奈良祭時記

県民だより奈良 平成30年12月号

奈良祭時記
高田(たかだ)のいのこの暴れまつり
桜井市 高田地区
多武峰(とうのみね)山麓の桜井市高田の8垣内(かいと)で毎年12月に行われる、秋の収穫感謝と子どもの成長や村内安全を祈願する伝統行事。区長の浦前和義(うらまえ かずよし)さんほか地区の皆さんにお話を伺いました。
子どもたちが御仮屋につられたミニチュア農具を奪い合う
子どもたちが御仮屋につられたミニチュア農具を奪い合う
子どもが主役の「暴れ」祭り
 毎年12月第1日曜日に行われ、地区の中学2年生までの子どもが「暴れる」祭りです。8垣内が順に持ち回りで大当屋(おおとうや)と小当屋(しょうとうや)を決めて祭りを担当します。
 準備はまず、夏に大当屋と小当屋が大名持(おおなもち)神社(吉野町)へ参り、吉野川から持って帰った「御白石(おしらいし)」を集落の山口神社へ奉納することからです。
 12月の祭りでは、垣内の人が地区の農作物集荷場の前に竹で御仮屋(おかりや)をつくり、木で作った小さな槌(つち)、鋤(すき)など農具を藁(わら)でつって、御仮屋の上には山口神社の分霊の屋形を乗せます。午後2時、集まった子どもたちがつった農具を奪い合い、御仮屋を叩き壊して暴れます。その後、集荷場内に用意された膳や腕も叩き割って暴れ、日没後には暗闇のなか集荷場に置かれた屋形の前の灯明を子どもたちが藁を投げて消します。
 子どもの「暴れ」は台風を表し、祭りでの「暴れ」が激しいほど来年豊作になるといわれています。
神事で大当屋が交代
 暴れまつりの後、次の大当屋へ引き継ぐ儀式があります。真夜中に山口神社へ大当屋と小当屋の2人で屋形をもって参拝し、御白石の石積みの上に朝置いた御幣と屋形内の古い御幣を交換して、次の大当屋宅へ届けます。一連の儀式は、暗闇の中で無言で行います。次の大当屋は翌年の祭りまで屋形を家で預かって祀(まつ)ります。
継承のための変化
 「いのこまつり」はかつて県内各地で行われていた祭りでしたが、今は桜井市高田と高取町の佐田と森、明日香村の下平田に残るぐらいになってしまい、「暴れ」があるのはここだけです。
 昔は祭りを大当屋の家で行っていましたが、負担軽減のために垣内で準備をし、祭りも集荷場で行うよう変更しました。また、多くの子どもに参加してもらえるように年齢制限を中学2年生までに広げるなど、少し変化させながら地域の大切な伝統行事を守り続けています。
藁を投げて屋形前の灯明を消す
藁を投げて屋形前の灯明を消す
話を伺った皆さん(浦前さん、山口さん、田中さん、阪本さん)
話を伺った皆さん
(浦前さん、山口さん、田中さん、阪本さん)
行ってみよう!
毎年12月 第1日曜日
桜井市高田地区農作物集荷場
桜井市観光まちづくり課
電話 0744-42-9111
集落の南の山の中にある山口神社に置かれた御白石の石積み
集落の南の山の中にある山口神社に置かれた御白石の石積み
無形民俗文化財については、県文化財保存課
電話 0742-27-8124
FAX 0742-27-5386
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