味噌のはなし

 皆さんは、お正月をふるさとで過ごされ、お雑煮を召し上がったと思いますが、そのお雑煮には、お味噌を使われましたか。
 今回は日本古来の発酵食品、味噌の話です。味噌は蒸したり煮たりした大豆に米こうじまたは麦こうじ、豆こうじと食塩を混ぜ合わせ、発酵熟成させたものです。こうじの原料によって米味噌、麦味噌、豆味噌に大別されます。また、色調では白味噌、赤味噌、淡色味噌の三種類に分けられます。 
原料に含まれるでんぷん、脂肪、タンパク質からこうじかびなどの微生物の酵素の作用で、甘味、芳香、酸味、うま味の成分を生成し、熟成してつくられます。大豆は味噌の品質を左右しますので、原料選びは大切です。中~大粒で種皮がうすく、光沢のある実のしまったものが適します。
 味噌づくり体験は県内各地の道の駅や農産物直売所などで講習をうけることができます。一度ご自分で作られてみてはいかがでしょうか。
 葛城地域では、えんどう豆を使ったえんどう味噌が作られています。ほのかな甘味、独特の風味があり、地元の直売所では人気の商品になっています。昔から作られていると言われる、全国でもめずらしい味噌です。また、天理市の南桧垣では県の準奨励品種に採用されている大豆品種「あやみどり」を栽培し、味噌が作られています。「あやみどり」は青大豆品種で、食味が良く、大豆の種皮と子葉が鮮やかな緑色で、豆腐に加工すると涼しげな薄緑色の豆腐になりますが、大豆の中央部のへそも緑色であることから、味噌に加工した際は従来のものより冴えた色になり、味にも「甘味がある」と好評です。
 農産物直売所などでは、地元の原料やこだわりの原料を使った農家手作りの心のこもったいろいろな味噌が販売されており、なつかしい味が楽しめます。農産物直売所などで地元ならではの味噌を見つけられてはいかがでしょうか。

idea豆知識
  こうじ歩合といって、大豆重量に対する米重量の割合を次のように表します。
(原料米の重量/原料大豆の重量)×10=こうじ歩合(米味噌の場合)
こうじ歩合が高いと甘味が強くなります。辛口の味噌では5~10程度、甘口の味噌ではこうじ歩合20以上のものもあります。県内の農産加工品ではこうじ歩合10の味噌が多いです。また、塩分については11~12%のものが多いです。
 味噌づくりに適して、近畿で栽培しやすい大豆品種の例をあげます。蒸煮大豆の食味がやや甘味があって柔らかく、淡色味噌、赤味噌のどちらにも向く「エンレイ」があります。奈良県の奨励品種である「サチユタカ」はタンパク質の含有量が多く、豆腐加工適性が優れていますが、へそが白く大粒種なので煮豆にも利用可能です。