシより柔らかい。水路、水田等で生息し、ピンク色の卵塊を水路壁や稲、雑草の茎葉に産み付ける。卵期間は10~40日弱、ふ化するとすぐに水中に入り、約2ヶ月で成熟し、10~15日毎に産卵する。活動温度範囲は2~40℃近くで20℃以下では成長が遅くなり、産卵もしなくなる。
大きな貝は越冬できずに死んでしまい、1年数ヶ月しか生きられない。主に水生植物の柔らかい芽等を摂食するが、田植え直後の幼苗を食害する。
イネドロオイ
被害の特徴と発生形態
成虫・幼虫が葉の表面を食害し、白いカスリ状になる。被害は6月中旬から7月中旬にみられる。成虫は4~5mmで藍色の甲虫で、幼虫は5mm程度で洋ナシ形で黄褐色である。年に1回発生する。成虫が草むらにもぐって越冬し、春にイネの葉を食い卵を産む。
アワヨトウ
被害の特徴と発生形態
年に2~3回発生する。成虫は1回目が5月から6月中旬にかけて現われ、イネの葉を食い枯葉、刈株、葉鞘に卵を産みつける。
2回目は7~8月である。越冬は成虫かさなぎでするのが多いようである。
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