このたび、近畿2府4県4政令市が平成24年度に共同で実施した児童虐待防止広報啓発事業(テレビCMの放映及び新聞広告)の効果測定調査の結果が取りまとまりましたので公表します。
◇ テレビCMの企画制作及び放送にかかる調査結果 テレビCM放送に係る調査結果1 [PDFファイル]、テレビCM放送に係る調査結果2 [PDFファイル]
調査目的 |
児童虐待防止のためのテレビCMについて、その効果を測定・把握することを目的とする。 |
調査方法 |
調査会社に委託し、その登録モニターによる一般的なwebアンケート調査を実施 |
調査地域 |
近畿6府県4政令市 |
調査対象 |
20歳から69歳の男女 |
有効回答数 |
3,100サンプル |
調査期間 |
平成24年11月21日(水曜日)から11月23日(金曜日) |
調査結果の概要 |
【CMの評価】
- CM認知率(「A「影絵」篇、B「Q&A」篇いずれか認知)は75.8%と非常に高く、「両方とも見たことがある」も46.3%と、およそ半数に達する。ABいずれの認知率も約6割となっている。
- CMの印象は、ABともに「痛々しい」が最多イメージ。「怖い」印象が高いAは「インパクトがある」、「かわいそう」な印象の高いBは「子どもを助けたくなる」がそれぞれ高く現れる。
【CMの影響】
- およそ半数が「児童虐待に気づいたら通告したいと思う気持ちが強くなった」(49.1%)と回答。
次いで、「児童虐待が起こっていないか、気をつけて周囲を見たい」(31.9%)、「通告へのためらいが軽減された」(31.7%)と続く。
- 「児童虐待に気づいたら通告したいと思う気持ち」は、「両方とも見たことがない」人では36.8%だが、「ABいずれか認知」者では53.0%と差があり、テレビCMが「通告したいと思う気持ち」を喚起するのに効果があったと言える。
- 「児童虐待防止について、関心が高まった」は、CM認知者で30.5%、CM非認知者では20.7%と約10ポイントの差があり、CMに児童虐待防止の啓発効果が認められる。
【今後の課題】
- 通告時の懸念・不安として「間違いで相手に迷惑をかけないか心配」(54.5%)、「しつけと虐待の区別がつきづらい」(48.7%)が上位に挙がり、虐待判別の難しさが通告の壁となりうることがわかる。
- 通告先の「番号を知っていた」(1.3%)は低いものの、通告窓口があることを知っている層は64.5%に達する。CM、新聞広告認知者は、非認知者に比べ、通告窓口の認知率は高いが、番号は同じく低い。番号そのものを記憶することは困難で、まずは窓口の存在をしっかり記憶してもらうことが大切と思われる。
- 通告義務についても、「義務であることを知っていた」人は27.2%と低く、今後も認知を促進する必要があると思われる。
- 行政が取り組むべき課題としては、「児童相談所の権限をもっと強くするべき」(64.8%)や「児童相談所以外にも、身近に相談できる場所をもっと作るべき」(45.5%)と思われている。
- 子育てについての悩みの相談先としては、「児童相談所」(42.5%)や「市区町村の児童相談担当課」(37.9%)への相談意向よりも、「家族」(85.3%)や「知人・友人」(76.4%)、「保育所・幼稚園」(48.7%)、「学校」(48.1%)が高くなっており、公的機関に相談しやすい環境づくりが必要であると思われる。
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◇ 新聞広告にかかる調査結果 新聞広告に係る調査結果 [PDFファイル]
調査目的 |
平成24年11月1日に、朝日・読売・毎日・産経・日経新聞朝刊に掲載した児童虐待防止のための全15段の新聞広告について、その接触度等を把握することを目的とする。 |
調査方法 |
インターネットによる新聞広告共通調査プラットフォーム「J-Monitor」調査システム(※)を各新聞社毎に実施
※ 新聞広告共通調査プラットフォーム「J-Monitor」とは株式会社ビデオリサーチが、各新聞社の読者モニターパネルを定められた共通の手続き・手順で募集・管理し、同じ調査システム上で各紙の実査を行いデータ提供を行う一連の調査システムの総称。
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調査地域 |
近畿6府県4政令市 |
調査対象 |
調査対象地域に居住し、新聞※を朝夕刊セットで定期購読する男女15〜69歳の男女
※朝日・読売・毎日・産経新聞のいずれか。なお、日本経済新聞については、2府4県に対応していないため、未実施
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有効回答数 |
朝日新聞:211サンプル 読売新聞:215サンプル 毎日新聞:223サンプル 産經新聞:201サンプル |
調査期間 |
平成24年11月2日(金曜日) |
調査結果の概要 |
【広告接触状況】
- 4紙合計で76.7%(前年度83.3%)と平均値(平均最高値71.2%※)と比べ非常に高い広告接触率である。題材の注目度はもちろんのこと紙面のインパクトの強さや考えさせる広告内容などが、広告接触率に影響を与えていると考えられる。
※平成25年1月現在J−monitorが公表する全15段モノクロ広告での掲載面別平均広告接触率(対象期間:平成23年4月から平成24年9月)の中で最も大きい値
【広告評価】
- 広告理解度([あてはまる]+[ややあてはまる])94.9%(平均値(※)83.0%)
- 広告信頼度([あてはまる]+[ややあてはまる])88.7% (平均値69.1%)
- 広告興味度([あてはまる]+[ややあてはまる])80.3% (平均値57.3%)
- 広告好感度([あてはまる]+[ややあてはまる])59.5%(平均値57.3%)
といずれも、15段モノクロ平均を上回っている。
※広告評価の平均値について算出、公表されているデータを採用
【広告印象】
「インパクトがある」が最も高いスコアを獲得している。(75.4%)その次に、「考えさせられる」(56.7%)、「説得力がある」(38.1%)がそれぞれ高いスコアである。
【広告による関心喚起】
「とても関心を持つようになった」と答えた人が36%、「少し関心を持つようになった」と答えた人が52.4%、合計88.4%となっている。
【態度変容】
「初めて『児童相談所全国共通ダイヤル』を知った」、「あらためて『児童相談所』に注目した」が3割程度、また、購読者の1割がまわりの人と話題にしたいと思ったと回答している。
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◇ 調査結果を受けて
今回の調査結果を受け、高まった意識を継続させるとともに、「注意を要する虐待の兆候」や「通告者の秘密は守られる(匿名でもかまわない)こと」「通告は義務であること」を引き続き周知するなど、通告時の懸念や不安をさらに解消するよう、広報内容のさらなる改善等に努めます。