ならびと

県民だより奈良 平成30年12月号

ならびと
刀匠として県指定無形文化財保持者に認定されている月山貞利さんに、伝統を受け継ぎ、後世に伝える大切さについてお伺いしました。
月山 貞利さん
県指定無形文化財保持者
刀匠
月山 貞利(がっさん さだとし)さん
「月山流」の伝統と特徴
 月山流は奥州出羽(現在の山形県)の月山で起こり、鎌倉時代から続く刀工の一派とされ、当時の文献にその名が記されています。幕末に大阪に移り、父である月山貞一(二代目)がここ桜井で新しく道場を構えました。
 月山流の特徴は、綾杉肌(あやすぎはだ)という独特の模様が刀身に現れることと、刀身の彫刻も自ら行うことです。親から子、子から孫へと、この技は代々受け継がれてきました。
刀身に現れる綾杉肌
刀身に現れる綾杉肌
刀匠の苦労
 歴史上、大きな苦難は何度もありました。明治時代の廃刀令、戦後のGHQによる銃砲等所持禁止令などにより、全国の刀工のほとんどは、廃業や職業替えなどに追い込まれました。刀づくりは見て覚える技で、長く途絶えてしまった流派の技を再現するのはとても難しいです。当時、月山流は禁止された日本刀製造に代わり、同じ手法で包丁を作るなどして技を受け継いだそうです。
 そんな苦労もあり、父は「月山を継げ」と強いることはありませんでした。しかし、父が「人間国宝」に認定されたことで、「月山流」の貴重さに改めて気づかされ、この伝統を継ぐ決意をしました。以来、50年以上にわたって日本刀を作り続けています。鍛錬、焼き入れ、彫刻、どれも気が抜けない緊張する作業です。さらに、それらを経て作られる数本の中からより良い1本を選び、納得できるまでやり直します。
伝統を未来へと
 幸い「月山流」は息子の貞伸が継いでくれます。息子と共に伝統を守りつつ、新しいことにもチャレンジしています。私は春日大社に奉納する刀を制作し、息子は人気アニメとの企画展にも出展しました。最近では、「刀剣女子」という言葉が生まれ、全国で展覧会も行われるなど、注目されることが多くなって嬉しいです。人気は国内に留まらず、海外からの取材もよく受けます。道場併設の記念館での展示や、不定期での公開鍛錬など、魅力を知ってもらうための取り組みもしています。
 父が知人から「鍛刀場にふさわしい」と紹介されたここ桜井の三輪山は大神神社に祀(まつ)られる霊山ですが、実は山形県の月山も霊山で、不思議な縁を感じています。この地で、後世まで愛してもらえる刀を作りたいです。日本刀の世界は、これで完成という終わりがなく、一生が修行です。自分が納得できる一振りを求めて、これからも刀を作ります。
日本刀製造
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